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太陽よ、ムーンショットを止めろ!  作者: 白い月
デュポンに救世主を気取る悪魔が降り立った
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奥さんだってAIに夫が最前線送りにされたら悔しいよ!

「で、運命絶対神プランではそんな事しないだろう。遺伝子だけでその人の性格考えないんでしょ。

 息が詰まるような思い毎日してたからといって、強くなるわけじゃないんだ。

 逆に良い師匠を持ち、ぐーすか休んで遊んで健康を最重視した結果、最下級戦士からすっげーやつに成長したやつもいるしな。

 向いてる事だけやるっていうのは才能を潰してしまう。

 息が詰まるような思い毎日してた回数で強くなるのなら地球人、サラリーマンは、エネルギー波で地球破壊できるぞ!

 剣聖なら剣1日何回振れとかそれだけじゃないの? そんなの人間として成長しない。いざという時の底力はでないよ。1日剣振りロボットじゃあ。まず『人間』にならないと。

 まあ君はあの学生時代からようもこんなディスピトア賛歌になっちまったもんだな」

「そう……みえますか?」

「ああ。生者しょうじゃは前に進むものって考えがあるわたしは、こういう表現大嫌いだが、あの時の君に撒き戻してくれ。そう思うよ」

「あなたのうわさは沢山聞きました。皆があなたほど強いわけじゃないんです。ミハエル。あなたみたいに運命を打ち破れるわけじゃないんです。じゃあ運命を味方につけるのも上策だと思いませんか」

「思いません」

 即座にミハエルは否定した。

「あなたはっ、あなたは弱い者の立場に立って考えたことないから――!」

 シスターロジーは、ちょっと口調が荒くなる。

「あのね、それね。わたし20歳で異世界に飛ばされて両手両足動かない、首しか動かない状態からスタートさせられたんでね」

 ミハエルが手をストップの形にしてシスターロジーに物申す。

「弱い人というか腕や足動かなくて悔しい人の立場から味わってるんで分かってるつもりだよ。

 自然治癒サマサマ。ルネ=カントンの海水療法サマサマ。それでね――」

 ミハエルがいいかけるが、東雲波澄しののめはすみが口を挟む。

「それ、どういうことですか? この場合の弱いって定義は何なんですか?

 絶対運命神プランの話の流れからいって、大きなけが負ったとか、戦争孤児とかじゃなくて。なりたい自分になれない人を弱いって言ってますよね。

 でも、絶対運命神プラン

 つまり管理社会じゃないですか。AIの。

 それムーンショットですよね? どう見ても。

 それは実現さえすれば戦争根絶には、なるかもしれないわ。でもそれ施行できる準備が整う前に、管理社会に反対する人がレジスタンス組みますよ。

 そしてもう1つ決定的な弱点が。

 職に就ける椅子は無限じゃない。例えば王の椅子は1つだけ。でも絶対運命神プランに王が適職だという人が何人も選ばれたらどうするんですか。

 王じゃなくても、最適な職業を遺伝子で見て判断されるってことですよね。

 それ遺伝子改変が横行しますよ。

 知っての通り、ヴァーレンス王国ではルシファーに遺伝子改変された者も遺伝子修理サポート装置で修復して寿命1200歳にノアの時代の傷ついてない遺伝子に戻すサービスを国が表立ってしています。対ルシファー戦略として。

 でもそれを悪用したら望みの職が全員、遺伝子改変野郎に奪われませんか?」

「そ、それは……」

「人は遺伝子の影響は受けている。

 それでも、人は遺伝子の奴隷じゃない!

 人は自分だけの、誰にも操作されない自由意思で生きているの」

「よく言った波澄はすみ。そういう君の意志の強さが好きだよ。だから君を傍に置いてる」

「そ、そんな……こんな時に口説かないでよ……」

 両手を胸に当てながら、波澄はすみ

「いや、口説いてはいないが……素直に褒めただけだ」

 たじたじな顔で、ミハエル。

「そんなわけで、カイアスならともかくヴァーレンスで運命絶対神プランやっても反発食らうだけだと思うぜ。ロジー嬢」

「はいはいはーい! 頭悪いわたしでもわかることありまーす!」

 と天馬蒼依てんまあおいが手を上げる。

「わたしも……」

 空夢風音そらゆめかざねも。

「わたしも……!」

 水野陽夏みずのようかも手を上げる。

 そして3人そろってハモッて言う。

『遺伝子に勝手に覗かれて、AIに強制されて結婚強制されたくない!』

 聖堂に女子3人の大声が響き渡った。

「結婚相手くらい自分で繋ぎ止めてみせます~!」

 とアリウスがその場にいないのでアリウスの腕を掴もうとした手をひょいひょいと空振りさせながら天馬蒼依てんまあおいがあっかんべ~をする。

「まだ、お見合いの方がマシです……断ることができるから。遺伝子だけみて結婚強制ってなんなんですか! 人格否定もいいとこですよ!」

 空夢風音そらゆめかざねが怒りと共に言葉を紡ぐ。

「運命絶対神プランってAIが人の上に立つプランですよね。そんな荒廃した世界のソシャゲしたことあります。

 自分が苦手な道を選ぶことにだって意味はあります。絵の才能がなくても絵描きたいって思うでしょう? それすら否定されなきゃいけないんですか? 遺伝子とやらのせいで! 文才ないけどポエム描きたいもん!

 それにミハエルさんは戦いでかなり強いです! でもミハエルさんは、とても戦いが嫌いです! わたしメイドとしてミハエルさんと同じ屋根の下で生活してよ~くわかりました。

 でも運命絶対神プランってAIはミハエルさんを最前線に送るんでしょう?

 どこが幸せなの!? 奥さんだってAIに夫が最前線送りにされたら悔しいよ! 悔しいでしょ!?」

 水野陽夏みずのようかが思いをぶちまける。

 まだまだ管理社会への不満は爆発する。

「オレだってトゥッチンされたら悔しい!」

 フレッドが噛んだのかなんなのか、ちらっと水野陽夏みずのようかを見て、大分感情の入った声で、勢いよく、一部意味不明なことを言う。

「いや、お気になさらず…………」

 フレッドが赤面して手をひらを前に出して、そっぽ向いて恥ずかしがる。

「…………」

 そんなフレッドをアホかこいつ、というような目でユーナが見上げている。

 視線が痛い。

「…………」

 視線が痛い。恥ずかしい。フレッドは心の中で震えた。恥ずかしさのあまり。

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