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ギリギリで〇〇嬢だろう

太陽に照らされた草原地帯の地面が熱を持ち、日中で1番気温が高い時間帯になっていた。

吹いている風が少し冷たく、揺れる草が騒めく音が聞こえてくる。

灼熱に燃える太陽の世界から地上へ舞い降り、16種族のオークキングに続いて100個体以上のゴブリンを皆殺しにし、そして11種族の侍であるASという少女に決闘を挑まれ、今しがたその決闘が終わったところだ。

居合い抜きから繰り出された斬撃に刀を合わせてきたASは、その手の骨を砕かれてしまい両膝を地面についていた。

綺麗な桜の模様が施された女侍がいる場所まで一直線に草地が切り裂かれ、露出した地面がえぐれ粉塵が舞い上がっている。

残虐性を感じさせる痕跡は斬撃によるものだ。

手首を斬り落とすつもりで放った一閃であったが、刀を合わせてくるとは思わなかった。

ASは将来、歴史に名を残す剣客になるかもしれない。

約束をしたわけではありませんが、私の斬撃に耐えきった事ですし、この決闘は私の敗北にして差し上げましょう。

その時突然―――――――――


――――――SKILL危険予知が発動した


至近距離まで間合いを詰めていた屑礼(くずれ)が、私の首筋に小型ナイフを突きつけていたのだ。

『危険予知』は命の危険がある時にしか警告を発しないSKILLであるはずだが、クソ雑魚の0種族にナイフを突き付けられたくらいで危険水域に陥るはずがない。

SKILLにバグが生じたのかしら。

その屑礼が虚無な表情で、決闘を中止するように働きかけてきた。


「見てのとおりASは戦闘不能だ。決闘はここまでにしてもらえないだろうか」


チベットスナギツネのような表情をした男は、ASとの決闘を継続させたくないために、私へナイフを突きつけてきたというわけか。

はい、もう私に戦う意思はありません。

だが今は、SKILL『危険予知』が正常に稼働しているのか確かめる必要がある。

もし『危険予知』が正常に稼働しているとしたら、0種族が私を追い詰めている事になる。

もしそれが本当なら0種族が最弱であるという認識を変えなければならない。


「承知しました。ASとの決闘を中止します。その代わり、屑礼(あなた)の大事なものを切り落としてさしあげましょう。」

「俺の大事なものだと。その大事なものって何の事だ?」


「告知します。逆手からノーモーションで抜刀させてもらいます。」

「だからちょっと待てって。俺の大事なものって何なのかを教えてくれ!」


屑礼から発せられる言葉を無視して、集中力を高めていくと脳が溶けていく感覚になる。

体から全ての力が無くなり、静かに息を吐いていくとスライムのようなドロドロの生物のようになる感覚に陥っていく。

もう余計な声は聞こえてこない。

この状態からの一撃は、私の繰り出す斬撃の中でも最速ものだ。

更にいうと、至近距離からのノーモーションでもある。

私の先輩達にもあたる過去の剣聖を含めて、全ての種族が回避不可能な斬撃であると断言しよう。

SKILL『危険予知』が警告を発し続けているのであるが、どうしても生命の危険に陥っている要素があるとは思えない。

神経を研ぎ澄まし、ゆっくり神剣クラスソラスに手をかけようとした時、屑礼が何かを呟いた。



——————ディレイ



神剣クラスソラスが屑礼を斬り落としているはずだった。

これは一体?

何故、私は抜刀していないのかしら。

というより神剣すら握れていない。

…。

深く息を吐き続け、酸素を取り入れていない自身に気がついたというか、一瞬、無防備な状態になっていた。

予期しない状況に集中力を欠き、思考が停止していたのだろうか。

陥っている状況を把握できず混乱してしまっていた。

そう。最強である太陽神の娘である私が、決定的ともいえる隙を一瞬つくってしまったのだ。

それも0種族を相手にだ。

仮に私が絶滅したとしてもPASSIVESKILL『不死鳥』で蘇るのだろうが、敗北してしまう状況になってしまったことは事実である。

認めるしかない。

ミランダの教えのとおり、全種族が私を倒す事が出来る可能性を持っている事を。


「大事なものを切り落とすには後日にして差し上げます。」


戦闘態勢を解き屑礼との間合いをとろうとした時には、既にSKILL『危険予知』からの警告音は止まっていた。

戦闘の終わりを告げ、今しがたの出来事について考えていると、小型ナイフを収めた屑礼が、空けた間合いを詰めてきた。

表情はチベットスナギツネのように虚無であるが、眼光には力が感じられる。

何か妙に食いついてきているようだ。

何故だか更に追い詰められている気がする。


「だから、ちょっと待ってくれよ。俺の大事なものって何なんだよ。その正体を教えてくれよ。」

「何の話しをしているのですか。と言いますか、それ以上近寄らないで下さい。」


「俺の大事はものが何であるのか安杏里の声でその言葉を聞きたいんだって!」

「何ですか、それ。私にその言葉を言わせたいってどう言うことですか!」


「だからそれがご褒美になるんだよ!」


ご褒美だと?

そういえば、以前も『ご褒美』がどうのこうの言っていたな。

というか、凄い執着心を感じる。

屑礼の背後から鬼の形相をしたASが忍び寄っている姿が見える。

刀身は砕けてしまったが手に刀の鞘が握られていた。

背後から屑礼の後頭部を殴るつもりのようだ。

分かりました、屑礼の注意を引き付けるように努めましょう。


「ご教授頂きたいのですが、そのご褒美とはどういう事なのですか?」

「そこから説明しないといけないのか。そうだな、例えばだロリ嬢の安杏里から言葉攻めなんかをされると、それがご褒美になるというかだな。」


『バキ!』


屑礼の言葉を遮り、ASからの一撃が後頭部を捕らえた。

屑礼は嗚咽のようなうめき声を吐きながら「ASからのはご褒美にならないんだって!」と地面を転がっている。

本当に気持ちが悪い生き物だな。

気が付くと草原をコロコロと球体生物が足元に転がってきた。

アルマジロの姿をしたミネルバである。


『ロリとはロリータの略称で一般的には12歳くらいまでの少女を指すが、15歳くらいまではギリギリ有りだろう。安杏里の場合は80%が幼児体型なので、一般的にもロリ嬢と言えるな。専用の服装を装備すると相当な引き合いが予想できるぞ。』


反射的にミネルバを加減無しで蹴り飛ばした。

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