第24話
私、高宮千沙は高校生になった時に魔法少女になった。
私の他にも莉緒と菫も私と同じ魔法少女だ。
何でこの三人になったのか、と思ったんだけど、どうやらたまたまらしい。
この魔法少女は歴代から受け継がれているらしい。
魔法少女は大人にはなれなくて、高校生がちょうど良いらしい。
歴代が今どうなっているのか分からない。
だけど幸せに暮らしているらしい。
ほとんどが聞かされた話だから、らしい、がほとんどなんだよね。
魔法少女になって最初は合体技を出しとけば全部の戦いには勝っていた。
だけど急に勝てなくなってしまった。
魔法と精神状態がリンクしていて、莉緒がお父さんとの関係で魔法が出ないことがあった。
そして大ピンチが訪れた。
莉緒のお父さんが怪人化になってしまって、そこでどれだけ頑張っても合体技が出来なくて諦めようとしたらあいつが出てきた。
宇野章大だ。
あいつのことを初めて知ったのは、部活の時間に途中で教室に水筒を取りに行った時だ。
あいつは教卓で寝ていてすごく慌てて誤魔化していた。
変な奴だな〜と思った、そして変わらず変な奴だな〜と思っている。
なんかずっと自分のこと王だと思ってるし、自分のこと余って言ってるし、誰に対してもタメ口だし、でも学校には毎日休まず来てるし。
不良ではないはず…
そんな宇野が、私たちが合体技が出なくて困っていたら助けに来てくれた。
助けに来てくれたのかは分からないけど。
でも、私たちは助かったんだから助けに来た、で良いと思う。
とにかく宇野はヤバかった。
これは多分私の語彙力の問題ではなく、ヤバいとしか表現できないからである。
莉緒の魔法が出なくて私と菫で時間稼ぎをした時には、手も足も出なかった。
なのに宇野は時間稼ぎどころか、莉緒のお父さんも救い出してみせた。
怪人化からの攻撃を何度も受けたが、スッと立ち上がってまた向かって行った。
私たちは魔法少女だから攻撃をなんとか耐えていたけど、あいつは何で?
普通はあんな攻撃を受けたらただでは済まされないのに。
元々変な奴だったけど余計に変な奴だと思った。
そんな宇野は最近莉緒と仲が良い。
宇野が莉緒のお父さんを救い出してからだと思う。
仲が良いとはちょっと違うな、莉緒が宇野に懐いたって方が合ってるのかな。
莉緒は私たちとかクラスのみんなには無邪気なんだけど、宇野と接する時はなぜか世話焼きになってしまっている。
完全に宇野のお母さんになりきっている。
お母さんではないのに過保護で、やり過ぎじゃない?と思っている。
だって、「一人でトイレに行ける?」とか「今日もちゃんと学校に来て偉いね」とか「今日の夜は冷えるからちゃんと温かくして寝るんだよ」とか、もう完全にお母さんである。
宇野はそういうのが嫌いだからずっと怒っている。
今はそんな宇野と、学校の授業で校外にいる。
地域のボランティア活動でグループに分かれてゴミ拾いしているだが、宇野と同じグループになってしまった。
「ねぇもうそっちは良いからこっち来て」
「余に命令するな」
不安しかない。




