ひふみよ いむなや こともちろらね
「同じ人間を人身御供にする魂を持つ種族は、斬る!」
言葉で威嚇しておく。水鏡はまずそういう行動をとった。
右足を前に出し刀を構える。
亡霊を背後にうようよ乗せたバルバロイが左右に剣を持ち飛び出してくる。真っすぐ来ている――かのように見せかけ左にちょっとずれている。
(2刀流、明日香ちゃんと同じね)
親友の姿を思い出しながら、1太刀、2太刀、避ける。
(2刀流と戦ってるとたまに踊っていると錯覚しちゃうのよね。命を賭けて踊っている、わたしも、相手も)
「黒竜閃――春月!」
こっちも回転しつつ刀を振る。相手はかわす。
(まあ、相手はバルバロイ。慎重に行きましょう)
宇宙からUFOに乗ってやって来た堕天使の一味(1/3の堕天使)が、地球人の娘に欲情し、セックスして産ませた子供をネフィリムと言う。これは、旧約聖書の創世記と外典のエノク書に書いてある。
そのネフィリムの行動様式を色濃く受け継いでいるバルバロイ。
奴らのえげつない儀式だ。
「んっ!」
ちょっと声を出しながら相手の剣を避ける。相手はこちらの足を狙い斬りつけてきた。バルバロイについている幽霊が自分のパンストにくるまれた足にしがみつく。極力気にしないようにする。バルバロイから注意をずらす事はできない。
「ふっ!」
どうするか――
接近戦で一番強い攻撃は体当たりである。タイミングを計って右肩を相手のみぞおちに接させる。
もっともこちらも反撃を食らいやすいという欠点があるが。
剣の間合いまで離れると思ったのだろうか、バルバロイは驚いている様子だ。
バルバロイが何かする前にやることやって逃げる。
「黒竜冷波!」
左手で相手のみぞ落ちに黒竜冷波を撃つ。
霊気の冷波で相手の行動も若干遅くさせる。
「黒竜閃――雷牙」
自身にスパークした霊気を纏わせて、太ももや胸について剥がれない幽霊を祓う。
バルバロイはオオオオゥゥォォォオ! と叫び両手の剣を捨てて亡霊の数を増やして水鏡に襲い掛かる。
(悪魔の生贄儀式の、ドルイド神官団や古代エジプト魔術師団と同じね。なんか、わたしみたいな女が生贄に最適って言ってたけど、あのドルイド。1945年8月15日。うっさいわたし処女じゃないから生贄に不適合なんじゃないの~って言ったら絶句してたけど。そして春女に後ろから焼かれて絶命したあのドルイド。
処女を捧げるといえば、ミノタウロスはポセイドンにさからって生まれた牛の頭のレイプ魔。
処女を毎年アテナに7人もとめたという、クレタ島に住む化け物。
「領域国家」ミケーネ王国を滅ぼした、数百のポリスに「分割」という200年の暗黒時代を築いたあいつら。
商業民族が神とするのがポセイドンやエルメス、あの民族の正体が現代もはびこってるアイツら)
水鏡冬華は古代の日本語を用いて祈りをささげて剣を持ちながら呪文と共に踊った。
「ひふみよ いむなや こともちろらね
しきる ゆゐつわぬ そをたはくめか
うおへ にさりへて のますあせゑ ほれけ」
オオオオゥゥウウウウゥゥアアア!
水鏡冬華の一二三祝詞により、人肉食と残酷な儀式ばかりしてきたバルバロイゴーストが苦しみ、うずくまり、消滅する。
「あ、倒しましたよ! セーラー巫女さんがバルバロイを倒してくれました!
ところで、さっきの呪文みたいなの意味あるんですか?」
と、RTAPTリーダーが携帯端末を冬華に向けつつ近寄っていく。
「まだ寄らないでよ、万が一バルバロイ生きてたらどうすんの」
冬華は髪を右手でいじりつつ、
「呪文の意味?
全宇宙の生物、森羅万象は全てのものの恵みを受けることにより生命を享くるものなり。
わたしたちは、日々の生活の中に全て日の神の慈しみによること至大なり。
日月の神は、常に死や老い病の苦悩を去らしめ、悪神、悪魔をして憑依する能わしめ。
陸の耕地は年々豊かに富ならしめ。海の魚は日毎に獲物あらしめ給う。
老若男女問わず、黙々として悦びて、良き働き
(ここはね、×奴隷労働じゃなくて、本当に人のためになるアクションをしろってこと 良い禮:同調圧力に屈せずに、誤った常識で安全と言われている物が危険であることを皆に伝えよ←良き働き〇【徳を積め】って意味)
以って、日月の赤子をして相和し悉く餓ゆること無からしめよ。
朝に出て日を背に汗し、夕に帰りては陰陽和合の喜びをたのしみ。
常に熱烈に日の神、月の神の出現を祈り、かつ拝せよ。
こんな意味。わかった? ふふふっ」
水鏡冬華は微笑みながらそう答えた。
「は、ちょっと暗記するには量が多いです……」
RTAPTリーダーは困った感じでそう答えた。




