あなたを癒す役目わたしじゃなくて男にしかできないの?
2階が宿屋1階がホテルの建物に入ったら港町で分かれたフレッドと再会したミハエル一行。
酒場ではステージの上で男女の踊り子が踊っていた。
なんだかチョコを交換する日らしい。ヴァーレンス王国にはそういう習慣はないのでミハエルには、チョコ屋の策略かー、程度にしか思わなかったが。ダンスステージ近くに女の方のダンサーが作ったらしい(と書いてある)チョコが配布用として1人1つまでとして配られていた。
なんか酒場に落ちている。小説だ。
これも彼が酷い話と思い買う気すら起こらなかったものだ。
これもとりあえず主人公が強くてピンチに陥らない(今の読者は主人公かピンチに陥るとストレスらしい)
(それ、ピンチは読者がストレスになるから禁止って、主人公どうやって成長するのが、わけわかめなんだが)
とミハエルは思って本屋で元の位置に戻した記憶がある。
女の形をした喋るダッチワイフが秒で惚れる話を書いたら書籍化作家になったー、真面目に練った話は売れないんで読者が求めている話を描いて差し上げます。って言ってた作家だ。ガワだけ変えて主人公が強くて女の形をした喋るダッチワイフが秒で惚れる話を描きづつけている。
「お久し! 情報取れるだけ取っといたぜ! 今紙にまとめてる所だ」
とフレッドが手を上げて挨拶してくる。そして紙を見せてくる。
「おいおい、冬華ちゃんどうしたの? 立てねえみたいだけど……あれ、魔導士と戦ったの冬華ちゃん? セーラー服びちょびちょジャンどうしたよ一体?」
「いや、フレッド。聞いてくれよ、実はなミカエルの菱形の話題で盛り上がってる時に――」
「おま、ミハさんセクハラで冬華ちゃんの足ガクガクにさせたんかよ。俺が調べてる時にそんなけしからん真似してたんかよ~、うらやましいね~、スケベな真似も大概にしておき――」
「あはははっ――――!」
「何笑ってるの男ども! 恥ずかしいんだから!」
さゆに支えられたまだもうちょっと自分じゃ歩けない水鏡冬華は、そうわめきつつも嫉妬のざわついた心に支配されていた。
(だから嫌いなのよ。ミハエルさんがアリウスさんかフレッドと一緒にいる時は。
わたしにも見せない表情を男には見せるミハエルさんホント気抜いていられるって感じミハエルさんは男にしか見せない……そんな顔、わたしに見せて欲しいの……わたしじゃあ不足だって言うの。あなたを癒す役目わたしじゃなくて男にしかできないの?
男x男って非生産的だわ!)
「落ち着いた? 大丈夫冬華――」
とミハエルが冬華に言ってくる。
「…………ふんっ。それだけじゃあ、機嫌直しませんから」
「半竜……。考えてる事バレるような顔しないの」
「……!? 別に、わたしは、そんな……」
「嫉妬する必要のないことに嫉妬しちゃってー。バカな子」
「ふん、そうやって全部お見通しの振りしてなさい! ふん」
拗ねる水鏡冬華。
「あっ、ごめんなさい」
誰にというわけでもなく水鏡冬華は謝る。本を力のはいらない足で蹴ってしまったからだ。
「それ誰のでもないっぽいよ! インスタントラノベ」
「インスタントラノベ? 何それ?」
「読者の欲望を最速で満たすためにストーリーとかストレスフリーでハチャメチャでもメディアミックスしまくってゴリ押してるのよ。正直頭悪くなりそうだからわたしそういうのは読まない事にしてる……」
「……へえ、解説ありがとさゆ……ちょっと進化の方向間違えた感じね。ラノベ、というかこんなのを好む読者って……?」




