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太陽よ、ムーンショットを止めろ!  作者: 白い月
男に狙いをつけたかわいい顔したホーミングミサイル2発が発射されます
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ええ。誓約(うけい)よ

 水神神社には今、黄色の服に身を包んだ和服の女――のように髪が長い男がいた。

「オウス君、あなたが祭りに来るなんて珍しいわね」

 巫女装束に身を包んだ水鏡冬華がそういう。

「フン、気まぐれだ。それに今はあの春女がいないようだしな」

 オウス君と呼ばれた日本武尊やまとたけるは、神社の辺りを警戒してそういった。

「でも、神話級の人物にここで会えるとは思いませんでした……」

 空夢風音そらゆめかざねがそういう。

「手合わせ願ってみる? 案外応じてくれるわよオウス君」

 と冬華が風音にすすめてくる。

「そんな! 神話級の人物になんて勝てませんよ、わたし……!」

「以外と霊力ねるの下手だから。オウス君。だから霊力差のせいでわたしよりだいぶ弱いわよ。剣の技術はわたしより上なんだけどね」

「…………ちっ」

 霊力寝るの下手だから弱いわよの所で舌打ちをする日本武尊やまとたける

 ――と、階段を上がってくる人影が見える。

「アリウスさん…………にあれ? ファブリスであったあなたたち…………にちっちゃいわたしと明日香ちゃん……どんな組み合わせなの」

 冬華が声を上げる。

「…………」

 日本武尊は無言でアリウスたちを睨んでいる。愛想自体が皆無な男である。彼の場合これで普通。

「かーちゃんこにちわ! とーちゃんらは向こうにいるっぽい!」

「ええ、こんにちは。そうね、ミハエルは、今日は嫁の中で子どもがいる人優先で家族サービスだから。わたしと明日香ちゃんは、あんたら2人が次元飛びまわってるせいで優先外れたのよ~もう」

「ごめんちゃ~い!」

「ごめんちゃ~い冬華のかーさん!」

「そう言えば水鏡さん、先程アリウスさんから聞いたのですが……」

 と天馬蒼依てんまあおいがたずねる。

「なに?」

「子ども……子宮使わずに作ったって……」

「ええ。誓約うけいよ」

 水鏡冬華はあっけらかんとした顔でそう答える。

「すごいですね。そんなの神話の世界とばかり思ってました」

「まあ、病気でもない子宮あるんだから普通に子宮使えって言われたら反論できないんだけどね。でもつわりで吐いたりとか激痛とかなかったりとかは楽だったわね」

「いいな~」

「ふふふ」

風音かざねさんお久しぶりです。ミハエルさんの心射止めましたか?」

「お久しぶりです蒼依あおいさん。それが、まだ……。能力を買っていただき彼の黒騎士団に入ったのでゆっくり焦らず狙おうかと……」

「なるほどね~」

「…………」

 冬華が何か思っている風に風音かざねを見つめる。

「浴衣の人ばかりですね~さすがに」

 と、天馬蒼依てんまあおいが境内を見渡して呟く。

「え、ええ。祭りだし文化も色々混ざってるし何よりこの星作った神が八百万の神々だし」

 水鏡冬華はそう答える。

「盆踊りは夜からですか?」

「そうね」

「でもよかったー」

 天馬蒼依てんまあおいがそう叫ぶくらいの大声で言う。

「なにが?」

 水鏡冬華は純粋に聞く。

「いやあ、だって。こういう祭りの店で無駄遣いしない対策できてたんだもん。さっき意識しないでさ」

「?」

 水鏡冬華はよくわからず、表情だけで疑問をぶつける。

「出店に行く時にお腹いっぱいにしておくと、無駄遣いが減る!」

「ああ、なるほどね」

「イチゴチョコに500ウサギとかたっかいじゃな~い。でもあらかじめお腹膨らませておけば誘惑に勝てる。お祭り会場で食べ物食べるとなぜかおいしいのよね~。

 あと焼き鳥屋さんすごい並んでるイメージ。並ぶので時間食いたくないよね~」

「まぁね~」

 水鏡冬華が相槌を打つ。

「混んでると言えば」

 と、水鏡冬華が声を上げる。

「トイレ気をつけてね、うちでもトイレ貸してはいるけど、向こうの仮設トイレ行列できてた。みんなおしっこしたそうな顔つきで引きつってたわ」

「あぁ~祭りあるある。お気遣いありがとうございます、水鏡冬華さん」

「そういうトイレって祭りでも雰囲気ギスギスだよね。みんなしたいから」

 アンが会話に入る。

「しかもそういう仮設トイレって汚い場合ありますよね、みんな慌てて使ったせいか」

 ガートルードが微妙な顔でそう答える。ユーナも顔をしかめてうんうんと頷く。



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★



「なんで、わたしは下界まで来て祭りの女子のトイレ事情を聞かされなければいかんのだ? 冬華」

「わたしに聞かれてもわかんないですよー外見は女に近いオウス君」

 ちょっと、突き放した様子で応える水鏡冬華。

「ふふふっ、また女の振りをする時に役立つんじゃないかい? ヤマトくん(キランッ☆ミ)」

 と、向こうからストレートの黒い長髪でイケメンが現れた。

「出雲さん、お元気ですか」

「元気だよ、冬華くん(キランッ☆ミ)」

「出雲、お前まで下界に……」

 と日本武尊やまとたける出雲建いずもたけるを苦手そうに見つめる。

「そりゃあお祭りくらいたまには行きたくなるよ」

 空夢風音が驚いた様子で出雲を見る。

「い、出雲建さまですか? まさか直で出雲王国最後の王にお会いできるとは、わたくし、空夢風音と申します」

「ああ、天の上からちょっと見てたよ。ラスト素戔嗚見て一目惚れして腰抜かしてたかわいい子だね」

「え、えっ、ラスト素戔嗚って誰ですか?」

「ミハエルだよ(キランッ☆ミ) 皆勘違いしているが素戔嗚も天照も個人名じゃない。素戔嗚なんて何人もいるよ、何代も」

「なるほど。あっ……あ、ああ、あれ見てたんですか……恥ずかしい」

 空夢風音は太ももをこすりつけ、両手を頬に当て、恥ずかしさにうち震える。


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