少なくともあんたを誘惑するつもりないんだけど
「うひょーい!」
滅炎剣と滅氷剣を振り回すフレッドが爆発の方向に突撃していく。
フレッドが戦闘に入っていくのが見えた。
カイアスの正規兵の姿は見えない。ならず者と奴隷しか見えない。
水鏡冬華は、ここは1人で紛れ込んでみようかと考えてみた。
(フレッドは大騒ぎに乱入ミハエルさんは姿が見えない、きっと1人である程度溶け込む算段だ。わたしもしばらくは1人で――――)
と――
ドカァァァァァァァン!
何かが飛んできて冬華の比較的近くで爆発する。壁に氷柱が1つ刺さっている。
「フレッドの滅炎剣の流れ弾?」
だけではないだろう。爆発で氷柱は飛んできたと考えた方が正確っぽそうだ。
「けむい――」
水鏡冬華は、倉庫と倉庫の間に身を潜めた。と、そこには2mの大男が背景に擬態して潜んでいた。
「ちょっと待ってちょっと待ってちょっと待ってちょっと待って」
「かわいいねーちゃんが飛び込んできたぜ、へっへっへっ。俺と遊んでくれよ。いいだろう!」
こいつ――――、
「カメレオンと人間の合いの子かっ!?」
カメレオン大男の気配に気つかなかった事も相まって、たまらずそう叫んでしまう彼女。
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「ねーちゃん、いいだろう? だいぶ色気放っちゃって、その服でその色気出せるのはすげえよ! 天性の男を惑わす色気だねアンタ」
そう言いながら男は無遠慮に胸に手を伸ばしてくる。その手をこちらの手ではらう。
「好き勝手言ってくれちゃって。少なくともあんたを誘惑するつもりないんだけど」
「へ~、誘惑するつもりないのにそれだけの色気?」
と男が胸にちょっかいかけようと見せかけてスカートの中に強引に手を突っ込んできた。
「ちょっ、やめて! やめっ……くっ」
水鏡は、赤面しつつも、利き腕の左手だけでスカートの中に入ってきた男の右腕を追い出す。一番得意な刀は倉庫と倉庫の狭い間じゃ抜けない。
「結構、どころじゃない腕力あるな……」
身長2mほどの男はびっくりした様子で今まで女のスカートの中で暴れさせていた自分の右腕を見て呟く。大男は、女なら右腕だけで押さえつけるどころか片手で持ち運べる自信があったのでかなり驚いている。
水鏡冬華はそれで怒り心頭かつ恐怖心が胸の奥で沸き起こった。
恐怖心に負けたらここで乱暴者が自分にする事の自由を許してしまう事になる。
怒りで恐怖心を押さえつけ、男をどうぶちのめすか考え始める。




