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太陽よ、ムーンショットを止めろ!  作者: 白い月
女が恋愛感情で心霊現象発生させる前に逃げましょう
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放っておくといたずらする十二単

 桜雪さゆは、ミハエルらが土産物買い足している最中、船にずっといた。

 何をしていたかって?

「これで煽り性能100%UPかな~!」

 そんなことを言う桜雪さゆ。

 魔導船でさゆが当てられた部屋は普通の寝室だった、

 が、それでは煽り性能が低い部屋なため、さゆは煽れるように部屋を妖力で改造した。

 まず廊下から部屋の中を見えるようにする。

 そのため、ドアを透明に変える。妖力で。

 そして部屋の中に魔導携帯端末の映像をミラーリングできるよう、ディスプレイを妖力でめっちゃめちゃ増幅させておく。

 そしてミラーさせる映像を確認する。船の一室、ミハエルの部屋で桜雪さゆの親友水鏡冬華が愛しのミハエルにベロチューする瞬間だ。

 空夢風音がミハエルに猛アタックしても水鏡冬華があまり怒らない理由はこれで明かされる。

「舌レロンレローン! あのかっこいい顔で決めてる、星全体で見ても超美人、竜神闇霎りゅうじんくらおかみと外見瓜二つの才女、水鏡冬華がミハエルさんっていう人参ぶら下げられた途端に、ミハエルさんに向かって舌レロンレローン! なんて浅ましい、卑しい女の本性が出ているのでありましょーかっ!」

 美男ミハエルと超美人水鏡冬華がベロチューをしている映像が部屋のディスプレイ12個に映る。壮観である。さすが水鏡冬華。超美人なだけあって女の欲望が出ている瞬間でも十分絵になる美しさの女だ。

 桜雪さゆは、映像を見て、親友の水鏡冬華がミハエルに向かって舌レロンレローンするのを真似している。

 部屋はドアを妖力で透明にしたので廊下から丸見えである。



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★



 ミハエル一行が買い物から帰ってきたようだ。

 廊下の向こう側からわいわい聞こえる。

 ミハエルがさゆの部屋の前を通る。

「いえーい! 息子さんが買い物中に準備しておきました!」

 と手を広げて自慢げに桜雪さゆ。

「お前っ、恥ずかしい以前に冬華見たら本気で怒るって! これ、これこれ、いたずらで済ましてくれないよ! サリサやフィオラやリィルの分まであるの? わたしは恥ずかしいで済ませてあげられるけど、冬華は、冬華は………。

 後もっとやばいシーン撮ってないだろうな。それはさすがにわたしも怒るよ」

「キスで限界~ってわたし自分で線引きしたから。そこらへんは大丈夫。わたしは他人の精神をぐちゃぐちゃにしたいんじゃなくて、あくまでいたずらレベルのをしたいから」

 桜雪さゆはミハエルに正直にそう答える。と、桜雪さゆは、ミハエルの背中のほうに視線を向ける。

「やは!」

 桜雪さゆがミハエルでない誰かに手を上げて挨拶した。

「あ…………あ…………あは…………あああ、あははは…………きっ…………」

 ミハエルの後ろにセーラー服の女が見える。そのセーラー服がどささっと、その場に土産物を落とす。

「やばっ」

 そんなミハエルの言葉も聞こえる。

 12個のディスプレイに映っている男のベロに自分のベロをうっとりした表情でからませている超美人と同一人物だ。

「きゃああああああぁぁぁあぁぁああぁぁぁああああっ!?」

 女らしい悲鳴を上げつつ、水鏡冬華はさゆの部屋の扉、透明な扉を力任せに開けようとした。だが開かない。

 そりゃそうだ。妖力で接着している。こうなればもう鍵開けなんて関係ない。妖力をどうにかしなければ。

 ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン!

 なんらかのリズムに乗っているように、右手はドアを抑え左拳を透明なドアに叩きつける水鏡冬華。その顔は火が出るくらい真っ赤だ。耳も真っ赤である。

 水鏡冬華にしては珍しく、大粒の涙まで出ている。

 そんな親友の様子に満足したのか、桜雪さゆは、親友の慌てっぷりを見つつ、イヤホンをつけ、携帯魔導端末から音楽を聴く。音楽に乗っているのか、右手で指を鳴らして軽快なメロディ、音楽に合わせて体を動かす十二単。

 透明なブチ破れないドアの向こうで親友の泣き顔を見つつ音楽にノる桜雪さゆと

 ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン!

 と諦めず透明なドアをぶち破ろうとする水鏡冬華。

「暴れた方がまずいんじゃない? まずは部屋に戻って、冷静になろうよ」

 ミハエルがそう言う事を言う。桜雪さゆは

(まあ賢くはあるわ。このまま無駄なあがきをするよりわね! ふふ)

 と思いつつ音楽を聴いている。

 水鏡冬華は涙ぐんで恨めしい視線を親友桜雪さゆと12個のディスプレイに映っている彼にベロチューをねだるいやらしい自分に送った後、ミハエルに手を引かれて、その場を去る。落としたお土産を持って。

「半竜! 行っちゃうの? こればらまいてもい~い?」

 ドアを開けて、桜雪さゆが煽る。右手に写真を持って、左手でそれを指さして。

 それは、水鏡冬華がミハエルの首に両手をまわして逃げられないようにしてから、ベロチューをせがんでいる写真だった。

 それを見るや、20mくらいの距離を素早く走ってきた。

「にひひひひひひひ。半竜耐えられないと思った!」

 そして桜雪さゆはもう一度透明なドアを妖力で固定し、音楽にノり、右手でて指を鳴らして軽快なメロディ音楽に合わせて体を動かす。

 水鏡冬華がミハエルの首に両手をまわして逃げられないようにしてから、ベロチューをせがんでいる写真を掲げつつ。

「ぐぅっー――――」

 ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン!

 水鏡冬華は顔真っ赤にして、ドアを叩きつつ半泣き状態だった。

「なになんなのさ。わ、うわっ、これあの時の」

 サリサが騒ぎに気づいた。

「うそ、あの時のアレ撮影されてたの」

 フィオラがショックを受けた顔で固まる。

「…………っ」

 リィルは言葉もまともに出せず半泣きだ。

「…………」

 空夢風音は憎々しげに12個のディスプレイに映っているいやらしい映像を見ている。

「うぅ~ん男と女がいれば愛するのは自然のセツーリ! 誇りに思うべきでーす! これは貴重な映像デース!」

 とレティチュ。

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