俺の楽園には永久に俺を愛する女が居続ける
「ぐうううっミハエルめ! 魔物を召喚するとは、魔物と手を組むとは不死身の帝王も見下げはてたものだ!!」
「…………ごめん奴のお芝居に付き合う気も失せた。せめて本物のわたしに似せてくれ。中身を、元演劇部から見てどう思う? 陽夏」
ミハエルが、あっちの妄想ミハエルを見て精神的に疲れた様子だ。
「えっ、あれ…………? 三文芝居…………」
水野陽夏が戸惑いつつ答える。
「大変だねぇ~ミハさんも」
フレッドが、言葉と共にミハエルの肩を叩く。
「僕ら3人の中じゃ一番目立つからこういう時やり玉にあがりやすいんだよね」
苦笑いと共に、アリウスがミハエルの肩を叩く。
「問題点はだ。あれ現実化する危険性があるって事だな」
「えっ、あれただのザーコな芝居じゃあないんですかあ?」
天馬蒼依がバカにした口調でたずねる。
「なら一人で好きなだけやらせればいいんだけどね。妄想を現実化させるパワーがある。ルシファーの仮想現実化(VR)能力のせいで」
ミハエルが言う。それにアリウスも続く。
「ありえないけど、万が一ここでミハエルくんが死んだとしたら、ミハエルくんの体を乗っ取ってあっちのミハエルかガラルがミハエルに乗り移ってミハエルのお嫁さんに鬼畜行為し始めるだろうね」
「そうなったらわたし離婚するわよ。中身違うんじゃ、さすがに」
憮然とした感じで、水鏡冬華。
「そこらへんが仮想空間の怖えところだねえ」
と、気楽な口調でフレッド。
「きゃあああああああっ!」
あの楽園永久の悲鳴がしたので見ると、あっちのミハエルに腹を串刺しにされていた。
あっちのミハエルは、三股の槍を持っている。
「ああああああああ! 永久あああああああ! 俺の大事な永久ああああああああああ! よくも、よくも永久おおおおおお! ミハエルめ! この人の心がない鬼畜男めぇぇぇぇぇ!」
よたよたと永久に近づいてゆくガラル。涙がすごい流れている。
「ああやって恋人との辛い一幕を演出したかったんだろうな。日常にはそんな出来事ないからねえ。
あっても浮気+別れ話か日常なら。
あと本気で命狙うなら腹でなく首だっつーに。
あっちのわたしは映画的な出来事、そのためのダシというわけだ」
ミハエルがもはや笑うしかないといった感じで笑う。
「俺の大事な永久ちゃんて、あいつ、ガラルだっけ? あいつあっちの息子さんが槍もって歩いて近づいてくるのず~っと眺めてたよ! ずっと悲劇に悲しむ練習しててさ! 何やってんのアイツ?」
と桜雪さゆがガラルにまで聞こえる大声でツッコミを入れる。