あ、あなたは、わたしの事が好きなのか?
「あ、あなたは、わたしの事が好きなのか?」
赤らめた顔でキャンディスはミハエルを見つめる。
その向こうで鬼の角でも生えそうな水鏡冬華が見える。
またその隣でクスクス笑っている十二単の女が見える。
「…………はぃ?」
「あ、あなたは、だって遺伝子治療タダでしてくれたし、……パンツも見たし。そそれに卵巣の異常を治してくれたって、その、わたしに……」
戸惑った様子でミハエルは答える。視界にサリサが映るがサリサはソファに寝転んでいる。
「遺伝子治療の理由はさっき言った。パンツは見えちゃった。
男が何か女にしたからって全部恋愛と決めつけるの? 君それだけ思春期の男子生徒みたいな物の考えしてるの?」
「~~~~~んっっ!」
顔を赤らめてミハエルを睨むキャンディス。
(なんだろう。催眠系の特殊能力か、わたしをこう無理矢理乙女ゲーの相手役に引き込むとかの)
戦慄し、キャンディスの顔を見つめながら――この子が瞳術使いだったらやばいな~と思いつつ、
「あの~~、キャンディスちゃんはこれ愛読してまして、わたしも読んだことはありますけど……」
「あっイヤッそれは!」
とキャンディスの懐から陽夏が小説を奪う。一目でわかる。恋愛小説だ。
「わたしの大事な……!」
(なるほど。戦場にまで恋愛小説を持っていくツワモノか。
表紙見ると主人公が騎士。だけど上胸半分は露出している。キャンディスの格好も騎士。上胸半分は露出している。鎧は胴体と腕はしっかり? 守っている。足は太ももは露出膝から下は鎧。
はあぁ、なるほど。あの恋愛もする女騎士になりたいみたいな願望で行ったんだな)
「正直、一番対処に困るかも。強敵強敵」
鬼の角でも生えそうな水鏡冬華がこちらに来ようとしているが十二単の女が邪魔してこれない様子が見える。喧嘩の様子も聞こえる。
「アホ女ちょっとそこどきなさいよ」
「どこ~? そこってどこ~? わたし、わかんなぁ~い!」
「てんめえ!」
「てめえじゃありません~、わたし女ですぅ~、目ぇどこについてるんですかぁ!」
「――――!」
「――――!」
陽夏から愛読している恋愛小説を奪い返し、それを胸に抱きながらこちらを睨め上げてくるキャンディス。
確かに足を見ると太ももは魅力的な太さである。
男から見て。体も身長160代くらいの体だと太り過ぎずといった感じである。
女だともう少し痩せなきゃって思うのかもしれないが。
(キャンディスの足の太さも胴体の太さもは冬華と同じくらい、胸は冬華がリード……って何を考えているのやら)
ミハエルは窓から外を見て呟く。
「――どうしよ。これ」
だがそれに答えてくれる人は誰もいなかった。




