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第61話

 少しだけ夢を見た。


 余に親がいて、小学生の友達と普通に遊んで、中学生で初めて部活に入り、高校生で暇な時は友達と遊んで、遊ばない時はバイトをしながら高校生活を送る。


 そんな普通の夢を見た。


 これが余が望んでいたから出た夢なのかかもしれない。


 余のどこかでこんな普通な生活に憧れていたのかもしれない。


 このまま夢の中で普通の生活を楽しむのも悪くはない。


 だが、余には現実の方で用があるから目を覚ますとしますか。


 どれだけ良い夢だろうと夢は夢、いつかは覚めてしまう。


 そして余はゆっくり目を開ける。


「あ!みんな宇野くんが起きたよ」


「あ、起きた」


「もう起きたんですね」

 

 最悪だ、なぜ目覚めがこいつらの顔を見なくてはならないのだ。


「おー宇野起きたか」


「もう打ち上げ始まってるぞ」


 なぜ教室で打ち上げをやっているのだ、学校も許可出すなよ。


「今は何時なのだ?」


「今は6時だよ」


 もう6時なのか?余らのクラスのクラス劇が終わったのは10時くらいで、余が倒れたのは10時半くらいだから結構寝たな。


 というか早く帰れよ、こいつらは本当に元気だな。


「宇野が起きたからもう一回乾杯し直すぞー」


「「「ウェーイ」」」


 うわ、余が倒れてなかったら絶対にこの場にいなかったのにな。


「宇野くん」


 担任の教師が余のところへと来た。


「怪我は大丈夫なの?」


「余は怪我なんかしない」


「はぁ〜変わらないね」


「余は余だからな」


「うん、そうだね。宇野くんが宇野くんだから今の私がいるからね。ありがとう」


「あ、ありがとうって言うな」


 全くこいつらは簡単に感謝をするから困る。


「おーい宇野。お前が乾杯の音頭とれよ」


「やらん」


 なぜ余がやらなくてはならないのだ。


「「「王、王、王、王、王、王、王」」」


「やらん」


「「「王、王、王、王、王、王、王」」」


「や、やらん」


「「「王、王、王、王、王、王、王」」」


「仕方ないな。分かったやってやるよ」


 こいつらは本当に余がいないとダメだな。


 余はコップを持って前に出て乾杯の音頭をとる。


「今回のクラス劇が成功を遂げたのは余のおかげと言っても過言ではない、だからお前らは普段から余に感謝の気持ちを持ってだな、これからも余の素晴らしさを感じながら生き続けていくが良い。あと、余はクラスの王だから」


「かんぱーい」


「「「かんぱーい」」」


 おい、まだ余が乾杯の音頭をとっている途中だろ。


 余はクラスの王なのに。


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