ちょっちー! じゃなくてちょっぴー!
ブルゴーニュ国の港町ラスロの船着き場。
「ちょっぴー!」
「おヴぇおヴぇおヴぇあああああああ!」
船から出て貿易品を扱う人が襲われているのに助けに入るミハエルとリディア。ミハエルは拳で刃物持って襲ってきた奴をぶっ飛ばしながら疑問を口にする。
ミハエルに殴られた奴は、何か言いかけながらぶっとばされていく。
「なんか、なんか。こんな治安悪かったっけブルゴーニュのラスロ港、ねえリディア!」
「わたしに聞いても分かんないわよ! 海挟んでるとはいえ魔導船なら風向き気にせず、すーぐ行ったり来たりできるからカイアスの荒れっぷりが元凶じゃないの?」
「ちょっとこれ、腹減らした人が多いって問題なら暴力以外で解決できそうだけど、ちょっぴー! じゃ何が何だかわからん! リディア! おヴぇおヴぇおヴぇあああああああ! をちょっと人間語に訳してくれ!」
リディアの肩をポンんと叩いて翻訳を促すミハエル。
「わかるわけないでしょ! てゆーか、やられ声と普通のセリフ混ざったんでしょ!?」
「基本この星の言語は男の天照の言葉の現代風なんだけどな」
つまりスメラ言葉の現代語バージョン。要は日本語である。男の天照が創造した天体である。天照が自分で創造した星だ。何を公用語にしようが天照の言う通りだ。
「とりあえず殴る蹴るでとっちめようぜ。刃物でどうにかするのより大人しくすみそうだ」
「ふっふっ。この勇者ジェムズに任せなさーい」
フレッドと勇者ジェムズが乱闘に割って入る。
「アニポー!」
フレッドにやられた盗賊が、意味がつかめない事を全力で叫んでやられてゆく。
こちらは船の貿易担当員10人+ミハエルら4人、あちらは30名と数では劣勢だが実際は優勢である。
「しかしなんか終末を感じさせる状況だなぁこれ?」
「手伝います! ミハエルさん!」
冬華が騒ぎに気付いてミハエルに叫ぶ。
「いや、いい! 出雲君の霊気近づいてきてるから! こっちは大丈夫だから甲板の方警戒してて陽動の可能性も考えるとねー」
「やん!? ちょっと離しなさいよ!」
リディアの足首に男の手が。男はリディアの足首を掴んだままその手を上に上げる。
「ちょと! 見えちゃうでしょ! とっとっとっ!」
リディアが右片足掴まれた状態で転びそうになる。
「このぉっ、電撃食らいたくなければ足離しなさいよ!」
リディアは顔赤くして電撃魔法の準備にかかる。
そして――
(リディアをとらえて奴隷にでもするつもりか?)
ミハエルがリディアのサービスシーンを刻んだ後で、後ろから彼女の足を掴んでいる男の背中を蹴飛ばそうかと思った時、
「ちょっちー! て言葉流行ってるの? 意味教えてよラスト素戔嗚!(キランッ☆ミ)」
「ちょっちー! じゃなくてちょっぴー! ね。出雲君」
出雲建が空中から飛んできた。
「ごめんごめん。こんな治安悪かった~? ラスロ港?」
「わたしと同じ感想吐いとる出雲君。
うわー出雲君来て楽になったわ。もう相手のペースにならない安心感があるね。どーせカイアス脱出して平和な所で略奪しようって腹でしょー。
これカイアス王都壊滅させてたらこんなののパワーアップバージョンが世界中の港で起こるなあ」
「あ! ミハエルさん! 族たち逃げていくわ!」
「賢い判断! 逃げてもらった方がいいわ。敵対してるとはいえ殺しなんてしたくないしな!」
リディアの言葉にミハエルが反応する。
「あとわたしの恥ずかしいポーズしっかり目に焼き付けたでしょ!」
「え! はい! …………そのくらいの余裕あったから。余裕見せても助け出せる自信あったから」
「ちゃんと見えてましたからね! エッチ! スケベ! 変態!」
「いやいや。君戦闘中に自分が相手してる敵じゃなくてわたしを見てるって危ないよー危ない危ない。
「だって…………」
「君のような美人でタイトスカートで足適度に太くてそんな子があられもないポーズ取ってたなら男は見ますって」
「ミハエルさんくらいイケメンでも見るの!?」
「出雲君の方がイケメンだよー、そしてイケメンかどうかは色気抵抗には関係ないな。出雲君出雲王国で嫁13人いたからイケメンほど抵抗力高いなら13人も嫁つくらんわ」
「人の女性遍歴言うのやめてくれない!? ラスト素戔嗚!」
「ミハさん! そのリディアちゃんの天国みたいな光景後で説明頼む!」
「はっはっ。この勇者ジェムズもその天国に興味ある!」
「何言ってんのよフレッドに勇者ジェムズ! 何が天国よ、絶対言うなお願いだから誰にも言わないでミハエルさん! 泣くわよ! あんまりわたしいじめたら四六時中あなたに付きまといつつ、あなたの腕にしがみつきつつしくしく泣くわよ!」
ちょっと涙貯めてリディアがミハエルの袖をひっぱり、上目遣いでミハエルを恨めしそうな感じで睨む。
「…………う~ん」
「悩んでるんじゃな~い! ミハエルさん!」
貿易品も少し奪われただけで済んだ。




