表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
太陽よ、ムーンショットを止めろ!  作者: 白い月
超投資戦はまあ適当に こじれた恋心はやさしく……できたらいいなあ
122/376

陰獣には引っかかりません

 食事の後、ミハエルは散歩をすることにした。フレッドは女を口説きに出かけた。クロード、サミュエルはミハエルに付き添い、アリウスもミハエルについていっている。

 女グループも大体ミハエルについていってる。特に空夢風音は目の色がおかしい。桜雪さゆだけはそこかしらに気ままに飛んで行った。

(風音、堕天使に精神操作されてる? でも倒したし死後強くなる怨霊念ならわたしも冬華も気づくからなあ)

 カスティーリャ北端。ここからはエルフの森が見える。

「ああ、ここわたしの家の近くですねえ」

 エルフ忍者のレティチュが腹膨らました状態でそういう。単純に食べ過ぎである。

「きったねー。お前、どっかいけよー」

 と、エルフの森からそんな声が聞こえる。見ているとエルフの子ども数人がいるエルフの森南端からこちらへ流れてくるものがある。

「ぬいぐるみ?」

 リディアがそれを見てそう呟く。

「いや……」

 水鏡冬華がそう言って手で皆を遮る。

 波に揺られて近づいてきたそれ。まあ傷ついているが、かわいくはあるだろう。

 丸っこいデザインでまぁマスコットっぽくはある。

「やぁやぁ皆さん! 僕は生娘に魔法少女の力を与えるマスコットのビトリだよ!」

「シトリーだろお前」

 間髪入れずミハエルが突っ込む。

「ソロモン。魂の色が72番の12番目の悪魔の魂だ。霊波動士を騙せると思うなよ」

 ミハエルが続けてビトリに言葉で牽制する。

「どーせ魔法少女にしてあげるよ! とかいって女捕まえてひどい事するんでしょ」

 水鏡冬華が半眼でそう吐き捨てる。

「うるさい! 生娘じゃない奴が偉そうに!」

「なんで生娘にこだわるのよ。それって悪魔が生贄を捧げる際の絶対条件に聞こえるんだけど……」

「あっ、生娘がいた! 君たち魔法少女になってみたいよね? 女の子なら1度は夢見るはずだよね? 僕がその夢構えてあげるよ!」

 その視線には、フローター・クレーヴの5人と空夢風音がいる。

「確かに……霊覚で見てみたら悪魔の形と同じですね、魂……。陰獣には引っかかりません!」

 と、瞳に青い炎を灯して、風音が、感想を漏らす。

「なるほどね~言葉だけ聞いた時はエルフの子タチの悪い子なのかなっておもったけどタチ悪いのこのマスコットもどきだな」

 ミハエルが吐き捨てる。

「正直、この手の生贄求める条件になぜ処女限定なのかわらかぬが……女なら何かわかるのかね、ねぇ冬華」

「知らないわよ。神社でも巫女は処女限定とか言ってわたし弾かれた経験あるけどアホくさって思ったっきりだしね。皇族の未婚の娘と勘違いしてんのかってね。天照国照彦天火明櫛玉饒速日尊、男の天照は、処女じゃない方がいいって言ったの聞いたし神本柱から。処女だと気をつかうから」

 冬華が吐き捨てる。

「本当の正神は生贄を要求することはなく

 生贄を激しく要求したのは邪神や悪龍――ヤマタノオロチだな。

 あと地球では、古代インカ、生贄処女の子らを酒や薬物漬けのフワフワにしてまで逃げられないようにし、正常な精神状態を奪ったそうだ」

 ミハエルが思い出しつついう。

「つまり、処女を求める言動してる時点で、このマスコットは悪魔なわけだ。

 人間は魂の純度が高いと憑依霊に生体エネルギーを吸われる人がいる。

 けどこいつらのような霊は魂の高潔さではなく、若くてきれいな魂や生体エネルギーを好むんだろうね。

 だから『生娘の性的エネルギーを好んで飲み干す』気味の悪さを持っているんだろう」

 アリウスが口を挟む。

「じゃー殺しちゃっていいのよね、この悪魔」

 クリンクリンと頭のホワイトライガーの耳を動かしつつ左手でエネルギー波を撃つサリサ。

「うわーっやめろよ、にっくき天照の匂いが濃いホワイトライガー」

「うるさいよけんな」

 サリサが適当な心持ちでテキトーに霊牙――光の衝撃波を放つ。

 避けられても狩人としてのホワイトライガーの本能が刺激されるだけだ。

 ドシュウウウウン! ドシュウウウウン! ドシュウウウウン!

 とサリサとビトリの狩ったり狩られたりをのんびり見つつ冬華が、

「そういえば、1945年に生贄が前世だった人と話したことあるわ。

 生贄に選ばれて村の龍神様に人柱で捧げられた生娘の前世を持つその人の話聞くと、村の役に立てて大変嬉しかったそうよ。

 で、その人原爆に吹き飛ばされて壁のシミになっちゃった。

 人の運命とは前世の徳劫に見合った時代、環境、両親などに生まれ出るけど、戦時に兵士として徴兵されるのも偶然ではない。

 ――とはいうけれど運命くらい自分で選びたいわよね。巫女のわたしですらそう思うわ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ