みーっけーた~! みっけーたー! せーんせーにーいってやろ~!
ファブリス諸島王都ファブリス。午前11時30分。そろそろファブリス~ヴァーレンス行きの魔導船が出発するころだ。
天馬蒼依たち4人は今ファブリス諸島の王都の港に停泊しているヴァーレンス行きの快速魔導船便にいた。
「いやー2週間前にわたしとユーナに素敵な出会いがあった国!」
蒼依がそういって思い出に浸る。
「そうだね……思い出にするつもりはないけど」
ユーナがそういう。
「うんうん、そりゃあもちろんよー」
蒼依がそうかえす。
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銀髪赤目、純白の翼を持つ男が魔導船に乗ってきた。4人にはその男の顔に見覚えがある。品行方正すぎてあの集団ではいまいち目立ってなかったが。
すかさず天馬蒼依が指を差して反応した。
「あ゛ー! わたしたち置いてけぼりにして逃げた男の連れだー! みーっけーた~! みっけーたー! せーんせーにーいってやろ~!」
「ア、アリウスさんこんにちは」
アンは普通に挨拶する。ガートルードとユーナはお辞儀をする。
「せ、先生……? ど、どうもこんにちは、2週間ぶりくらいかな?」
とポリポリと頭をかくアリウス。
「サミュエル君をだせ! あとユーナちゃんのためにフレッドもだせ!!」
「いや、出せって言われても……」
「あなた、ウィザードとかいう魔法のスペシャリストなんでしょ。魔法でちょいちょいのチョ~イで解決してみせてよ!」
「いや、あのね、今君たちの要望解決したところで今度はフレッド達に文句言われるからねわたしが!?」
そしてアリウスはユーナに向かっていった。
「それに、空間移動魔法ならユーナさん、君が自力で覚えられるよ。あの時僕らに見せたテレポートの制御力見るに。あれから練習した?」
ユーナは、戸惑った。
「え、練習……そんな暇なかったです」
「わたしとユーナ、住む所まで引き払って、背水の陣で男とりに行くんだから! その準備で魔法練習する時間取れないわよ。それと一人称わたしと僕で分裂してるね、お兄さん」
「え゛!? 引き払ったの! 友達の視点から見るに、フレッド相手にそれは無謀な……それじゃあ最悪ヴァーレンスで野宿覚悟……。あ、一人称は癖みたいなものだから。気にしないで」
さすがに男のアリウスは女の度胸にたまげる。
「その覚悟で男捕まえに行くの! ユーナも! ねえ!」
ユーナが蒼依の言葉に何度も頷く。壊れたおもちゃのように。
「ま、まあ船も出港するしご飯時だし、食堂で話さない?」
アリウスがそう提案する。
女4人はそれに従い、食堂まで5人で行った。