海への恐怖
読書の皆様にこの作品を楽しんでもらえますように...。
「よし、到着したね!」
「ああ、そうだな...で、ここどこだ?」
全然知らないような場所に連れてこられた。うみの事だから、何かがあるんだろうけど。
「ここはとある神社がある街だよ。まあ、ちょっとボロボロだけどね。」
「神社って、まさか例の神様の?」
「う〜ん、半分正解かな?」
僕はうみに連れられるがままに街を歩く。途中、夏を満喫しているのか知らないが、うみはラムネを買ったり、アイスクリームを買ったりして、食べ歩いていた。まあ、僕もだけど。そうこうしている内に、僕とうみは山道を歩いていた。
「あっ、その道は行かないようにね?」
「えっ、何で?」
「ん?霊道だからね。」
途中怖い事を言われたりもしたけど、僕とうみは無事に例の神社に着いた。管理はされているみたいだけど、かなり古い。確かにボロボロだ。
「ん?あんたら誰や?参拝客なんて珍しい。」
「あっ、こんにちわ。」
和服を着た中年の男性が声をかけてきた。おそらく、ここの管理者の方だろう。
「ん?あんたは...」
「こんにちわ、おじさん。」
あの人がうみの方を見ると、あの人は少し驚いたように見えた。もしこの人がここの神様に詳しいのなら、あの神様に詳しいのなら、この反応から察するに、やっぱり彼女は只者ではないという事。
「こりゃあびっくりした。あんた、龍神様の子か!」
「はい?」
「う〜ん、まあ気配は似てるかもね。」
龍神様の子というパワーワード。僕の頭は思考停止していた。
「私は海から産まれた人間だよ。まあ、あの神から創られたという点では神の子とも言えるかな?」
「いや〜、まさかこんな大物に出会えるとはなぁ。それで、今日は何をしに?」
うみはあの人の質問に迷いもなく答えていく。
「あなたにお願いをしに来たのと、龍神様への貢ぎ物を持ってきた。」
「ほう、お願いというのは?」
「どうか、龍神様を守って欲しい。」
僕の思考もまとまってきて、僕は2人の話に耳を傾ける。
「もしあの龍神の化身が消えたら、龍神様は一時的に弱体化してしまう。並の霊には勝てると思うけど、強い怨霊とかが来てしまうと簡単に殺されてしまうだろう。だから、守って欲しい。」
「...それは分かった。だが、あれを消すという事は、あんた...」
うみはまっすぐな目でその一言を放った。
「分かってる。これは、私の罪だから。覚悟は出来てる。」
家に帰る途中、僕とうみは真夜中の海に寄った。彼女に聞きたいことがあった。
「なあ、その龍神の化身だっけ?をどうやって止めるんだ?」
古くから存在して、龍神と呼ばれる海の神の化身。そんな存在を止める方法があるのだろうか。もしかしたら、その神様の子なら止めることが可能なのかもしれないが。
「...ただお願いするだげだよ。だって私は、あの神の子供なんだから。」
海が荒れ始めた。最近は収まっていたのに、僕がうみに聞いた事に反応したかのように荒れた。もしこの海の状態が彼女の意思によって変化するのなら、彼女は怒っている?それとも、悲しんでいる?いや、違うだろ。彼女は、目に見えて分かるほどに動揺している。
「そっか、じゃあ帰ろう。」
だけど僕は、そんな状態の彼女をそのままにして、逃げた。
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