冬華を起こす
フレッドは準備万端だ。ユーナもフレッドについている。
アリウスも準備OK。
天馬蒼依がくっついている。
アン=ローレン、ガートルード=キャボットもいる。
あれからアリウス、ミハエル、フレッドはアンとガートルードに家をプレゼントした。
「2人で住んでね~~」
とアリウスが魔法で家を作り、詳細なデザインはミハエルとフレッドの助けを借りて、そこらへんの土地へどーん。水道は魔法で接続。
「ありがとうごぜえますー、家なんてものをポンポンもらうなんてちょっとスケール大きすぎてびっくりして口調かわっちゃいました~~~~~~」
とアン=ローレンがキャラ崩壊していた。
ガートルードは、家を見上げながらハトが豆鉄砲くらったような顔で行動停止していた。
ヴァーレンスは、土地は人のものではなく、八百万の神のものでわけあうものだと上から下まで認識が一致している(そもそも星を作ったのが男の天照)ため能天気に暮らしていける。
というのもエデン呼びされる理由だろう。
ただし、『難民を装った侵略』にはヴァーレンスはとても厳しい。そういう輩はヴァーレンス王国民から嫌われ住めなくなる。
『安易に暴力的で民度の低い外国人なんて入れられない』
『難民のふりして軍人が潜伏する』
『難民よりまず自国の困ってる人を助けろよ』
『何でも特例にしてたら、避難民言ったもん勝ち。さすがあちらさんは、権利だけ主張してくる』
『女スパイたちを【避難民】として諸外国に送り込み暗躍しているカイアス王国という実例がいる』
『難民をおもてなししたらテロでお返しされたので、難民を大陸よりでかい大きさのエネルギー波で虐殺する、もしくは他の国に押し付ける』
という事件も過去に起きた。
悪魔がこの世に存在しないとでもいうのか? 神が実際にいるなら、悪魔だって実在するんだよ。
悪魔の執行代理人である者達がバアルやモロクなど邪神に捧げている犠牲と悪魔崇拝で利用される子どもの生贄の血はネフィリム――堕天使と人間のハーフ――が太古から続けている事、続いてきた儀式なのに臓器売買と売血は彼らの専売特許である。
それに加担している医学医薬を崇拝するわけにはいかない。
戦争は非常に暗い世界であり、場を荒らしてどさくさに紛れて児童の人身売買が行われている悪魔のような世界だ。
戦争は混乱と死を生み出し、そして臓器売買や人身売買への道をもたらす。
その代償としてカイアスのような外ヅラがいい腹黒国家支援が得られる。
戦争費用を支払うお金がない場合は、他の手段で支払わなければいけない。
生きて帰ってきた兵士でさえ、『腱が盗まれ』たり、『体のあらゆる部分が盗まれたりする』ことがある。
死者の遺体は誰もチェックしない(戦争で吹き飛んだのか、人身売買にやられたのか)。
難民の子どもたちは、人身売買やスペアパーツのために簡単に集められる。
それはともかく。
冒険者としての仕事で、下水道掃除以外のお仕事で4人の女グループはワクワクしているようだ。
ミハエルは………。
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冬華の部屋。あれから冬華はまた寝た。二度寝だ。
冬華は寝起きが悪い。
目覚めてもベッドから動けないなんてこともたまにある。
社交性の高い、人怖じしない冬華でも、寝起きだと何も話したくないこともあるそうだ。
部屋の主、冬華はもちろん、起こしに来たミハエル、東雲波澄、サリサ、フィオラもいる。
「冬華~~起きて~~」
ミハエルが水鏡冬華の体をゆする。
「起きない。どうしよ」
「えっと、お尻に噛みつけば起きないかな。わたしが」
「冬華寝起き悪いの知ってるでしょー、それやったら冬華とケンカになるよ、サリサ」
「わたししっぽで運んで馬車に連れていこっか、このまま」
「たぶん、ケンカになるフィオラ。この場で起こしておいた方がいいだろう」
汗を一筋流して、ミハエルがそう答える。
そして、なんとか水鏡冬華を起こす。
「…………」
寝起きで言葉を発する気が起きない彼女の事は知っているので、そのまま、説明に入るミハエル。
「…………」
寝起きが悪い人は、ひどいとこんなものだ。
時々、くん、くん、と頷いて意思を表示する。うん、の一言すら面倒くさいらしい。
と、そんな感じで冬華に説明は終えた。