表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
178/250

2年生編 第50話


 本当にしんどかった。


 まさかシンデレラ役があのクソ陰キャだったとはな。


 シンデレラみたいな物語の中心人物は演劇の誰かがやれよ!とは思ったが、クラス劇はクラスでやるものだかららしい。


 体育祭のクラスリレーで陸上部が本気で走るようなものだと言っていたな。


 クソ陰キャのくせに目立つようなことをするな!とは思ったが、こいつも出れなくなった奴の為にシンデレラをやるらしい。


 もしかしたら自分を変える良いきっかけになるかもしれないと、案外乗り気だった。


 こいつがシンデレラ役なのはそこまで地獄ではなかった。


 ただ半端なくセリフを噛むのと、半端なく転ぶのと、半端なく謝ってくること以外は何も言うことはない。


 本当の地獄は余の演技を見てクラスの奴らがニヤニヤしながらこっちを見てくることだ。


 もしも願いが叶えることができるのなら今すぐにでもあいつらを消し去ってやりたい。

 

「おい、王子様。今日もかっこいいねぇ」


「俺とも踊ってくれよ」


「ガラスの靴持って何してるんだ」


「あれ?自分のこと余って言わないの?」


 絶対に許さない。


 余はこいつらを絶対に許すことが出来ない。


「今余を馬鹿にした奴覚えておけよ。タダでは済ませないからな」


 余はガヤを入れている奴らを思い切り睨む。


「あんたが怒っても何にも怖くないわよ」


 先程までガヤを入れていた金髪が余に挑発してくる。

 

「良いのか?お前だけだぞ」


 先程までは数人いたが余が睨んだらゾロゾロと自分の仕事に戻っていった。


「あれ?みんなは?おーい!ちょっと!さっきまでみんなも言っていたじゃない!」


「覚えておけよ金髪。お前には本当の地獄を見せてやるよ」


 多分この時の余は人生で一番怒っていたかもしれない。


「嘘よね?あんたが本気で怒ったら洒落にならないわよ」


 



 みたいなこともあったり、



 ***



「お願い一枚だけ!」


「ダメだ帰れ」


 桜井莉緒が別のクラスから来て、どうしても写真を撮りたいらしいが、そんなもの余が許すはずがない。


 こいつが余を撮りたがる理由は、今余が王子様役の衣装を着ているからだ。


「別に良いじゃない。撮らせてあげなよ」


 クラスの女が無責任なことを言いやがってきた。


「そうだよね!」


「お前らの意見など求めていない」


 お前らがどう言おうがこんな恥ずかしい姿を保存されるわけにはいかないのだ。


「さ、帰れ帰れ。まだこっちは稽古中なのだ」


「え〜」


 桜井莉緒を無理やり自分のクラスに帰らせたこともあった。



「私と踊って頂けますか?」


 チラチラ


「この靴を家にいる女性全員に履かせてくれませんか?」


 チラチラ


 チラチラ


「私と結婚して頂けませんか?」


 チラチラ


 チラチラ


 チラチラ


「おい!さっきからチラチラ見てくるな!」


 高宮千沙が廊下から何回も往復してこっちをチラチラと見てくる。


「は、はぁ?別に見てないし」

 

「嘘つけ!」


「だから見てないって」


「見てただろ!」


 余のこんな姿を何回も見てきやがって、嫌がらせか?


 高宮千沙も無理やり自分のクラスに帰らせたこともあった。



「お願いします代わってください!」


「え、え、あえ」


「もう邪魔だから帰れ!」


 九重菫が柊野葵に役を代わってほしいと懇願している。


「私もシンデレラになりたいんです!」


「お前は演劇部だからそっちの方でやれよ!」


「そっちじゃダメなんです」


「とりあえずこいつから離れろ」


 九重菫は柊野葵の服を掴んで離さないから無理やり引き離す。

 


 みたいなこともあったがとうとう明日が本番だ。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ