静かな海
読書の皆様にこの作品を楽しんでもらえますように...。
「ん...ここは...?」
目を覚ますと、知らない天井が見えた。心電図の音がする中、僕は身体をゆっくりと起こす。
「あっ!起きた!」
看護師らしき人が僕が起きた事を確認すると、急いで部屋から出た。そして少しすると、廊下をもの凄い勢いで走る音が聞こえた。
「まもる君!」
「ぐはっ!?」
うみが僕を見つけると同時に飛び付いてきた。いやいやいや、これって僕は怪我人とかの扱いだよね?それなのに、なんで飛び込みなの?まあ、嬉しいんだけど。
「うあああっ!怖かったよぉ!だってまもる君全然目覚まさないんだよ!?もし死んじゃったらって!」
「あははっ、ごめんごめん。」
「まもる!」
父と母が部屋に飛び入ってきた。2人とも、僕が起きている姿を見ると、安心したのか目に涙を浮かべていた。
「心配させやがって!この親不孝者がぁ!うおおおおぉ!!」
「うるせぇな!いい歳したおっさんが声上げて泣くなよ!」
「守、おかえりなさい。」
母さんが僕にそう言うと、うみも涙目で僕の顔を見つめて、口を開いた。
「ぐすっ...おかえり、まもる君。」
「...ああ、ただいま。」
それから、両親と別れてうみとあの砂浜に来た。あの日の荒れた海は、面影すら残していない。
「そういえば、まだ海の意志?とか分かるのか?」
「あ〜、まあ一応少しは感じ取れるかな。」
「ふ〜ん。」
しばらくの沈黙が続いた後、僕は口を開いた。
「あのさ、ちょっとお願いがあるんだけど。」
「ん?何?」
僕はうみに向かって片手を差し出した。今思えば、彼女とこの砂浜で出会ってから、連れ回されてばかりだった。ずっと忙しかったな。でも、なぜかいつも楽しかった。退屈なんてしなかった。きっと僕は、彼女を初めて見たその瞬間から、ずっと彼女に恋をしていたのだろう。
「僕に、あなたと一生の時間を過ごさせてください。
「っ!」
彼女はすごく驚いた顔をして、頬を紅潮させ、目に嬉し涙を浮かべた。そして、そっと僕の手を取った。
「はい、喜んで!」
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