表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
太陽よ、ムーンショットを止めろ!  作者: 白い月
運命絶対神プラン編
173/372

野に咲く花のようにすこやかに育つのがあってるよ

 あれから1時間後。馬車が何台か走っている。ヴァーレンスからデュポンへ向けて走っている。

 あれから元ムーンショッターのグリンくんも見かけたので誘ってみたらOKでたので馬車に招いた。

 馬車の中。水鏡冬華は不機嫌そうなツラをして外を眺めていた。何か嫌なことがあったわけでもなく、単に寝起きが悪いのだ。

 そんな冬華を見てミハエルが苦笑いをする。

 馬車1:ミハエル=シュピーゲル=フォン=フリードリヒ、水鏡冬華、空夢風音そらゆめかざね水野陽夏みずのようか東雲波澄しののめはすみ

 馬車2:フレデリック=ローレンス、ユーナ=ショーペンハウアー、アン=ローレン、ガートルード=キャボット、サミュエル=ローズ、クロード=ガンヴァレン

 馬車3:アリウス=シュレーゲル、天馬蒼依てんまあおい、グリン、グリンの恋人レダ=ヴィヴィアーニ、サリサ=A=ティーガー、フィオラ=アマオカミ

 ヴァーレンスの西側の遺跡エリアに隣接する街、デュポンへ向かっている。

 ミハエルやフレッドやアリウスはそこに比較的沢山訪れている。

 ミハエルなんかデュポンの食堂のおじちゃんと仲が良くなるくらいには話している。彼は、その店主の事を思い出していた。

「うちの娘、もらってくれませんかね~? ミハエルさんなら、安心して娘預けられるんですが」

「貴族の社会もこわいよ~! ヴァーレンスディアドコイ戦乱知ってるでしょ? おっちゃ~ん。わたしあれで家族皆殺しにあって、異世界島流しにあったんだから」

「まあねえ。でもあの首謀者一味もう処刑されたじゃありませんか10年ちょっと前に。今はもう大丈夫なんでしょ?」

「そりゃあ、今は異世界島流しにあった今の王、オーヴァンくんも筋トレパワーでブラックホールを筋力で作り上げてグッパグッパしてこの世界に帰ってこれたから大丈夫だけどさあ。

 でも君の娘は貴族社会より、のんびり過ごし、穏やかな社会で結婚して、野に咲く花のようにすこやかに育つのがあってるよ」

「ミハエルさんの所でもすこやかにそだちそうですがね~ぇ」

「えらいプッシュしてくるじゃん、どうしたの店主」

「いやあね。娘がね。ミハエル卿に惚れちまったようなんですわ。

 ヴァーレンスじゃ身分違いの恋も叶いやすいからって、ふんふん熱入っちまって、漫画も今まで少年漫画買ってたのに、今じゃ、身分違いの恋の漫画ばっかり買うようになって」

「う~ん、失恋させるにしても一度話した方がいいのかもなあ」

 ヤブ蛇かも、と当時ですら思ったが。

 結局、向こうが学校行ってるタイミングで食堂利用したり遺跡調査の時間的都合なりで、『一度話した方がいいのかも』すらできずに今日を迎えている。

 酒本さかもと食堂の酒本さかもと薫子かおるこという。

 意外と日本名の人間は多い。火明星ほあかりぼし何せ神が、八百万の神々だからだ。ヴァーレンスが西洋な街並みでも、文化もやや日本化が強い。

 酒本さかもと薫子かおるこは、ポニーテールで髪をまとめた女の子で、確かミハエルの情報が間違っていなければ今年で20歳になる。

 この星では15で大人扱いなので、大人になって5年たつ。結婚していても不思議じゃない。

 元気が取り柄の女の子だが、天馬蒼依てんまあおいほどうるさいわけでもない。落ち着きはある子だ。そして真面目というか頑張り屋。他人にお節介するのが好きなようである。体つきも良い。胸も大きく育ち、足も男好みに太い。

 でも――

東雲波澄しののめはすみの下位互換なんだよね。泣いちゃうから薫子かおるこ本人には絶対言えない事だけど)

 東雲波澄しののめはすみ。色気で言うなら絶世の超美人、闇霎くらおかみの巫女、水鏡冬華に匹敵し、髪は長~いポニーテール、黒いタイトスカートでエロく肉付いた足を惜しげもなく見せてくる。胸も大きい。

 そして性格は女らしい。

 そして何より、火明星ほあかりぼしですら使い手の珍しい、魔法や超能力などより上に位置する呪禁じゅごん――呪い解除、問答無用の世界改変して禍々しい事を理屈抜きで消滅させる術の使い手だ。水鏡冬華と同じく。

 彼女は、式神も使える。

 酒本さかもと食堂の酒本さかもと薫子かおるこには、呪禁が使えるなんて話は聞いた事がない。

 だから、体の色気でも能力の稀有さ、優秀さでも下位互換。

 料理がうまいだけでは、これだけのアドヴァンテージは覆せない。

(そもそも波澄はすみも料理できるし)

 とミハエルは思った。

 デュポンの街に入る。馬車の停留所までもう少しだ。

 だが、酒本さかもと食堂は停留所までの道のりにある。

「ミハエルさ~ん! お久しぶりですーーーー!」

 白いトップスにフレアのベージュにエプロン姿のミニスカ姿の酒本さかもと薫子かおるこが両手を口のところに添えながら大きな声を上げてミハエルに呼びかける。

「は~い、お元気そうでーーーー!」

 ミハエルも馬車の窓から大声で応える。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ