魂吸われるとか思っちゃうタイプ~?
ミハエルもリディアも船の時間に間に合った。今は船の甲板上である。
「服くらい、いらない服、わたしがあげるのに……」
と冬華。冬華のクローゼットは服でギューギューである。
それはともかく、ヴァーレンス行きだがブルゴーニュへも行くので南に行って西へ行きヴァーレンスへ到着する予定の船の中。
風の強い甲板で外にてでいるというのに魔導端末のショート動画見て騒いでる旅行者がいた。
「魔導端末海にぽちゃんするわよアレ」
と水鏡冬華は思った。
その女の子が甲板でスカートを抑えている水鏡冬華と桜雪さゆの写真を撮っていた。
水鏡冬華は凄まじき美人なのに写真が嫌いである。
つまり彼女にレンズを向けると機嫌が悪くなるという事である。
「ヴァーレンスの水神神社の巫女さんとこんなところで出会っちゃったー。写真とっとこ」
「覚えてくれたのはありがたいけどね」
と水鏡冬華は言葉を1つ置いて続ける。自分はこの女の子は知らない人だったが。
「わたしの写真撮るのやめて。芸能人じゃあるまいし」
「えー写真苦手なのー? そんな美人なのにおかしー! 魂吸われるとか思っちゃうタイプ~?」
女の子の態度に腹立った水鏡冬華。
「あなた、ショート動画見るくらいなら、映画見た方が色々得るもんあるんでない? もしかして3行以上の文章頭に入らない系? 映画も2時間見られない映画見てる最中で我慢できずにシアターで上映中に携帯端末いじりだしちゃうからショート動画?」
女の子が水鏡冬華にショート動画を旅行に出かけているのに夢中になってみているとこにまで突っ込まれる。
水鏡冬華は突っ込む気はなかったが腹立ったついでにそこも非難しておく。
「ショート動画の方が人気度すぐわかるじゃん横に再生数載ってるし! 映画は再生数ないでしょスクリーンに! わたしのショート動画踊ってるの素の再生数1万超えてるし!」
「ショート動画ってネットタトゥーにならない……? そんな子供の知育動画みたいなの、黒歴史メーカーって印象が……。素顔晒すリスク考えた方がいいよ……? なんでも玉石混合なのはわかるけど、石の比率が高いのがね~ショートは」
「おっとそれはわたしやあなたやサリサにはブーメランで帰ってくるわよー~~! わたしらRTAPTの生放送動画に映っちゃったもん!」
と桜雪さゆがツッコミ入れてくる。
「まあ、あのアーリマン退治したRTA動画に出て世界中配信になったけどわたしたち。
あと、あなた無意味に写真撮らないでっていってるでしょ芸能人じゃないしわたしたち! わたしたちのネットに流したら承知しないわよ!」
写真アプリ起動させてる動作を見とがめて注意する。
「ショートムービー、わたしが何を好きになろうとわたしの勝手じゃん!」
「そりゃ勝手何だけどね。じゃあその動画でリアバレとかで自分がピンチに陥っても誰も助けてくれる人なんていないって話よ」
水鏡冬華が安全面から指摘する。さゆは前々から思ってたことを言う。
「ねえねえ。あなた、面白いって何なのか判断できなくなってるんじゃないの……?
数字に支配されてるよ魂が。
小説なら裏工作してても星多いのが全て、動画や通販ならサクラでもgood押されまくってるのが全てであなた自分の感性で判断してないように見える……。
あんたの魂、数字に食われてるよ……数字は人の心を操る物であってはいけないよ!
テストの点数しか見ない学校、患者の心じゃなく検査の数字しか見ない医者、業績しか見ない職場! これらは全部クズよ。
こういう奴らは綺麗ごとぬかすな結果が全てって言うけど『自分が数字というシステムの奴隷なって惑わされて落ちぶれてる』ってオチよ、あははは!
何がクズって数字だけで人の心を見ていないからよ!!」
桜雪さゆが深い所まで突っ込んで煽る。
さゆのあおりに悔し涙を浮かべて距離を置く女の子。
「なにさ! ばーかばーかウザい! もうアンタの神社行ってあげないからー!」
桜雪さゆが水鏡冬華にごめんとあまやる。
「態度悪い客1人来なくしちゃった。ごめんねー冬華」
「まあ、別に客商売かというとそこまででもないし……あの神社」
風でめくられないようスカートと髪を抑えつつ水鏡冬華はそう返した。




