サミュエルは目立つことなく彼女をやり過ごそうとしていた
「団長、癒しの力必要なら行ってくださいね」
「ああ、ありがとう。自分の霊波動の癒しで何とかなるよ」
サミュエル。夏に島で天馬蒼依に好かれた男である。
だが今は天馬蒼依はアリウスにべったりくっついている。
「……………………」
天馬蒼依がサミュエルを睨んでいる。
「…………」
サミュエルは視線を痛いほど感じつつも視線を逸らす。
「サミュエルくん。何かわたしに言う事ない?」
天馬蒼依がキッツい口調で言う。
「べ、べつに…………」
サミュエルは露骨に顔を反らす。
「ふーん、そんなこというんだ? 結構勇気あるね、サミュエルくん」
そういって、サミュエルの周りを円を描くように回る天馬蒼依。肉食獣みたいだ。
「ん~~~~~~~~っ」
サミュエルの顔を覗き込むように見る天馬蒼依。キスする距離に似ている間合いである。
「だってあの時言ったじゃないですか! 国際結婚って難易度高いかな~ごめんなさいって。結婚なんてはずみっていいますが、そのはずみでトォーンと行く気が起こらなかっただけですよ!」
「まっ。あなたがそこまで意気地なしだと思わなかったわ!」
鼻から息を勢いよく出し、天馬蒼依がご立腹である。
「ちょっ、何するんですか! ちょっと! あだだだだ! ギブギブギブ!」
天馬蒼依の左腕はサミュエルの右腕をホールドし、右ひじはサミュエルの腰をエルボーしているような感じである。天馬蒼依の右足がサミュエルの左足に絡み、天馬蒼依左足がサミュエルの顔を押さえつける。彼女の左足の膝裏の所にサミュエルの顔が来る。
天馬蒼依がのろのろとサミュエルを卍固めに固めていく。
「もうアリウスさんに乗り換えたからいいけど、それはそれとして一発しておくね♪」
ミニスカで卍固めを行う天馬蒼依だが、食らっているサミュエルが体で防御している事になるので、天馬蒼依のパンツはあまり見えない。