春も桜も好きなオッスキュンがああ~わたしを嫌いなはずないでしょー? まじ卍
「でもさー、祭りといえば、恋よね」
天馬蒼依が神社の境内を見ながらいう。
「そーかしら?」
水鏡冬華が疑問の声を上げる。
「そーですよ。ドキドキするんだから、好きな人が向こうから歩いてこないかな? とか思うし。カップル見てドキドキするし」
あー、と声を上げてアンが言い出す。
「好きだった男の子が他の女子と一緒にいたことある。あれショックだったなあ」
「う~ん、それはきついかも」
ガートルードがそうつぶやく。
「お祭り会場では大丈夫なのよ。まだ雰囲気に呑まれてるから。家帰った後思い出すときついな~」
アンが続ける。
「でもさ。憧れちゃわない? 祭りで運命の人に告白して、告白されて結ばれるの。花火が2人を祝ってくれるの」
天馬蒼依がいう。
「うんうん~」
「憧れる~」
「花火をバックにしてっていうのがいいよね~」
天馬蒼依ら女グループが盛り上がる。
「でも、そんな仲いいカップル割合そんな多くないけどね。見てると。ケンカしてるカップル多いよ」
と、水鏡冬華が釘をさす。
「それに、皆行儀良いのか祭りでナンパも思ったより起こらなくてね……フレッドくらいか、いつもナンパしてるのは」
水鏡冬華がそういうとユーナが複雑な表情をする。
「…………あの人の一番になるのって、無理なのかな」
「そぉんなことないよ! ユーナ! 弱気になっちゃダメって言ってるでしょ!」
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「あ。オッスきゅんの霊気だ」
芸術に傾倒していた桜雪さゆは、ようやく日本武尊の霊気に気づいた。
「はい?」
レアが聞き返すが桜雪さゆは答えず。
「祭り会場……水神神社の方だ。ちょっと芸術中断していこお~っと」
そういうと桜雪さゆは妖力で空を飛び水神神社の方へ素早く飛んで行った。
「…………ミハエル様のベッドで寝るか」
ベッドをきれいにするとかではなく、ミハエルの匂いに包まれて寝る、だ。彼女、レアの日課である。
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「…………!」
水鏡冬華が桜雪さゆを視認した。しかし、しーっの手振りによりあまり外には出さないでおく。
「オッスキュン見~~~っけ! だーれだ!」
両手で日本武尊の両目をふさぎ、そういう。
「ぐあ!? 貴様、春女、はなせ!」
「春も桜も好きなオッスキュンがああ~わたしを嫌いなはずないでしょー? まじ卍~ はちみつください!」
「桜は大好きだがお前は嫌いだぁ~! ま~だはちみつわたしからたかるつもりか! お前は……!」
桜雪さゆが日本武尊の目から手をどける。
「さゆくん。こんにちは。相変わらずヤマト君で遊ぶの好きだねえ」
「こんな遊び甲斐あるおもちゃはなかなかいませんからね~出雲さん!」
「遊び、相手じゃないわああああ!!」
わめく日本武尊。さすがの彼も桜雪さゆの前ではクールな自分を維持できない。
「オッスキュンわたあめいる~? 買ってあげるよ~このわたしが。でもわたがしって早めに食べないと湿気で全部座布団の中綿みたいになるよね。あれふわふわ維持はは冷蔵庫保存らしいよーふわふわ復活はわかんない」
「いらんわアホたれ!」
「む~、つれないんだー」
空夢風音は驚いた表情でそれを見ている。
「さゆさんて、初めて会った時から思ってましたがホント怖いものなしですね……日本武尊ですよ……あの伝説の」
「怖いものは一応あるけどね……」
と水鏡冬華が口を挟む。
「えっ、なんですか。教えてください」
「あの子が仕えてる、木花咲耶姫様。ファブリスで一回降臨したのよ……風音、あなたが手紙もってホップステップジャンプで上機嫌で部屋に戻った後に、あの食堂に」
「ええ~~~っ! 見たかった! 見たかったです!」
ぴょんぴょんと空夢風音はスカートがめくれるのもかまわずジャンプして感情を表現する。
「見てたら大分溜飲下がったと思うわよ、あなた」
「うう~っ」