表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/250

第4話

 やっとおわった〜。


 教室の中には余一人しかいない。


 周りからは音が全く聴こえてこず、無音の世界に俺がいるみたいだ。


 なんだろうこの気持ち、なんでもしても良い気持ちになってきた。


 どうしよう、どうしよう、何かしきゃいけない衝動に駆られてしまっている。 


 とりあえず、一旦教卓で寝るか。


 仰向けになり、足をぷらーんっと下に垂らす。


 時計を見ると4時半を過ぎていてもうとっくにバイトには遅刻している。


 今から職員室に急いでプリントを持っていってダッシュで行けば五時には間に合う。


 よし、そろそろ起き上がってプリントを職員室に持っていくか。



 ガラガラッ



「何してんの?」


 レッドの魔法少女の高宮千沙が教室に入ってきた。


 今教室には余しかいなくて教卓で寝ているところに高宮千沙が来てしまった。


「お前こそ何している?部活ではないのか?」


 とりあえず余が教卓で寝ていることを触れられないようにする。


 ここで余が慌てて起き上がるのは得策ではない。


 普段から余は教卓で寝てますよ〜、っていうスタイルで通すことにする。


「私は教室に水筒忘れたから」


「そうか」


 高宮千沙は自分の席に行き、水筒を探す。


「ロッカーじゃないのか?」


「あ、そっか」


 高宮千沙は自分の席からロッカーへ移動する。


「あった」


「それはよかった」


「で、何で教卓で寝てるの?」


 くそ、一回はスルーしたのにまた掘り返してきやがった。


 余は意地でもこの話題には触れさせねぇぞ。


「それよりバレー部は楽しいか?」


 無理矢理だが話題を変える。


「何で私がバレー部って知ってるの?」


「自分の格好を見てみろ、あと入学式の自己紹介の時に言ってただろ」


 短パンで半袖で膝にはサポーターが付いているから一目で分かった。

 

「そんな前のこと覚えてたの?」


 忘れるはずもない、あの日のことを。


 忘れろって言う方が無理がある。


「たまたまな」


「記憶力良いなぁ。で、何で教卓で寝てるの?」


 余がいい感じで話題を逸らしてきたと言うのに、こいつは何度も何度も。

 

 だが余のプライドにかけて余が教卓で寝ていることを触れさせねぇぞ。


「高宮千沙、お前脚痛むだろ?」


「何で分かったの!」


 高宮千沙は余が脚を痛むことを的確に当てたことに驚いている。


「歩き方で分かる」


「すごい、そういう系に詳しいの?」


 お前ら魔法少女はどうか知らんが余は変身前の今の状態でも魔法が使える。


 余は今の変身前の状態がほとんど変身後の戦闘力に関わってくる。

 

 つまり変身前の今の状態でめちゃくちゃ鍛えておかないといけないから、余は死ぬ気で鍛えてたし、体のこともめちゃくちゃ調べた。


 知っておいたら効率よく鍛えることができる。


 だから、余は高宮千沙の怪我にも気づいたというわけだ。

 

「少しな、あまり無理するなよ」


「私もっと強いスパイク打ちたいんだけど何かアドバイスある?」


 何で余がお前なんかにアドバイスしなきゃならないんだよ。


 いや、だがこれはチャンスだ。


「ちょっとこっち来い」


 余はここで自然な流れで教卓から起き上がり高宮千沙を呼ぶ。


 よっしゃ、やっと起き上がることが出来たぞ。


 あの体制は話しづらいんだよ。


「右手で右の脇腹、左手で左の脇腹をマッサージしてみろ」


 高宮千沙は余の言う通りに脇腹をマッサージする。


「軽く腕を回してみろ」


 高宮千沙は軽く腕を回す。


「え?軽っ、どうして?」


「現代人はスマホばっか見ているからな、肩が前に出て巻き肩になっている。巻き肩は肩こり、腰痛、首こりの原因になるからな。脇腹をマッサージすることによって普段固まっている筋肉をほぐすことで巻き肩の改善になるからだ」


 ふ、少し語りすぎてしまったな。


 まさかここで余が魔法少女を倒すために独学で勉強したことを魔法少女のために使うとはな。


 まぁいずれは倒すんだがな。


「へー」


「もうこんな時間か、俺はもう帰るぞ」


 よし、余の知識に圧倒されているうちに急いで教室を出るとしよう。


 危なかった、余が教卓で寝ていることを触れられるところだった。


「宇野、プリント忘れてるよ」




 くそっ。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ