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太陽よ、ムーンショットを止めろ!  作者: 白い月
カネがある奴で素行が悪い奴は悪目立ちする。本人はそれを天下だと思っているが端からはバベルの塔の崩壊としか思われてない
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惨劇後

「惨劇だったね~」

 カイアスのグオリ将軍と魔導携帯で話し終えたアーーーーーイ!!! 1号は魔導携帯端末をポケットに入れ、のんきな口調でそういう。

「本当に惨劇だったら、そんなのんびり口調になれないよー」

 アーーーーーイ!!! 1号の友人アリウスがのんびりツッコミを入れる。

「あの女の子たちには途中まで惨劇だったけどな」

 滅炎剣と滅氷剣と鞘に納めつつアーーーーーイ!!! 2号はそうつぶやく。

 いちばんひどいのは天馬蒼依てんまあおいだ。実力差が大きいまま刃向かっていったため、顔をボコボコに殴られて腫れている。ボクサーの試合終了時よりひどい。

 おまけにどうやら男性恐怖症の精神的特徴まで獲得しかかっているようだ。

 クロードが近づいても

「ひいいいいいいぃぃぃ! 殴らないで!」

 とその場にしゃがみ込んですぐは足に力が入らないようだ。スカート丈の短さからパンツもどうしようもなく見えるがさすがにこんな精神状態の子に欲情はできない。かわいそうだ。

「いや、あの、怖がらなくてイイよ……僕こわい事しないから、ほら、槍ももうしまった」

 フレッドと話してた時のはねっかえりが懐かしく思う。蒼依あおいがゆっくりと立ち上がる。

 今は両手を広げてゆっくり歩むイケメンクロードにすらこの反応だ。

「かっこいい男の方とか用意してくれると嬉しいです、やる気が出ますので」

 といっていた女の子がこの惨状。

「ね、もう大丈夫だよ。あとはやくその顔綺麗に直さないと」

 優しい笑み(女なら鼻血を噴き出して倒れそうなイケメン、一目惚れしそうなイケメン顔)を作りクロードが天馬蒼依てんまあおいの左肩を右手で触る。

「あひっ! あ……」

 クロードがゆっくりと手を蒼依あおいの左肩に置いたが、蒼依あおいはそれだけでびくんと恐れをなしてしまい、足から力が抜け、へなへなとクロードにもたれかかる。

 そしてクロードのズボンが暖かい液体で濡れる。

「うわ」

「すみません、すみません、汚してずびばぜん、殴らないで……!」

 クロードにしがみついたまま、蒼依あおいは泣き続ける。

「いや、怒ってはいないよ……むしろこっちこそ悪かった。僕こういう恐怖症の子と接した事なくて……。ズボンは洗濯すればいいから!」

「おい、クロード彼女を怖がらせることしたのかー! 女泣かせんなよー君はその甘いフェイスでいつも女泣かす可能性高いんだから」

 アーーーーーイ!!! 1号の責めるような口調がクロードを襲う。

「いえいえ、団長! 肩に手を置いただけですってば! てか女泣かしてるの団長とフレッドでナンバー1、2ですよ!!」

 クロードも苦笑いしてさすがに反論する。

「そんなっ!?」

 アーーーーーイ!!! 1号はショックを受ける。

「クロードさん、ちょっとその子貸していただけますか?」

 子どもっぽい顔のサミュエルがそういう。

「でも、この子すごい恐怖症だよ。大丈夫サミュエル?」

「まかしといてくださいクロードさん! ほら今から僕がその顔の腫れ治しますからね~いたくないいたくない」

 サミュエルは回復魔法を集中して鍛えた男だ。外見の子どもっぽさに惑わされてはいけない。彼の回復魔法は素晴らしい。薬みたいな副作用すらない。

「…………あ」

 蒼依あおいの左の視界が鮮明になる。今まで腫れた部分が邪魔で左が見えなかった。

「君が直してくれたの? 痛みも急にどっか飛んでっちゃった」

「は、はい。僕のとりえですから……!」

 と右頬をポリポリかくサミュエル。

「そっか、ありがと」

 蒼依あおいに笑顔が戻った。そして――

 ちゅっ。

 その笑顔のまま、蒼依あおいはサミュエルの唇にキスをした。

「わたしのファーストキス、きみに特別プレゼントだよ」

 蒼依あおいはそう言って、頬を赤らめる。

「ああわわわ、くっくちびる……! こんな流れ団長かクロードさんかフレッドばかりと思ってたのに……!」

 サミュエルは気が動転した。そしてしばらく蒼依あおいの可愛い顔を直視する事が出来なくなってしまった。

「かわいい男の子、サミュエル君ていうの? わたし天馬蒼依てんまあおいっていうの、これからず~っとよろしくね!」

 蒼依あおいはサミュエルの腕にくっついて、自分のマシュマロ胸の魅力を主張した。

「え、ず、ずっと……?」

「なぁに? ずっとわたしと一緒にいるの嫌? わたしは、1秒でもかわいいあなたと一緒にいたいって思ってるよ?」


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