わたしもね。そう言う事考えた時期もあったのよ
その集まりの前日。
その青い髪のヒーラーは海の向こうで苦しんでいる人がいると知った途端海を渡ると言い出した。
「わたしは困っている人を助けるために癒しのスキルを磨いてきたんです。ルシファーリンクとやらがとけてイントロンのまっとうなヒーラーになったって言うなら、困っている人の所に行かないでどうするんですか」
ヒーラーはそういう。だがミハエルは、
「わたしもね。世界中の悪を1人で撲滅する、永遠の平和をわが手で、とかそう言う事考えた時期もあったのよ。今はそこまで無茶はしないようにしてる。この心変わり、わかるかい?」
「わかりません!」
「んん。ちびっ子だけどとんがりだね~君。とんがり君て呼ぼうか」
「わたしにはマリナ・ド・エロワって名前があります!とんがり君じゃありません!」
「エロいの君?」
「エロいって意味じゃありません!」
「行くってカイアスまで一人で? 死ぬよ。あの国のアレっぷり。わたしでも身構えるから。治療してる最中に荷物とられたり縄で縛り上げられて奴隷にされるよ」
「でも! でも! わたし孤児で! 以前のわたしみたいな顔してる人がいるって知ったら我慢できません!
わたしみたいに、わたしを一人ぼっちでおいていかないでって夜失く人が増えていくのを黙って見過ごせません!」
それを聞いた時ミハエルの動きが止まる。
(なるほど。トラウマ発動してるからこんな意地はってるのか。孤独癖持ちのわたしだから見逃すところだった)
「…………それはわかる」
「じゃあ!」
「でも我慢する事を覚えな。君自身の命も時間も体力も有限だ。
何よりわたしも君も全知じゃない。つまり絶対に見逃してしまう視界の外で起こってしまう悲劇ってのがある。世の中は不公平だ。
わたしたち人間はこの国でのんびり歩いている神のように世界を大きく変化させることは厳しい。そして世界中の悲しみを失くすことも厳しい。これはルシファーとアーリマンの2大悪魔の性質を調べればわかるはずだ。本人が引き寄せている不幸だってある」
「嫌です! 我慢嫌です! 出ていきます!」
「海わたるの?」
「ええ!」
と、そこで横から割って入る男がひとり。剣士っぽい格好をした青年である。
「あぁのー、すいません」
「あ。君ちょっと話したことあるね。ティム・S・ハーティリーくんだっけ」
とミハエルが答える。
「ええ、そうです。この子おちつかせるの任せてもらっていいですか?」
「ティムさんの言う事でも聞きませんよ!」
「聞かないんだってさ」
とミハエルがオーマイーゴッドの手振りもつけくわえる。
「利用したらどうなのよ?」
と横やり入れる人が増える。今度はサリサだ。
「わたし先にカイアス王国いって色々調べるからさ、このきかん坊はわたしの足跡辿ってもらえれば危険も少ないんじゃな~い?」
サリサがホワイトライガーの耳をクリンクリン揺らしてそう提案する。
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「そ~んなこんなで王まで巻き込んでカイアス王国の今を調べてみよう会の発足となりましたがそれぞれ飛んですぐ行きますか船でのんびりいきますか」
ミハエルがそういう。
「わたしたちだけなら、飛ぶ方を選ばない理由はないわね」
と水鏡冬華。サリサは霊波動ですぐさま飛んで今あちらで暴れている。ミハエルと水鏡冬華は霊波動で飛べる。フレッドはヴァーレンス王国騎士鎧に飛行モードがついている。
残り、つまり元ムーンショッターの2人、剣士ティムとヒーラー・マリナ彼らは公共交通機関を使わないと海を渡れない。
「先行でサリサ行ってるし、急ぐ必要もないっか。そんな滅茶苦茶はしないでしょ」
水鏡冬華はそんなふうに呟いた。
「情報、ちゃんと集めてくれ」
オーヴァン=フォン=ヴァーレンスが念を押す。




