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太陽よ、ムーンショットを止めろ!  作者: 白い月
カイアス王国からヴァーレンスへ帰りまーす
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賢者グオリ

 50歳ぐらいに見える落ち着いたヒゲの黒髪の掘りの深い男――グオリは崩れる砦から運よく無傷で生き延びた。

 勇者ジェムズがあのような行動に出るのははかっていた。

 ならなぜ起用したか。

 それは彼がとてつもなくムードメーカーだったからだ。

 砦の防衛線とは、なかなかしんどい。精神的にも、体的にも。

 そういう時、勇者ジェムズみたいな輩がその場で鼓舞してくれたり、茶化してくれたりムードを引っ掻き回すしてもらうと、兵士の体も心もリフレッシュできてそういう意味で彼の貢献は大きい。

 命もかかっている戦場の前線でそのリフレッシュがどれほどありがたいか。

 真面目一辺倒なグオリではそんなおちゃらけムードは難しい。そういう各人でできることとできない事を照らし合した結果、確かにグオリは勇者ジェムズは最適な相棒と思っていた。

 砦に閉じこもる戦いで士気を持ち上げる輩というのは大事だ。

 だが、情報を漏らさないようミハエルたちの間を縫って刃を差し込むのも至難の業、そしてムードメーカーやっててくれた相手を殺すのも心情的には忍びない。

 何より、相手はたった1人で魔導ファランクスを崩壊に追いやった男だ。天照の技まで使えるようになった男を。

 何気にこちらを警戒している者をグオリは見逃さなかった。

「ぶーぶー」

 などと騒いでいる、あの目立つピンクの十二単の女だ。

 はっちゃけているようで、こちらの警戒も怠らない。

 自分とは違う。その女を見てグオリはそう断じた。

 彼は戦上手だが戦は好きじゃない。

(戦争は嫌だ。だが起きる時は起きる。自分は早く終わらすために知恵を使う)

 自分は基本にのっとり堅実な戦法を取る。言うなら賢者グオリか。でもその呼び方を彼は拒んだ。賢者と呼ばれるうちに高慢さが自分に芽生えないか危惧したのだ。

 自分と違い、どうみても十二単の女はぶっ飛んだ策を好みそうである。

「堅実なのは服装そのものだけじゃな」

 その堅実なのは服装そのものだけの女が隣のセーラー服着たどうみても外見年齢は24歳くらいの若さに見える黒髪の女に言う。

「ねーねー半竜。あのがれきの中でナイスヒゲがこっち観察してるの分かるでしょ」

「わかるって気を感知してるから分かるんであって肉眼じゃわからないわ。隠れるのうっま」



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★



「そこのおヒゲちゃ~ん。別に殺したりしないからこっち来なよ~」

 ざっざっ。

 グオリは素直にがれきの中から姿を現した。

 見つかっている以上、これ以上隠れても意味がないと判断した。

「たとえ、それが嘘でもさっきの火力を見れば出てこないわけにはいかんな。

 だが誓って欲しい奪うのならわたしだけの命を。部下の命は助けてやって欲しい」

「常識人だな。それは君が出す情報次第だ」

 ミハエルがそう感想を漏らす。

(特に十二単の女。どのような奇策を用いようがこの地の力の差はどうしようもない……神にスッ裸で会ったようなものだ……下界で味わう感覚ではない。幸いなのは言葉が通じる事、これで、野獣よりはだいぶましだ……)

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