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vsオークキング①

舞い降りてきた地上世界の空を見上げると太陽が輝いている。

つい先ほど消滅した私の生まれ育った世界の太陽と、同様のものだ。

私のために造られた世界には夜がなく雨が降らなかったため、太陽は生き物を死滅させる存在であったが、舞い降りた地上世界での太陽は生物にとっては重要な働きをしている。

森林は太陽の光をあびて酸素を出し、二酸化炭素を吸収する。

空気中に酸素があるのも太陽のおかげであり、地球上のありとあらゆる生物を生かすエネルギーとなっているのだ。


初めて降り立った地上世界の大地は一面の草原地帯で、降り注ぐ日差しの中、緩やかに吹いている風になびく草の音が聞こえていた。

これが涼しいという感覚か。

息を深く吐き、思いっきり空気を吸うと酸素の濃度が濃いい。

地上世界の情報はミランダから教えてもらっていたが、想像以上に気持ちいい。

初めて見る山脈が向こうに見える。

0種族が支配するこの地上世界では多種多様な種族が共存し、大きな都市をつくり生活していると聞く。

種族間で殺し合いをする『千年戦争』が既に始まっているのだが、新しい体験や未知なるものに出会えると思うと、すごくときめいてしまう。

とりあえず、上空から見えた川の方へ行ってみようかしら。


川の方へ歩き始めようとした時、

―――――――何か見えない力に引っ張られた。


星に引力があるように、何かが私を引きずり込もうとしている。

あの個体だ。

100m向こうから歩いて来る16種族のオークキングが見えない力で私を引っ張っているようだ。

体長は5m程度あり体格がよく、全身をフル装備し、全長10m程度ある斧が印象的な個体である。

ミランダから16種族は好戦的であると教えられていたが、もしかして私に戦いを挑むつもりなのかしら。

だが、先入観で物事は判断するべきではないし、私を引き寄せる何か仕方がない理由があるのかもしれない。

でもやはり地上世界での初コンタクトがオークキングだというのは残念だ。

――――――その時、100m向こうにいるオークキングの声が響いてきた。



「空から舞い降りた人間よ、『千年戦争』の参加者だな。いずれの種族か我に答えよ。」



私が空から降りてきたところを視認していたのか。

私の種族を聞いてどうするつもりなのかしら。

上からものを言うような言葉遣いが気になるが、まぁ種族くらいは教えても問題ないだろう。



「はい。私は19種族で、『千年戦争』の参加者です。」



返事をしたものの、100m程度の距離がありますし、私の声が届くはずもないか。

大きな声も出したくないし、近づきたくもない。

というか出会っていない事にしたい。

どうしたものかしら。

オークキングば歩みを止め、大斧を草原に突き立て大きな声で笑い始めた。

なぜ笑っているのでしょうか。



「がははは。19種族は種族最強だと聞いていたが、なんてひ弱な人間なんだ。我に出会ってしまったのは不運だったな。か弱き19種族の人間よ、お前は我のFIELDSKILL『キャッスル』内に捕らえられている。もう逃がれる事は出来ないぞ。」



フィールドスキルとは、一定の領域に関して属性の変更を行うスキルだ。

つまり私はオークキングが展開しているフィールドスキル内にいるものだと読み取れる。

何かに引っ張られ、距離があるにもかかわらず会話が出来るのはその影響なのかしら。

それはそうと、オークキングは相当お馬鹿なようだ。

太陽の加護を受けている19種族である者が弱いはずがないだろ。

それに《《美少女は正義で最強》》である法則を知らないのかよ。

ただ、オークキングの話しを聞いてあなたに一つ興味といいますか疑問がわきました。



「私からも質問があるのですが、もしかして、あなたは16種族を代表として『千年戦争』に参加されている者なのですか?」

「我は『千年戦争』の参加者では無い。種族内の戦いに敗れたただの一兵卒として、16種族以外の全種族を皆殺しにする者だ。」



『千年戦争』は、参加している種族の代表同士が直接戦って、勝敗を決めるものでは無い。

最後まで生き残った者が勝者であり、各種族は全力で種族の代表をサポートするのである。

オークキングが16種族の一兵卒と言っていたのは、種族内では特別な立場ではなく、大勢の中にいる捨て駒の一つという事なのだろう。

ちなみに私に関しては、現存している19種族は私しかいないため、21種族であるミランダからしかサポートを受ける事は出来ない。

なんたって私は才色兼備の最強美少女なので、当然に一人でも超余裕である。

さて、クソ雑魚のオークキングであるが、私からすると戦闘をする理由といいますか必要性はない。



「16種族でも超雑魚であるあなたが、美少女最強の私に勝てるはずがないじゃないですか。見逃してあげますから、今すぐに私の前から消えて下さい。」

「いまなんと言った。人間ごときが我を雑魚と言ったのか!」



雑魚では無くて、超雑魚ですよ。

しかし今は、激怒しているオークキングの事よりも気になる事がある。

足元にいるアルマジロの姿をしたミランダが、黄色い声を上げて体を球体形状に丸め、草原を縦横無尽に転がっているのである。

オークキングとのやり取りには『我関せず』という感じではなく、はしゃぎ過ぎて気が付いていないようだ。

私はね、他人が楽しそうにしていると気分が落ち着かなくなるのよ。

なので、事故に見せかけてミランダをキックしてみた。

通常の物理攻撃を受け付けないくらいに硬いアルマジロの外殻を蹴った感触はというと…、うん、気持ちいいです。

草原の上をバウンドしながら「何をする!」と激怒しているミランダを見て、気持ちが落ち着いてきました。

有難うございます。

また転がして遊んでやるぜ。

私が気分が上がってきたところで、オークキングがふざけた事を言ってきた。



「なるほど。人間ではあるが19種族はそれなりに力を持っているという事か。そのか弱き容姿に侮っていたのかもしれん。それではFIELD SKILL『キャッスル』を全開させて、我の強さを教えてやろう。驚嘆するがよい。」



何だか凄い自信だな。

驚嘆はしないと思いますが、まぁいいでしょう。

そのFIELD SKILL『キャッスル』とやらの全貌を拝見させてもらいましょう。

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