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太陽よ、ムーンショットを止めろ!  作者: 白い月
ブルゴーニュ経由でヴァーレンスに戻る
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追放大喜利

 上下水道が整った街を歩いていると、あるもめ事を見かけた。

挿絵(By みてみん)

「何やってんの天火明命あめのほあかりどの。散歩中に絡まれた? 男の天照に絡むとか命知らずだな」

 ミハエルがそうつぶやく。

「え、男の天照って噂の」

 とリディアがそう呟く。

「光で消されて終わりを覚悟しないといけませんね」

 水鏡冬華がそう呟く。

「わたしですらそんな恐れ多い事しないよ~」

 天火明命の前でうずくまってる男を見つつ桜雪さゆは恐れている様子で呟く。

 1人は物凄い男前な上下白い服を着た男性、もう一人は悔しさに顔を歪ませてうずくまっている男である。

挿絵(By みてみん)

「どうしたものかな……」

 男前な男性が困ったようにそう呟く。

「つまり感情のこもりまくったさっきまでの君の言動をまとめると。

 追放物のストーリーが流行っている。

 君は、宇宙から追放された。俺を追放した宇宙なんて落ちぶれないといけないんだ! 俺を見下してる奴らなんか落ちぶれてしまえ! 追放側を赦すな! で追放側が宇宙全体と。

 宇宙全体を許すなと。こういいたいって事だな? 恨みが暴走しすぎてないか……?

 天之御中主神

 高御産巣日神

 神産巣日神

 宇摩志阿斯訶備比古遅神

 天之常立神

 の独り神の中に入れず追放されたから独り神の作った宇宙全て落ちぶれろと。

 で今、追放物のストーリー流行っているから俺を追放した宇宙の根源そのものに流行りで復讐してやると。追放物のストーリーでは追放した側は許されない風潮だ。だからこの宇宙そのものが許されない風潮だ? へ~~~。

 はぁぁ~~~。

 あのなあ。独り神ってなんかこう栄誉を褒め称えられてどうこうってモノじゃないんだけど。入るとか追放とか関係ないんだが、神をアイドルグループとして見ていないか? 偶像崇拝だぞ。

 なんか、努力しないで成功したい全肯定されてみたい。羨ましがられつつ好かれたいって気持ちがあふれでてるぞ」

「うるさい! 俺は宇宙の根源そのものに復讐しないといけないんだ! 俺を見下してる奴らなんか落ちぶれてしまえ! 追放した宇宙を許さん!」

「恨みに心を支配されつくしてないかこれ……ルシファーが宇宙の禁止領域に首突っ込んで1つの首から7つ首に精神分裂したときよりひどくないか……」

「この宇宙に今更戻って来いと言われても、もう遅いぞ! 俺がいなかったら宇宙は崩壊するからな! ははははは!」

「それ黙って消えれば君の目的達成できないか? というか宇宙に今更って今戻ってきてるじゃん。君の言う事が本当ならば。わたしの前に姿現してわたしに絡み続ける目的が分からん……」

 と、そこで剣を抜いた出雲健が割ってはいる

挿絵(By みてみん)

「人の実力、権力、財力はその人の魅力とイコールにはならないよ。同じだったら、君たちの心に上司の愚痴なんて存在しないからね」

「出雲よ。殺すつもりか?」

「ええ大国主様。エネルギー波とか打てるみたいですしね。放っておいたらあぶなっかしいでしょう」

「まぁ待て。こやつは生かそう」

「生かそうだと! 偉そうに何様のつもりだ!」

「……いや。わたし」

「人間の生みの親の天火明命だよ。最初失敗したけどね。水子の話とか下界でも有名でしょ」

 天火明命が言いよどんでるうちに出雲建が口を挟む。

「人から神へは毎年ちらほらいる。いるんだが、お前みたいなあらぶり過ぎな魂はできんな……。大体望み自体――自分がちやほやされたいばっかりでちっちゃいし、そんなん神にしたら下界の人間がお前のおもちゃにされちゃう。

 お前が神になって何でもできる力を手に入れたとしたら、もう下界に住む人はもう人間ではなくなるし、全員悔し涙流しながらお前の人形になるしかない。

 お前は下界を引っ掻き回すからな、性格からして。

 お前に気に入られなけりゃ生きてもいけない、そんな世界に生きる人間は人間じゃなくてお前のおもちゃだ。

 わたしは人を生み出した光の神として、子どもたちがおもちゃにされるのを黙ってみるとこはできんよ」

「しない! いや神となれば下界に手を出すだろうが人の世がよくなるように――」

「お前の思いどおりになるようにだろ」

「違う!」

「口ではどうとでもいえる……後でこんなはずじゃなかった! あいつさえ俺の思う通りに動いてくれればとか言うのもおまけでつく」

「違う!」

「ちがわないよ。だってお前の心自分の方向しか向いてないんだよ

 恋人できても、自分の大切なものを狭く暗い場所に押し込めて、

それがてめえの愛と言いそう。

 そんなことをしてお前の恋人はお前を愛してくれるのかって、世界に対してそんな悲しいことをして世界はお前に恵みをくれるのかって、わたしはそう言ってるんだ。

 そんな愛は粋じゃないんだ。受け手の事考えてない。

 別に滅んでもいいじゃないか。愛がなくなった世界なら。

愛より腐ったシステムを優先させるようなシステムに魂奪われたシステム人間なんか。

 愛を殺して生き延びる世界になるくらいなら、いっそ滅んじまえ。

 愛を殺さないように生きようぜ。こんな世界、窮屈でかなわねえ。

 とはあそこのフレデリック=ローレンスが啖呵切っていたんだけどな。あの啖呵切りはよかった。

 『誰かが人柱にならないと存続できないような世界は滅ぶべきだ!

 生き物としての本来のリスクすら受け入れ拒否してんじゃねえ!

 ひとりひとりが自分の考えで、足で歩んでいける世界が健全だ!

 可能性を捨てるな。奇跡にすがるな。安全安心という標語につられて自分の権利を投げだすな!

 怖い時は俺が抱きしめてやるよ。前に進もうぜ』

 ってな。アレはかっこよかったぞフレッド」

「あっははー忘れちゃったなあ俺そんなこと言っちゃったっけ?」

 天火明命はフレッドのそんな照れ隠しの態度を見て笑う。

「この宇宙そのものが許されない風潮だとかいうお前にはそれは言えない。自分が神となって人間を人形扱いしてちやほやされたいと思ってるお前には言えない。

 心が窮屈な安全な死んだ社会なんて壊した方がいい、生きるリスクをちゃんと本人が背負って原始時代まで戻してでも安全を言い訳にして狭苦しくする社会は壊すべきだと啖呵切れないお前は神にふさわしくない」

「ふさわしくなかったら、どうするんだよ」

「どうもせん」

「何……!?」

「その狭苦しい心を持ちながら生きながらえる方が地獄だろう。

 生きよ、自分の醜い心と向き合いながら。死ぬべき時は君に怒った周りの人間が決めてくれるだろう」

「ぐっ…………くそぉ!」

 と男が天火明命に向かって刃物を振りかぶる

「僕をどうにかしてから、大国主様に剣を向けてね」

 出雲建が割って入る。

「ちくしょお!」

 男の悔しがる声がその場に響き渡った。

「無理ですよ、出雲さんを潜り抜けるなんて……」

 と冬華。

「わたしでも全力出しても無理ー!」

 とさゆがぼやく。

「くうあっ!」

 そんなうめき声を発しつつ、男はミハエルに殴りかかった。ミハエルはよける。

「お前、生きてるサンドバックなら何でもいいから当たり散らせる生き物が欲しいんだろ。

 うっぷん溜まってんだろ。

 いいぞサンドバックじゃない反撃するバックだけどわたしがなってやる。ルシファーのオーラが濃いやつめ」

「ちょっとミハエルさん」

「おひとよし~息子さん!」

 水鏡冬華と桜雪さゆが声を上げる。

「こいよ! 地球逃げ出してここで神になるつもりだったんだろ!?」

「てんめえええええええええええええ!」

 ゴッ!

 ミハエルの眉間に男の拳が刺さる。

「殺してやる! 殺してやるぜ! この野郎おおおおおおおおおお!」

 ゴンッガッガンッゴン

 あまり聞きたくない音がする。

 ミハエルの頭部が拳によりあっちいったりこっちいったりしている。

 ミハエルは敢えて避けていない様子だ。

 男の拳にはそんな優れた技は見当たらない。

「殺してやる! 殺してやる! 死ねよ馬鹿野郎! うおおおおおおおおおおおおお!」

「ちょっと、これは騎士団とか呼んだ方が――」

 とうろたえるリディア。

「いい気になってるな、あいつ……」

 サリサが今にもとびかかりそうな顔しながら吠える。

「いい加減に――」

 激怒した顔で割って入ろうとする水鏡冬華が、

「ちょっと待った」

 出雲建に待ったをかけられる。

「お前殺すぞ!! 出雲……」

「こっわ。さっき、

 『無理ですよ、出雲さんを潜り抜けるなんて……』

 て言った人とは思えないというか女性でその恐ろしさ出せるのはさすが竜神……」

 ぐわしっ

 水鏡冬華が出雲建の顔をわしづかみにする。そしてそのまま腕を伸ばし出雲は宙に足が浮く。

「どきなさい出雲建」

「ちょっ、半竜……」

「君とさゆくんは力使いこなせるようになったらね。僕でもまったく余裕じゃいられないから正直怖いんだよね……君たち2人は自覚あるのかどうか分からないけど」

「冬華、やめなさい」

 ボコボコに殴られているはずの男の声がした。

「…………!?」

 思わず出雲をわしづかみにしている手を下す。

「…………わかったわ」

「こんだけさ。殴るのって重労働だと思うんだ。ほら目の前の顔、こんな血管ぶちキレてそうな顔つきで他人の顔ずっと殴りづつけてるんだぞ。

 でもてめえの拳一発もシンに届いてないんだわ。ハートが惰弱な拳なんて」

 口から血を流しながらミハエルは言う。

「血流しながら上等なこと言ってんじゃねえええええ!」

 ヒュッ!

「ぐえっ」

 バコーン!

 キレイな音がした。ミハエルの左拳が男のほっぺにめり込んだ!

「このやろう!」

 男が右拳を振りかぶる。

 ヒュッ――

 だがミハエルの右拳の方が早い。男のボディに刺さる。男がくの字に折れる。

 そしてミハエルが掌底しょうていの形で左を相手の顔に当てた。それで相手は吹っ飛ぶ。

「まあ、やられっぱなしのつもりもなかったから反撃したけど、男の顔あれだけ長時間殴れたら嬉しいだろ? あれだけ長時間ルシファーの霊気込められて、殴られて腫れてないわたしってすごくない? 血は出てるけどさ。自画自賛。自画自賛と言えばルシファーのオーラ外しの気弾も掌底しょうていと共に相手の体に埋め込んだ、我ながら抜け目のなさ」

 誰に話しかけてんのか自分でも分からないミハエル。

「空見て心癒せ! 雲がよどんだ気持ちどこかにもっていってくれんだろ!」

「あなたったら、本当にバカなんだから……」

 水鏡冬華がハンカチ片手にミハエルに寄っていく。

呪禁じゅごんで顔の怪我治しますね」

「いや、いい」

「なんで!」

「わたしも呪禁使えるし、しばらくこのケンカ顔でいたい気分だから」

「もう、バカなんだから……意味わかんない」

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