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太陽よ、ムーンショットを止めろ!  作者: 白い月
ファブリスって意外と文化混ざってる?
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霊波剣士は男に一目ぼれ

(あの、金髪の貴族。見ていると、胸がざわついてくる……。

 わたし、金髪貴族と夫婦になって手を繋いで出かけている光景を頭の中で今巡らせてる……!

 これが一目ぼれでしょうか? 今まで運命の人がーとかいう友達を微笑ましい気持ちで、そんな気持ちになれるんて心に大分余裕があるんですね~~、なんて思っていたけど。

 自分がまさかこうなるとは思いませんでした。余裕どころか、全然余裕ないじゃないですか)

挿絵(By みてみん)

 と、そこで空夢風音そらゆめかざねはミハエルの目を見つめる。ミハエルはその熱視線を感じて風音を見返す。

「どうしましたか?」

 平静を装って空夢風音そらゆめかざねはそう答える。が、ミハエルに見つめられた時彼女の両足がふるるっと足が震えたが、彼女はそれに気づいていない。

(見た! 見た! 彼がわたしを見た!

 あああ、わたし、金髪貴族とわたしが近づいた時のことばかり考えるようになってる。

 告白すらまだなのに。でも奥さんいらっしゃるよね。あの水鏡って方奥さんよね。でも一夫多妻制よねこの星。わたしにもチャンスありますよね?

 あああ。人生の初恋が奥さん持ちの男になるなんて。

 でもまず名前聞かないと。

 『全く何考えてるのかしら』って言っておきながら自分は24時間彼氏の事ばかり考えている、友達のそんな姿に笑っていましたが、自分がそうなるなんて)

「どうしましたか? と鏡のように反射しよう」

「え? それはどういう……」

「いや、今両足ぶるるって震えたからさ、君。トイレなら行ってきな」

「おかしなことおっしゃいますね。わたしの足のどこが震えているんでしょうか?」

「後耳まで真っ赤」

「え? え? あらら。あらお酒がもうまわ~てきましたねえ」

 いつもは結構態度を隠すのがうまいと自負してる空夢風音そらゆめかざね

 だが、いきなり一目惚れという完全な初体験の出来事に心があっぷあっぷしている彼女では平静を装うのは無理だった。

「ちょっあぶない! なに? 腰くだけた?」

 横からそんな声が聞こえてくる。

 フィオラが竜のしっぽで風音の腰を支えた。

「え? 誰の腰が砕けたんですか? 治療しないといけませんね、その方」

 などという風音。温暖な気候ではあるが、それでも風音は汗をかなりかいていた。

 フィオラは半眼で風音を見やり、ツッコミはいれない。サリサが横からつっこんでくる。

「あんたよ。アンタ。フィオラがしっぽといたらアンタその場に尻もちついてパンツミハエルに見せびらかす所だったわよ? フィオラにお礼言っておきな」

「え? え? そんなありえない! わたしがそんな、わたしは、むしろ相手を自分の策で戸惑わせるタイプの人間ですよ。そのわたしが他人に惑わされるなんて――

 むしろ金髪の貴族さんの方がわたしに惑わされているのでは? だってわたしの胸にあなたの視線を熱く感じます。

 そうですよ。わたしが戸惑う事なんてありえない――」

 そこで風音の言葉は止まった。

 フィオラがいい加減支える気がなくなったのだ。

 大人しくしているならまだしも、自分の状態を認められず(一目惚れした自分に戸惑っている)にいる女を支えてあげる気が徐々になくなっていったからである。

 そしてフィオラが彼女の腰に巻き付けていた竜のしっぽをとく。

「じゃあ離すけどちゃんと自分の足で立ってね」

 ぺたん。

 そう擬音語をつけてもいいくらいに空夢風音そらゆめかざねはその場に尻もちをついた。

「あ」

 ミハエルが彼女の下の方を見て声を上げる。

「あ…………あぁ…………ぁ」

 呆けた様子で自分が彼に見せている光景を確認する。

 正直、女性グループの中では学生の時から得体のしれない霊波動使いとして涼し気な顔で男をも手玉に取る、男にすら負けはしない、そんなポジションな自分を意識していただけに今の光景は空夢風音そらゆめかざねには受け入れられなかった。

「…………ヒック…………ひっ、ひっ、ヒック……ふぇぇ」

 ミハエルの姿がぼやける。さすがに認める。

 自分は涙を流していると。

 そんな気持ちになれるんて心に大分余裕があるんですね~~と自分は笑っていた『一目惚れ』という現象に自分がなっている事を認められず、あろうことか殿方にはしたない自分を見せつけてしまった事。

「ミハエル、謝っておきなさいね」

 冬華がちょっと投げやり口調でそういう。

「これ、わたしが悪い事になんの……?」

 フレッド、アリウス、クロード、サミュエルらミハエル以外の男グループは女の非難の視線も来ず(ミハエルに標的が行って、標的から外れたという意味で)に尻もちついた空夢風音そらゆめかざねの純白のそれを堂々と拝める状況にあった。


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