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25話 インパクト値について

高さが20mほどある天井パネルから落ちてくる太陽光が、要塞都市の地下1階層に雑多な感じで広がる街を明るく照らしていた。

風の音が聞こえ、新鮮な空気が流れている。

賑やかだった商店街に白いスーツに身をかためている男が現れると一般人達の姿が消え、寂しくなった道路には機械人形達が肅々と街の衛生活動をしていた。

屑礼は、FMとの戦いで敗北し地面に仰向けになっており、悪魔の加護を持つサマエルの分身体と、豪画と呼ばれているタンクトップに短パンを着た健康的な笑顔を浮かべている少年が、屑礼達の戦闘を静観している。


屑礼はSKILL『ディレイ』の効果により、FMが精製した矛と楯の動きをキャンセルさせたものの、そこで勝利を確信し油断してしまった。

最後に攻撃したパンチがコンパクトなものだったなら、結果は変わっていたかもしれない。

屑礼は、私に生命の危険を知らせる効果がある『危険予知』を発動させた者だ。

もう少し出来る奴かと思っていたのだが、見込み違いだったのかしら。

とはいうものの、屑礼は敗北してしたことにより戦況が変わることはないので何ら問題無い。

常に私の勝利は約束されているのだから。

15種族から千年戦争に参加しているサマエルの分身体が、悪魔の力を分け与えているというFMへ私と戦うように命令をしてきた。


「FM。そちらの可愛いらしいお嬢さんは、私の敵だ。連戦となるが君が相手をしてやりたまえ。」


サマエルが召喚してきたFMと豪画に用はないが、サマエルの盾になるのなら排除することはやぶさかではない。

FMはサマエルからの命令を確認するかのように背後を振り向いたが、腕組みをし反応する様子が無い白いスーツの男を見て、再びこちらへ向き直した。

史上最強に可愛い剣聖と戦うつもりのように見受けられるが、私がただのウルトラ可愛い女の子にしか見えていないのだろう。

だが、15種族の代表であるサマエルについては、私が19種族の剣聖だと認識している。

つまりそれは、絶対に勝てない相手と戦うように配下のFMへ指示をしたということだ。

私の実力を推しはかる相手としても、FMは軽過ぎる。

何かを良からぬことを企んでいる予感がする。

サマエルの命令に戸惑いの表情を浮かべていたFMへ、豪画が後ろへ下がるように注文をつけてきた。


「その女の子は僕の獲物だよ。JJ(FM)は下がっていなよ。」


豪画は屈託のない笑顔を浮かべているが、横柄な歩き方をしながら近づいてくる。

先ほどから交わしている会話からも、相当わがままで上から目線の性格をしているのだろう。

そして、性格が歪んでいることを決定づける言葉を吐いてきた。


「その女の子は僕のペットとして飼う事にしようと思うんだ。ボスにも文句は言わせないからね。」


どういうことだ。

もしかしてだが、足元でくつろいでいるアルマジロの姿をしたミランダを自分のペットにすると宣言してきたのだろうか。

だとしたら、豪画という少年は大きな誤解をしている。

声を出さないようにミランダへ話しかけてみた。


『大変です。あの横柄なクソガキが、ミランダのことを雌のアルマジロと勘違いしているかもしれません。どうしたものでしょう。』

『何をいう。誤解しているのは安杏里の方だ。私はアルマジロの雄達がメロメロになるナイスバディをしているんだぞ!』


『そうですか。それは、それは。私から話しを振っておいて言うの何ですが、ミランダのボケって、全く面白くありませんよ。本当にボケ老人でないか心配になってきました。』

『何を言う。私のボケは常にクリティカルヒットだ。まだまだ若い者には負けないぞ!』


ミランダはとても満足気な表情をしている。

親父が駄洒落をいう心理とは、かまってくれなくなった女子達の気を惹こうとしているためだ。

それがエスカレートしていくと、周囲にどれだけ呆れられようとも意に返さない精神力を獲得し、自身が面白い親父であると勘違いをしてしまう。

まさに、今のミランダがその駄目親父のレールに乗ってしまっているのだろう。


ミランダのことは放置しておくとして、まずは私の事を舐め腐っている豪画の相手をさせてもらいましょう。

サマエルについては口を挟む様子はなくただ成り行きを静観し、FMは気絶している地面にのびている屑礼を邪魔にならない位置まで引き摺っていた。

無駄だとは思うが、豪画へ忠告をしておこうかしら。


「頭が軽そうな豪画(あなた)に警告させてもらいます。私に対して非礼を詫びるなら見逃してあげましょう。」


私の警告を聞いた豪画の表情から朗らかな笑顔が消え、残忍なものへ変わっていく。

口角を吊り上げ、長い舌を出してきた。

自身をヤバイ者であると見せかけ、相手に威嚇をする時に、無駄に粋がってきるお馬鹿がやる行動だ。

はい。全然怖くありませんよ。

怖い点においては、屑礼より遥かに下だ。正確には気持ち悪い点だけどな。

ヤバイ奴という点でも、絶望的にヤバイ親父であるミランダよりも軽い。

豪画が演出しているヤバイ者のインパクトは質としては劣悪だ。

その豪画が両手を合わせ指の関節をボキボキと鳴らしながら、更に歪んだ言葉を口にしてきた。


「いいねぇ。僕は気が強い女が大好きなんだ。僕からもお姉ちゃんに警告してあげるけど、気が強いおねぇちゃんを屈服させてさげるよ。許しを請うてきても開放はしないよ。飽きるまではオモチャとして使ってあげるからね。」


言葉の端々から、女性に対して性的暴力を繰り返してきたものと思われる。

怒りで心臓の鼓動が速くなっていた。

ここで私に出会い、処刑されることが、豪画(おまえ)の運命であり必然だったということか。

千年戦争で不要な戦闘行為はしないつもりだが、豪画という害虫は例外とさせてもらおう。

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