表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
太陽よ、ムーンショットを止めろ!  作者: 白い月
ファブリスって意外と文化混ざってる?
108/373

わたしを安く見ないで

挿絵(By みてみん)

「あら、いや~ん。こわい~うんちぶりぶっり! というわけで妖怪雪女様のももめさまだよ~ん。こにちは! こにちは海外の皆さん。エクスキューゼモア! ないすとぅみーちゅ~ジャンボ! ジャンボジャンボ! ボンジュール! サリュ! コマンタレヴ? あ女の店員さんこっち来て! かき氷シルブプレ? メルシーボクー!」

 投げキッスを行いながら店員に注文しながら歩いてくる桜雪さゆが見えた。見えたというか見たくなくても見える。登場から店の雰囲気をかっさらっていったのだから。

挿絵(By みてみん)

「アホが……狙われてるって言ったでしょアンタ…………」

 水鏡冬華は半眼で桜雪さゆを、親友を見る。

「聞いた聞いた。そこの純白のパンツを足開いて息子さんに見せびらかして少しでも息子さんの心に自分を住まわそうと企んでる卑しい卑し~い女がわたし狙ってるんでしょ!?」

「そんな男を誘うような真似してません!!」

「実際股開いてるじゃん。足どころか下半身全体に力がはいらなくなったとはいえさ。強がらずに自分が腰砕けになってる事認めてフィオラにしっぽで支えてもらっていれば起こらずに済んだ卑しさなのにさ」

挿絵(By みてみん)

「まぁ、それは、支えを離したわたしが悪いって言うか……」

 といいだしたフィオラを手のひらで止めるさゆ。

「息子さんが純白の下着の女が好きだってよくわかったわね? それとも下調べしたの? 息子さんの性癖とか? 自分半竜並に胸大きいから成功率高いって思って突撃したんでしょ! 卑しいわ~」

「息子さん、て誰ですか! そう言う自分だけしか分からない表現って――」

「アンタが卑しくもパンツ見せびらかした相手よ」

「――――っ!」

挿絵(By みてみん)

 風音がミハエルの方を向いて顔を真っ赤にして硬直する。視線をしばらく外す事すらできずに風音はミハエルを見つめる。ミハエルの困ったような視線が自分に注がれるのが、なんか悔しい。

「妖怪殲滅をうたっている彼女相手だからそんなに手厳しいの? さゆ」

 ミハエルが一言。

「まあそれもあるかもね。絶滅を宣言する相手に仲良くはできないでしょ~?」

「頭病めそう」

 水鏡冬華はこめかみを抑えてそうごちる。

 へへ~ん、といった口調で煽り口調で空夢風音そらゆめかざねに話しかけるさゆに激怒した表情で風音が言い返した。

「わたくしを、わたしを安く見ないで!! わたしはそんな安っぽい女じゃない!

あなたが、問題の妖怪ですね……観念してください!

 このわたしが、わたし、くううっ」

「腰抜けてるのにやけに強気じゃない? あと食事処で暴れるつもり? しかも腰抜けた原因が恐怖とかじゃなくって、ひとめぼれした男の瞳を真っすぐ見ちゃったからだなんて。

 息子さん別に瞳術学んでないよ? 安く見られて当然じゃない? 男に対する免疫がゼロの女で、あまつさえ自分からパンツ見せちゃう女なんて。

 こっちも当然女ですからね十二単まで毎日着てる雅な女。卑しくない女のポイントくらい抑えてんのよ」

 さゆは、右手で風音のあごを撫でる。猫にするように。

 その言葉に女のプライドを刺激されたのか、大粒の涙をこぼしつつもさゆの顔を憎々しげに睨む風音。

「うんちぶりぶりとか言ってたくせに……」

「それは小学生レベルのご愛敬。

 アンタの女としての卑しさは、大人の世界での卑しさ」

 と桜雪さゆは言い返す。

「若いくせに落ち着いているってクレバーな女キャラのイメージ陥落おめでと~、これからのあなたは、切れ者を気取っていたけど男の魅力に骨抜きにされて足腰立たなくなった卑し~い女よ! 息子さんは優しいからアンタ無事だけどね。これが悪い男だったらアンタ自分の身も守れないよ!」

「わたしは、霊波動を学んだ剣士です!」

「だから何。このテーブルについてる大半は霊波動士よ。

 それに、腰抜けてんのにどうやって身を守るの?

 ああ、息子さんに懇願して守ってもらうのか~? プライドだけ高くて結局男頼み!」

「煽りはそこらへんでやめておけ、さゆ。風音本気泣きしてるぞ」

「してません!――ヒック…………」

 ミハエルがたじたじな様子で止める。

「そだね~。ちょっと意地わるかったかも。でも女だからね男みたいな女に対する気づかいはしないよ!」

 と、そこで桜雪さゆはぺんぺん、と両手で自分のほっぺを叩いて自分の邪気を追い払った。

「わたしはさ腰抜けるなんて経験した事ないんだけどさ。

 上半身と下半身が分離してしまうような感覚らしいね。幕末で刀で切られそうになってた人助けた時にそれは聞いた事ある。

 その人とは別の女性からは、動けなくなって横たわったまま

 『なんか、上半身と下半身が違う人みたい』

  っていっていたわね。

 上半身は自分の意思で動かすことができるけど、下半身は力が入らず、動かすことができず、まるで自分の体ではないみたいって。んな状態で身を守るのは無理。

 当然わたしに勝つ事すらもね」

 ふーっ、と鼻から勢いよく空気を出して、さゆはそう締めくくった。そして運ばれてきたかき氷を受け取る。

「アンタ今回の事情抜きでも恨み買うわよ……そんだけ煽ったら」

 半竜――水鏡冬華は半眼でツッコミ入れておいた。

「かわいい煽りだと思うけどなぁ」

 桜雪さゆはそういう。

 だが泣き顔でスカートを両手でおさえて、さゆを睨む風音を見ると、かわいいとは思えなくなった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ