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第9話

 桜井莉緒がヨガしながら書道をいつもやっていることは置いておいて。


 いや、置いておけねぇよ。


 何だ、ヨガしながら書道するって、生まれてきてから今まで聞いたことないぞ。


 ヨガしながら書道?自分で適当に絶対できないことを言ったつもりだったんだがな。まさかやってる奴がいるとはな。


 ただのバカかとてつもなく天才の二択かもかもしれないな。いや、ただのバカか。


 実際にヨガしながら書道ってどうやるんだ?無難に健康って書くのか?


 というか、無難ってなんだ?


 まぁまぁ、なんとか桜井莉緒が生きることになって桜井莉緒も喜んでいることだしもう良いだろう。


 いや、良くない。


 桜井莉緒のヨガしながら書道のインパクトが強すぎて忘れていたが、ここは敵のアジトだった。


 もう作戦なんかどうでもいい、勢いだけでなんとか乗り切ってやる。今からダッシュでこの家を出て行く。


 余は今まで鍛え上げてきた身体を信じて脚に思い切り力を入れる。


 ふぅー。




 良し。


 ここで逃げられなかったらもうお終いだ。


 ここから玄関までのこの一瞬に全てをかける。


 いくぞ。


 ダンッ


「えっ」


 桜井莉緒は余の急なダッシュに驚いているのだろう。


 一歩目は完璧、二歩目で玄関マットにまでたどり着いた。


 靴はどうする?履くか?いや、履いている時間なんてない、持って家を出るしか無い。


 靴をどうやって持つ?両手で持つか?いや、ドアを開ける時に両手が塞がっていては開けれなくなってしまう。だから片手の指二本で持つことにしよう。


 良し、片手で靴を救出することが出来た。


 今のところ何のミスもなく進んできている。あとは目の前のドアを開けるだけだ。


 そうだ、余はこんなところで終わってはいけないのだ。この地球を征服するまで余は終わらない。


 ドアに手をかけることが出来た。あとは押して外に出るだけだ。


 あれ?何かがおかしい。押したのは良かったけどやけに軽い。


「わぁビックリした」


 ドアを開けるとスーツを着た大人が驚いた顔で余を見ている。


「お父さん。その人捕まえて」


 お父さん?こいつ桜井莉緒の父親なのか?


「え、え?う、うん、分かったよ」


 桜井莉緒の父親?は余が逃げないように腕を掴んだ。


「ごめんね」


 何を謝っているんだ?


「お父さんそのままリビングにまで連れてきて」


「分かったよ」


「あ、先お父さんが行って。また宇野くんが逃げないように私が後ろで見張っておくから」


 なに、そんなことをされたらもう逃げるところがないではないか。

 

「どういう状況か全く分からないけどリビングに連れて行けばいいの?」


「うん」


 最後まで粘ってはみたが桜井莉緒の父親が帰ってきたタイミングだったとは。運は余の味方してくれなかったようだ。


 廊下を進んでいき、桜井莉緒の父親がガチャっとドアを開けた。


 もう終わったのか。


 地球を征服するのは来世になりそうだ。


 だが、来世では必ず地球を征服して人間共を余の下僕として従えてやる。

 

 ドアの向こうの景色を想像して思わずギュッと目を閉じてしまう。


「じゃあそこのソファーに座っておいて」


 ん?ソファー?


 思わず目を開けて目の前の場所を確認してみてみたが、誰がどう見ても普通のリビングだった。


 

 ん?






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