フェニックス。一部で悪魔言われてる鳥だね
そうしてヒメネスの街で一夜を過ごし、スパロウへ向かいだすミハエル一行。
途中モンテーロの街がある。
モンテーロには大きな教会があり、聖女がいると噂だ。
「何教なんだろ。八百万の神とは違うようだし」
ミハエルが呟くと、リディアが答えてくる。
「なんか、不死鳥を崇めてるらしいわ。フェニックスとか」
「フェニックス。一部で悪魔言われてる鳥だね。悪霊軍団20ほどを率いる侯爵の地位を持つ悪魔」
「え。悪魔に侯爵とかあるんですか」
リディアが驚きの顔でミハエルを覗き込んでくる。
「あるよー。というか人間で位をつけ始めたのも悪魔のランク付けを真似たって言われてるからね。
だから昨夜ミハエル卿とか止めて~普通にさん付けでいいよってわたしいったのはそれが原因。
悪魔見習いたくないって気持ちがまず最初にある。
えっと、王、君主、公爵、侯爵、伯爵、総裁とかね。王はバエルとかベリアルとか、君主はヴァサーゴとか、侯爵はバルバトスとか、侯爵はマルコシアスとか、伯爵はアンドロマリウスとか、総裁とかはヴァラクとかかな」
へぇーと感心しながら、リディアが言葉を続ける。
「よく知ってますね。色々調べたんですか?」
「いや。戦った事があるからだよ……いやでも覚える。皇帝ルシファー、君主ベルゼブブ、大公爵アスタロトとは最近戦ったしな。逃げられたけど」
「え。実際にですか……」
「うん……で、悪魔フェニックス崇めてるとなるとちょっと怖いね~」
「不老不死とか願ってそうですね」
「そうそう。やられてもすぐ復活する不死の軍団とかね、ははは」
「うわーこわいですね~」
リディアも話しにくいついてきている。リディアは何かの宗教を信じている様子ではなさそうだったな、とミハエルはリディアを観察していた。
「あ……あの」
リディアが恐る恐るといった感じで聞いてくる。
「はい……なに」
ミハエルは普通に受け答える。
「その、昨日夕食の時間に席外しましたよね? た、た、体調でも悪かったのかなって……思って……」
「体調悪いのはフローター・クレーヴの5人だったじゃん。体調悪いというか食べ物がない状態だったけど。
席外して失礼な真似して悪いね。フレッドに言っておいたから大丈夫だったでしょ?」
「え、えぇ……大丈夫だったのですけど、でも…………」
もじもじしながら、リディアが興味が抑えきれないといった面持ちで。
「今後のことで冬華とサリサと相談してたの。話し長引いちゃって君たちには失礼だったね。ごめん」
「い、いえ! その……」
「ごめんなさいね、リディアさん。わたしが切り出した話なの」
冬華が援護に走る。
「えっ、あっ、えっ……。そ、そうなんですか……?」
「ええ。食事くらい顔あわせてしてから相談始めればよかったわね。ごめんね」
「い、いやあ、はい……」
とさゆがそこで口を挟んでくる。ミハエルに別行動する所を言う。
「ちょっと、聖女とやらにあってくるー」
「はーい、適当な所で遊ぶのやめておきなー」
「は~い」
「アンタ余計な遊びしか、しなさそうな気がすんだけど!」
と水鏡冬華が桜雪さゆに半眼でぼやく。
「隊長顔赤いでっすよ、体おかしいんですか?」
「何!? おかしいって!? わたしはどこもおかしくないわよ! ほっほっほ」
黒髪の女の子の部下が純粋に気遣って声かけたのだが、リディアの今の心を落ち着かせるには足りなかったようだ。
「……?」
黒髪の女の子は首をかしげる。
「あはははは! あはは! あなたにはまだ早い話題だからあっちいってなさ~い! こういうのはこの大人の雰囲気漂うスプレンディッド・アトモスフィア・ガールである、わたしがふさわしいのよ~! あはははは!」
黒髪の女の子は他のフローター・クレーヴの隊員の所まで戻ってゆく。
「どーしたん?」
「隊長の病気始まった」
「えーっ、でも病気始められる程体力戻ったんだね、わたしたち」
「おお、ポジティブ!」
「何よー、あんたたち人の振る舞いを病気ってー。このっこのっ」
「そりゃ皆昨日の夜あたしら猛獣かってくらい食べ物に食らいついたからね……わたしも。よだれが止まらなかったよ」




