表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
199/250

2年生編 第70話


「え、ぇ、えぁ、え?…え」


 余はまた告白をされてしまったのか?


 桜井莉緒に続いて九重菫にも告白をされてしまったのか?


 あんなマジな告白をされたものだから思わず驚いてしまったではないか。


 にしても余の驚き方気持ちが悪いな、言葉が全く出ていないではないか。


「そ、それは余に向けて言ったのか?」


 もしかしたら余には見えない何かに言っている可能性も無くはないとも言い切れない。


 …無いな。


「はい。ちゃんと宇野さんに向けて言いました」


 ちゃんと余だった。


「間違えてないか?ちゃんと宇野章大に言ったか?」


「はい。宇野章大さんに言いました」

 

「そうか…」


 これは困った。


 今余は冷静を装ってはいるが、頭の中はぐちゃぐちゃになっている。


「どうします?付き合いますか?」


 ぐいっと九重菫は余の所へ近づく。


 今近づかれては冷静になれないから余は九重菫を突き離す。


 と言うか、こいつ今答えを求めているのか?


 そんなもの無理に決まっているだろ!こんな重要な選択を軽く選べる訳がない。


「ちょっと待ってくれ」


 余は今桜井莉緒も待たせているから、簡単には答えることは出来ない。


「さっきも言った通り余は桜井莉緒にも告白をされたのだ。だから、今答えを聞かれても答えることは出来ない」


 これが今余に出せる正解だ。


「それもそうですよね」


「悪かったな」


 これは仕方ない。


 今余の頭は正常では無いから正常な答えが出ないと思う。


 と言うか、桜井莉緒の時に答えを出しておけばこんなことにはならなかったのだ。


 あの時に答えを出していればこんな二股みたいなことは起こらなかったのだ。

 

 他人から見たら余は2人の女を侍らせている奴みたいになっているではないか。


 いや、違うからな、余はちゃんと2人のことを考えての結果がこれだからな。


 これは誰にも文句は言わせない。


 だが、待たせている2人は文句を言っても余は何も言えないがな。


「宇野さんは優しいのはみんな知ってますから」


「別に優しいとかそういうのではないのだ」


 ただ余にそんな勇気が無いだけだ。


「本当に悪かったな。こんな答えで」


「良いんです。そんな宇野さんも私は好きですから」


 またそういうことを言って余を困らせる。


「だけど、今だけは好きにして良いですか?」


「まぁ軽いことならばな」


 今の余は弱い立場にいるからある程度は言いなりになってやろう。


「帰るまでの間は手を繋いでください」


「今じゃないとダメなのか?」


「恋人気分になりたいんです。だってフラれることもあるんですよね?」


「あまりそんなこと言わないでくれ」


「フフッ。冗談ですよ」


「ほら」


「え?」


「別に手を繋ぐくらいやってやる」


「あ、ありがとうございます」


 




 いや、罪な男過ぎないか?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ