2年生編 第6話
ダメだこいつ…。
てっきり上手いのかと思っていたら全く上手くなかった、いや、下手すぎる。
もう下手とかそういう次元の話ではないのかもしれない、むしろ才能を感じてしまう。
テニスのラケットの面ってかなり広いんだぞ、こいつのだけ狭いのか?
せめて面にボールを当ててくれよ、試合にならないだろ。
「このままじゃ試合にならないから余からのサーブで良いか?」
このままではこいつの空振りだけを見て昼休みが終わってしまいそうだったから余からのサーブで始めることを提案する。
もしかしたらこいつはたまたまサーブだけが下手くそな奴なのかもしれないからな。
「まぁ良いわ」
なぜそんなに偉そうなのだ。
金髪からボールを受け取り、サーブを打つ体勢になる。
「いくぞ」
本気を出してしまうと人間が取れる速度ではなくなってしまうからある程度手加減はしてやる。
ボールを上げる。
パンッ
「きゃっ!」
は?
金髪はボールを打ち返さずにボールにビビって尻もちをついた。
「何してんだ!これぐらい打ち返せよ!」
「うるさい!まだ本気出してないから」
その嘘は流石に無理があるだろ…。
もう良いわ、とことん付き合ってやるよ。
もしかしたら、ほんの薄い確率でサーブを返すのが一番苦手なのかもしれない。
「じゃあもう一回いくぞ」
次は誰でも打ち返せれるようなサーブを打つ。
「えい!」
ブンッ
そして、もう一度金髪は空振った。
いや、空振るんかーい。
と、思わずツッコミをいれるくらいの綺麗な空振りだった。
「いや、もうこれ以上やっても無駄だろ」
「まだこれからだから!」
やっぱりこいつはプライドだけの奴だったか。
「もう帰っていいか?」
「まだ終わってないでしょ!」
「もう終わったようなものだろ」
「ここで逃げたらあんたの負けだからね!」
あ〜もう分かったよ、勝敗がつくまで付き合ってやるか。
***
はい、何の展開もなく、あっけなく余の勝利でこの勝負は幕を閉じた。
本当に何にも起こらなかった、惜しい感じのこともなかった。
余が強かったというよりかはあいつが弱すぎた。
なぜこの実力で威張っていたのだ?
いや、その前になぜ自分が下手くそなやつで勝負を挑んでくるのだ、もっと得意なやつで挑んでこいよ。
「もう教室に帰るからな」
軽い運動にもならなかった。
金髪は負けたショックでしばらく動けていない。
いや、それは勝てる可能性がある奴がする行動だからな。
あ、そうだ余が一番気になっていたことを聞くの忘れていた。
「なぜお前は余に勝負を挑まんでいるのだ?」
最初にこれを聞いたが理由が生意気すぎるって言っていたが、それ以外にも理由があるのだろう。
「最初に言わなかった?あんた生意気すぎるのよ!」
「それ以外にもあるだろ?」
「?…ないわよ?」
あ、こいつマジか。
とんでもない馬鹿だった。
だが、もうこいつは余には絡んでこないだろう。
〜次の日〜
「宇野章大!私と勝負しなさい!」
え?デジャブ?




