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第53話


 余って〜やっぱり王になるに相応しい逸材だと思うんだよなぁ。


 余ほど完璧な存在がいるのだろうか。


 いや、いない。


 余が余である限り余ほど優れた奴は現れることはないだろう。

 

「あいつなんか上機嫌だな」


「あんな分かりやすく上機嫌なことある?」


「さっき、みーちゃん宇野と話してたよね?みーちゃん何か言った?」


「え、私が昨日衣装を汚しちゃって、それで宇野くんが衣装を作って来てくれて、それを感謝とほめたら一気に上機嫌になっちゃった」


「単純すぎでしょ」


「宇野ってもしかしてただのあほ?」


「かもね」


「厨二病かやばい奴だと思ってた」


「ね」


 何か周りの奴が余を見てコソコソ話しているが余は気にしない。


 なぜなら余は王だからな、孤高である余が他の奴らを気にするわけがないだろ。


 よーし、クラス劇まで前日だからもうひと頑張りするか。


 ***


 なんとか明日のクラス劇が出来るまでには準備が整った。


 これもそれも全て余がいたからだ、本当に余が生まれてきて良かったな。


 さて、帰って寝るとしますか。


 今日は徹夜もしたからな、1秒でも早く帰ってやる。


 余は誰よりも早く教室を出て寝るための助走をする。


 やっと眠れる。


 家まであと3分のところで余は気づいてしまった。


 カバンを忘れてしまった、と。


 いや、カバンを忘れたは無理があるだろ、あんなデカいやつを忘れるはずがない。


 カバンを忘れたらすぐに気づくはずだ、なのに余は気づかなかった。


 もしかして眼鏡を頭にかけているのに眼鏡を探してしまっているように余の肩にカバンがあるかもしれない。


 余はソッと肩に手を置いた。


 が、肩にカバンはなかった。


 え、本当に余は学校にカバンを忘れてきたのか?


 嘘だろ?余は今から学校に戻るのか?家まであともう少しだと言うのに。


 はぁ〜取りに戻るか。


 ちょっとだけ浮かれていたのかもしれなかったな。

 

 あー今無意味なことしているなぁ。


 そしてまた余は学校に戻ってきた、もうさっさとカバンをとって帰るか。


 教室の前まで来たがこの光景を観るのは登校した時で十分だ。


 さすがにもう教室の中には誰もいないか、それに今日はどこの部活もやってないし。


 ガラガラッとドアを開けると何か見覚えのある奴が一人立っていた。


「あれ?どうされたんですか宇野さん」


 魔法少女の一人で、余と同じクラスの王の九重菫だ。


「え、あ、まぁ」


 カバンを忘れたなんか言えるわけがない、話を逸らすしかない。

 

「お前こそ何をしているのだ、準備は終わっているし、部活はないはずだぞ」


「私は…ちょっと不安で」


「不安?」


 こいつはクラス劇に出るから不安に感じることはあるのだろう。


「学校に来たらまた準備してきたものがああなっていたら、と思うと」


 2日前に起きたあれか、教室に来たら準備していたものがボロボロになっていたあれか。


「でお前はどうする気なのだ?ずっと教室にいる気なのか?」


 ちょっと冗談っぽく聞いてみた。


「そうですね、ああなってしまうならそうするしかありませんね」


 マジかこいつ、冗談で聞いたつもりだったがこいつ本気だった。


「お前劇にも出るのだろう?だったらさっさと帰って寝ろ」


「でも明日またなったら取り返しつかないですよ」


「お前がちゃんとしないと劇が成り立たないだろ?」


「あんなに皆さんが頑張っていたのに」


「お前が寝不足で調子悪かったらクラスの皆が心配するだろ」


「私たちの劇を楽しみにしている方たちもいるんです」

 

 しつこいな、こいつ。


 それだけ責任感が強いとも言えるがな。


 だからと言ってずっとここに居たら見張りに見つかって怒られてしまうのが目に見えている。


「分かった。余がなんとかするからお前は帰れ」


 余は九重菫の背中を押して無理やり教室の外へ追い出す。


「ちょっ、え」


 こいつが話すとめんどくさくなるから何も言わさずに教室の外に追いやった。


「お前は帰ってちゃんと寝ろ。ここは余に任せておけ」


 バンッとドアを閉めてお前とは話す気はないと意志を示す。


 九重菫も余を信じたのか分からないが大人しく帰って行った。


 さて、また頑張りますか。


 だが、このままでは見張りにバレてしまうのだが余には秘策がある、透明化だ。


 これさえあれば誰がやってこようが退治することが出来る。


 よし、朝まで暇だが頑張るか。



 あれ?ちょっと待て、また徹夜!?


 

 


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