第26話
私は今宇野章大という男の子が可愛くて仕方がない。
最初は本当にただの隣の席のクラスメイトだった。
クラスでは浮いていて、自分のことを王だと思い込んでいる変な人だと思っていた。
だけど私とお父さんがすれ違いを起こしてかなり危ないところまでいったけど、宇野くんが色々助けてくれた。
宇野くんは私たちでは手も足も出なかった怪人化したお父さんを救い出したのも凄かったけど、攻撃を受けてもケロッてしていたのが凄かった。
あんなの普通の人が食らったらただでは済まないのに。
救い出してくれたのも助かったのに、お父さんとの関係も助けてくれた。
宇野くんはすごい。
宇野くんは私の悩みを全部解決してくれた。
そこから宇野くんのことを気にかけるようになった。
そして分かったことは宇野くんは可愛いくて仕方がない。
宇野くんは自分のことを王だと思ってるんだけど、最初は変だと思っていたけど、本気で思ってるところが可愛いく思ってる。
発言も少しズレてるし、少し幼稚なところもあるし、自分をまともだと思ってるし、そこらへんがとても可愛い。
でも一番可愛いところは、ありがとうって言ったら顔を赤くしながら「あ、ありがとうって言うなぁ」って言うところ。
可愛いからこそ宇野くんが心配で心配で。
宇野くんは両親がいないから私が宇野くんを立派に育てないと、と思っている。
***
今日も良い天気で学校日和だ。
昨日髪を切ったおかげか新鮮な気持ちで学校の道のりを歩く。
学校に向かっているけど、ちゃんと宇野くんが遅刻せずに来れるか不安は少しある。
「莉緒ちゃんおはよー」
「莉緒おはよう」
「莉緒ちゃんおはよ」
クラスにも馴染めてきてクラスのみんなからあいさつもしてもらえるようになってきている。
「みんなおはよう。誰か宇野くん見た?」
もしかしたら誰かが途中で宇野くんを見たかもしれないから聞いてみる。
「宇野くん?」
「あれでしょ、自分を王って言ってる奴」
「あ〜見てないよ」
不安だよ。
「宇野がどうしたの?」
「ちゃんと来れるか不安で」
「母親か!」
「なんでそんなに宇野に構うの?」
「みんなも宇野くんのことを知れば分かるよ」
「え〜」
「そうかな?」
「変な奴だからなぁ」
クラスメイトのみんなは宇野くんを変人であることが一致した。
知れば知るほど宇野くんの魅力が増える。
もしかしたら教室に行けば宇野くんがいるかもしれない。
ガラガラッ
教室をドアを開けると宇野くんは自分の席で突っ伏して寝ている。
夜更かしでもしたのかな?
早速宇野くんのところまで行く。
ツンツン
寝ている宇野くんをツンツンして起こす。
ビクッ
「またお前かよ」
「宇野くんおはよう」
「いちいち起こすなよ」
「宇野くん起こさないとずっと寝るじゃん」
宇野くんは平気で放課後まで寝てる時もある。
「別に良いだろ」
「ダメだよ、ちゃんと勉強しないと」
「余はいずれ王になるから別に良い」
また言ってる。
なんで宇野くんはそんなに王にこだわるんだろう?
「朝ご飯はちゃんと食べてきたの?」
「毎朝それを聞くな」
「これからも聞くよ」
うわ、めっちゃ嫌な顔をした。
「あ〜今日もすごい寝癖だね」
「やめろ」
宇野くんは私の手を払って、肘を突いてそっぽを向いた。
こうやって子ども扱いされるのが嫌いで、拗ねているところが凄く可愛い。
そして
「髪」
「ん?」
「切ったんだな」
少しドキッとする。