第41話
「ごめんね、言うの忘れてたの」
忘れるなよ、結構大事なことだろ?よくもここまで言わずにいられたな。
大丈夫なのか?その調子で。
「隣のクラスからはやるって聞いてたけど」
「先輩からも聞いた」
「私も」
どうやらここ以外のところでは知っていたようだな。
皆もうわさ程度では知っていたようだな。
というかなぜクラス劇をやらなくてはならないのだ、もう余らは高校生だぞ。
そしてクラス劇をやってどうするのだ?
「とりあえずどんな劇をやるのか、と配役も決めておいてね」
おいおい丸投げかよ、お前が伝えるの遅かったくせによ。
「委員長を中心にお願いね」
良かった〜余はもう委員長ではなくなったからな、関係のない話だ。
なぜ余がクラスの王である委員長をクビになったのか全く分からない。
余が何をしたというのだ。
「じゃあ後は任せるからね、九重さん、宇野くん」
あれ?今余の名を呼ばれなかったか?
確か余はクビになったはずなのになぁ。
「おい、待て」
「どうしたの宇野くん。あとタメ口やめなさい」
タメ口くらいで、小さい女だ。
「余は委員長をクビになったはずだ」
「あ、そうだった。じゃあまた委員長に就任で」
「適当過ぎるだろ。そんな簡単で良いのかよ」
クラスの王をそんな適当で良いはずないだろう。
もっと選挙をするとかな、だがそれだったら全票余に集まってしまうから相手が可哀想か。
「だって私は先生だから」
今の発言は余が普段から言っていることと変わらないだろう。
「そもそもなぜ余が委員長をクビになったのだ?」
「それはあなたが委員長を理由に他の先生にもタメ口を使うからでしょ」
心当たりは…ある。
「本当にやめてよ。私が他の先生に怒られるんだから」
まぁ今は委員長を理由にしなくても余はいずれ王になるからな、タメ口は使っている。
「なのに委員長をクビになっても平気でタメ口だし、だからどっちもタメ口なら委員長復活、ということで、よろしくね」
「めちゃくちゃだ」
「あと本当にタメ口やめてよね、もう私怒られるの嫌だからね」
「考えておく」
確実に余はこれからもタメ口を使っていく、なぜなら余はいずれ王になるからな。
「はぁ〜とりあえずよろしくね、劇のこととタメ口の両方ね」
そうだった余は委員長に復活したってことは色々やらなくてはならないことになってしまった。
劇と言われてもまず何の劇をやるかを決めないと配役が決まらないではないか。
そういったことを九重菫と決めなくてはいけないのか。
***
休み時間になると九重菫が余の席にやってきた。
「あの」
九重菫が話しかけてきたが多分劇のことだろう。
「劇のことか?」
「はい」
「どうする?まずは何の劇をやるか決めなくては何も始まらない」
「そのことなのですが、放課後に決めません?今の少ない時間だったら良い案も出ないと思うんですよ」
「それもそうだな」
「じゃあまた放課後に集まって話し合いましょう」
そう言って九重菫は自分の席に帰っていった。
ちょっと待て。
もしかしてだが放課後に余と九重菫が二人きりで劇について話し合わないといけないのか?
なんか最近魔法少女どもと二人きりになることが多くないか?
桜井莉緒も高宮千沙もあって今度は九重菫か?
一応言っておくが余は敵だからな。




