わたし今こういう世界にいたんですか
カイアス王国行きの魔導船に乗った。普通の船もあったが、王の頼みでもあるこの依頼でケチる意味はない。
魔導船に乗ってる人は、やはり少々金持ちぽい。
ヴァーレンスを出発し魔導船なら今日中にはカイアス王国のスパロウという街につく。
マリナ、ティムとミハエル、冬華、フレッドが円を組みつつ話し合う。
「マリナ嬢、ティムくん、これ地図ね。わたしたちは魔導船でここグルーンとしてこのスパロウて港町につく予定」
マリナがおぉーと感嘆のため息をつく。
「わたし今こういう世界にいたんですか」
「むう。南西の端の方にいたんだな僕たち」
と黒髪の剣士ティムも地図をよく見る。
「このカイアスが目的地なのですか? 公爵閣下」
「そだね。あぁとカイアス近づいてきたら公爵閣下やめてください~一応服もラフなの選んできたし」
「あ。すいません。あとー気になってたんですがヴァーレンス王国って夫婦の名は…………」
「あぁ。わたしの嫁が全員名前変わってないの不思議そうにしてたもんね君。結婚では変わらないぞ。本人の名くらい本人が好きに決めろよ~のノリだな。
夫婦別姓っていうのかな。でも本人が望むなら変えてもいいってルール。まあわたしは母がつけた名前で行ってるんだけどな。
本人確認なんて魂を霊波動で見れば一発だからな。生半可な背ノリは通じない文化だからこその夫婦別姓かもな!」
そして海の向こうを見てミハエルが言った。
「あとスパロウについたら基本分散作戦だね」
「え、分散するんですか?」
とティムが意外そうにいう。ミハエルは
「まあ君たち元ムーンショッターとわたしたちとでカイアスでの目的違うし。
君たち奴隷にヒールしまくるのが目的なんでしょう? ぶっちゃけた言い方してるけどわたし。
わたしらはカイアスの情勢を調べるのがメインだし。
それに移動速度がね。飛行できるわたしたちと飛行できない君たちでやっぱ別れがちになる」
「それはそう、ですね……」
「ひとりで守れる? エリナ嬢のこと」
「は?」
微妙に違う名前にティムは思わずは? の一言で返してしまう。
「誰ですかエリナって。わたしマリナです!」
マリナがプンプンしている横でフレッドが余裕しゃくしゃくそうな顔で
「ミハさん~間違えるのは失礼だぜ~、ごめんなマリモ嬢!」
と笑顔で名前を間違えるフレッド。
「き~~~~~~~~~~~~っ!」
「で、大丈夫ティムくん。今キンキン声出してる子の御守」
「だ、大丈夫です。カイアスの奴らがよほど強くない限り」
「まあ使えても魔法だろうねカイアスの連中は。その上の呪禁は使い手ゼロなはず。ただ数は多いよ面積広いって事は、ね。人もね」
「はい」
ミハエルははるか向こうの影を見て呟いた。
「魔導船は風向きに関わらず早いな。あの影あれがスパロウの港だ」
人も、港も、建物も遠くから見たらひとつの影だったものが近づいてくごとに分離する。
「じゃあ1週間後の昼。ティムくんやマリナ嬢はヴァーレンスに戻るならスパロウに戻っているように。スパロウでいなかったらこの国に永住するつもりと判断する。いいな!」
「はいっ!」
マリナが勢いよく返事をする。
「はい!」
ティムは落ち着いた返事をする。
そして、魔導船が港についた。向こうで爆発と建物の屋根が内側から何らかの力で吹っ飛ぶのが聞こえ見えた。
「こりゃえらい歓迎プリだな。全員武器を持てよ~」
ミハエルはそう言って両手をひらひらさせて、両手に何も武器は持たずに船から降りた。
「もってねーじゃんミハさん」
フレッドがツッコミを入れる。そんな彼は右手に滅炎剣(炎を滅する氷の剣)と左手に滅氷剣(氷を滅する炎の剣)という風に元素破壊の剣の4振りのうち2つを持っている。




