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第99話


 カフェになんか寄るのではなかったな、本当にうるさかった。


 あいつらはどれだけ暇なのだ、ちゃんと仕事をしているのか?


 ちなみに余はポスター貼りが終わった後に死ぬほど働かせられたから当日は働かなくて良くなった。


 あと、余のクラスはなんとか喫茶みたいなことをするのだが、練習で変な服を着せられて接客をやらされたがすぐにクビになったから当日は仕事がなくなった。


 余はかなり良いと思ったのだがな、他人の目から見たらダメだったのかもしれないな。


 余は別に今からでも飛び込みで入っても良いのだがな。


 まぁ仕事はないに越したことはないがな。


 話を戻して、今はさっきのカフェもどきから出て次に行くところを決めている。


 まぁ適当にぶらぶら歩いて回っているだけなのだがな。


「行きたいところがあったら言えよ」


「うん」


 本当に静かになったな、それにどこか緊張している感じがする。


「上の階に行こう」


「うん」


 ここの階だと変な奴らが絡んでくるから一旦上の階に避難する。


 こいつは何に緊張をしているのだ?いつもの学校だろ?別に他校に来たわけでもないだろうに。


 上の階ということは余らより上級生だからあいつらよりかは大人であってほしい。


「え?宇野くんと高宮じゃん!なになに?!二人付き合ってるの?」


 またかよ…。


 また変な奴に絡まれてしまった、まぁ慣れてきたがな。


 そいつは白装束を着ており、血のりをつけている。


「誰だお前は」


「ちょっと、先輩だから」


 先輩?こいつの先輩ということだからバレー部の奴か。


「ひどいなぁ〜何回か会ってるのに」


「悪かったな」


「それより、宇野くんと高宮は付き合ってんの?」


 ただこいつと歩いているだけなのに周りの奴らはすぐに恋愛に結びつけてくる。


「……」


 普段なら高宮千沙が否定するのだが、なぜか黙って俯いている。


 なんなのだこいつは。


「別に付き合ってなどない。ただ一緒に回っているだけだ」


 高宮千沙が否定しないから代わりに余が言っておいた。


「そうなんだぁ、じゃあうちのやってく?」


「何をやっているのだ?」


「お化け屋敷」


 お化け屋敷?まさかそれを教室の中でやるとはな。


 あ!だからこいつはお化けの格好をしていたのか、ただの趣味ではなかったのか。


「せっかくだから行くか?」


 行くところに困っていたからな、丁度良い。


「うん…」


「いや、嫌なら嫌と言えよ」


「大丈夫」


「だったら良いが」


「じゃあ決まりね!入り口こっちだから」


 バレー部の先輩がお化け屋敷の入り口まで案内する。


「お前苦手なのか?」


「お化けとか幽霊は別に信じてないけど、お化けとか幽霊は怖い」


「どういうことだ?」


「つまりお化け屋敷は苦手」


「苦手じゃねぇか!」


 なんなんだよ、信じる信じないとか言って結局苦手なのかよ。


「どうする?やめておくか?」


「大丈夫、宇野がいるから」


「余がいたって何も変わらないぞ」


「宇野がいたら私勇気出るから」


 そんなことで勇気が出るのか、簡単な奴だなぁ。


 あいつにとって余の存在はなんだって言うのだ、あいつにとったらただのクラスメイトなのだが、どうしてそうなった?


 余にとったら憎き魔法少女なのだがな。


「まぁお前が良いのなら」


「うん」


 余はお化けも幽霊も余より弱いと思っているから怖いとは微塵も思っていない。


 入り口の前まで来た。


「入るぞ」


「うん…」


 やはり不安なのが顔に出ている。


 学生が作ったものなどそんなクオリティが高いとは思えないがな。


 歩を進め、お化け屋敷の中へと入っていく。


 黒い布で覆われている仕切りが立てられ、それに沿って歩いていく。


 これにいきなり何かが起きるだけだろ?これの何が怖いと言うのだ。


 


 ガシッ


 いきなり下の隙間から余たちの足を掴んできた。


 なんだ、これくらいなら高宮千沙も全然平気だろう。


「キャーーーー!??!?」


 っ!


 高宮千沙は驚いて叫び声をあげる。


 なんだよ、大丈夫じゃないのかよ。


 

 ガシッ



「おい」


 先ほどはお化け役の奴に掴まれたが、今回は高宮千沙が余の背中に飛びついてきた。


 首に手を回していて、こいつはパニックになって思い切り抱きしめているため息が出来ない。


「バカ!離せ……っ」


 なんとか力で引き剥がし、一命を取り留める。


「はぁ〜はぁ〜、死ぬところだったぞ!」


「ごめん。でも、怖くて」


 こんなので怖いのかよ!


「怖いなら袖を持っておけ」


「袖じゃ無理!背中貸して!」


「無理に決まっているだろ!」


 また驚いて、こいつが首を締めてきたら余の命がいくつあっても足りない。


「手貸してやる。手でも握ってろ!」


「え?」


「ほら」


 余は高宮千沙に手を差し出す。


「ありがとう…」


 高宮千沙は余の手を握り、続きを進む。


 

 

 バンッ



「………」


 ?




「バァァ!!」



「………」


 ??




「ゔゔゔゔ」




「………」


 ???


 

 なぜか急に高宮千沙が大人しくなった。


 ただ手を握っただけで怖さがなくなるものなのか?


 そんなわけないか、だったらなぜ急に大人しくなったのだ?


 それなら最初からそうしろよ。





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