血まみれの天使
あれから、悪魔の増援も来なかったので、ウガヤの号令で現地解散となった。
つまりミハエルは祭りで家族サービス続行。
水鏡冬華は水神神社で祭り続行、
サリサとフィオラは暇人続行、
ウガヤは雲の上の天から下界をのぞき見続行である。
アリウスは、天馬蒼依ら4人のお相手続行。
「ウガヤ様も意地が悪いなぁ~」
アリウスは空中でそうぼやく。
とりあえず水遊びしてた川によって、天馬蒼依達がいなければ避難したとみなして自分ちにいく。
アリウスはその予定で空をのんびりふよふよと飛んでいた。
血まみれで。
「魔法で一気に服も洗濯したいのに、
『わたしのわがままきいてくれ。その血まみれの状態で天馬蒼依たちを驚かせてみろ。天から雲の上からその様子を父上と母上とで面白がって見るから』
だもんなぁ」
アリウスはふよふよと空を飛びながら、ぽりぽりと頭をかく。
「はぁ~~~~。あ、川にいた。けど遊んでる感じじゃないな~~」
天馬蒼依たちはアリウスの家には避難していないようにアリウスには見えた。
「う~ん、うーん……」
そのまま唸りながらふよふよと降りてゆくアリウス。と、そんな彼は4人組に男――というかハゲが一人加わっている事に気づいた。
「あれ…………うちの」
と、天馬蒼依がアリウスに気づいた。
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
天馬蒼依が血まみれのアリウスを見て、顔を青くして思いっきり叫び声をあげる。
「ゆ、幽霊…………?」
ガートルード=キャボットが青ざめた顔でうめく。
「うそ」
ユーナ=ショーペンハウアーも顔を青くしてうめく!
「マジで…………?」
アン==ローレンも顔青くして若干びびっている。
「いやあの、確かに空飛んできたし、こんななりだしそう勘違いされてもあんま文句は言えないけども! でも生身だけども! ぼく!」
アリウスが必死になって手振りも交えて弁解する。
「生きてるの…………?」
天馬蒼依が震える手でアリウスの頬を撫でる。
「生きてる生きてる。確かに結構出血はしたけど天然塩食べてそれで腸の繊毛で血液作ってるから…………」
「よかった…………あまり無茶しないで! あなたを心配する人、今はいるんだから……ここに!」
天馬蒼依はアリウスに抱き着いてそう訴える。
「はは……ごめんなさい。あと血で汚れるからあんまくっつかない方が……」
「そんなのどーでもいいです! あなたが無事か確認する事の方が大事です!」
天馬蒼依はアリウスに抱き着いたまま、そう反論する。
「てか避難しなかったんだね4人とも。王様は避難必要ない実力ありますけども」
アリウスはハゲ筋肉に向き直って、王様といった。そう、このハゲ筋肉マントがヴァーレンス王国国王なのである。
「お前、恋人か? その元気で落ち着きのないうるさい子」
「うるさいは余計ですーーーー!」
天馬蒼依は、オーヴァン国王に向かって唇を尖らす。
「えっと、恋人になりたがってる子? 狙われてるみたいです、わたし…………。
正直、さっきまで戦ってたケルトの神、光の神ルー=ラワダより天馬蒼依ちゃんのおっぱいおしつけての恋人攻撃の方が脅威です…………僕は」
アリウスが困ったような顔でうめいた。
「…………何よっ、もう!」
天馬蒼依はそれに腹立ったのか何なのか、意識して自分のおっぱいをアリウスに押し付け、アリウスの胸にすりすりおっぱい攻撃し始めた。