このエセ忍者、女子高にいる女学生のノリがするわ……
「このエセ忍者、女子高にいる女学生のノリがするわ……」
(あと後ろでピース乱舞してるサリサとフィオラもね)
そんなことを、水鏡冬華は呟く。後半は口には出さなかったが。
レアが疑問符を浮かべながらこたえる。
「女子高? エセ忍者が?」
「いや、わたし女子高出身じゃあないんだけどね。女子高出身の子から色々話は聞いていて……」
「はい」
「この国ファブリスは風がまだいつもあるからましだけど、このくらいの暑さから女子高ではさ」
「はい」
「スカートバサバサやるらしいのよね。女子高だから男の目がないから」
「…………恥ずかしさとかは」
「男いなければそんなもんよ」
「水鏡さまも?」
「う~ん、スカートの中暑くて巫女装束でスカートバサバサはしたことある……誰もいない時に」
「野人水鏡様とお呼びいたしましょう」
「やめい。てーかやる女子多いチューに男がいなければ。暑くてたまらないからね、そうしないと。文句は暑さに行ってよって感じだったわ」
「この星の気候神が決めてるんでしたっけ? 水鏡冬華さまが仕えている闇霎様が。自分の上司に文句言ってくださいね」
「う~ん……。
わたしはさ。巫女装束でしかしたことない、今の丈の膝上30cmミニプリーツスカートではしたことないけれど、スカートの中、黒パンじゃなくて白パンでもみんな平然とバサバサするらしい。わたしが話聞いた女子高だとね」
「まあ、わたしも女ですから、気持ちは分からなくもないですが……」
「椅子に片足立てて座ってできた空間を仰いでるのは見たことあるわね……セーラー服の子で」
「野人ですね」
「まあまあ。暑いのはキッツいわよ。そういう行動が出ちゃうくらい
多分ね。女子高ってわたしたちが思うより異様な場所だと思うわ。あの忍者みたいなのがいてもおかしくないような」
「う~ん…………」
今度はレアが唸る番だった。
「あ。そういえば匂いがすごいらしいわよ」
「におい、ですか」
レアがぼんやりと呟く。
「休み時間に香水とか、制汗剤とか、整髪料、お菓子の匂いがごたまぜになったにおいで教室がスモッグで、暑さのおまけ」
「うわあ」
レアがうめく。
「わたしはそういうの一切使わないんだけどね」
「わたしもです。だって――」
「ミハエルが不自然なにおい嫌うから」
「ミハエルさまが不自然なにおい嫌うから」
いう内容がかぶって水鏡冬華は、は~やれやれな感じの顔をした。
「彼自然から離れたにおい嫌うのよね。顔しかめるのよ」
「ですよね。あの人に顔しかめられてからショックで香水止めました……わたし」
「後雨の日。濡れた靴下教室で干して乾かす子もいたようよ」
「自分家ですか、その光景」
「わたしの目の前で、わたしについてそう話するのって度胸ありますね~! お二方」
と、レティチュがそう言ってくる。顔を見ると、怒った感じではない。
「おこった?」
水鏡冬華はそう聞いてみる。
「いいえ?」
レティチュはそう答える。
「……」
「……」
「…………」
水鏡冬華が忍者の後ろの方を見やると、サリサとフィオラが飽きずにピースし続けているのが見えた。
ふたりは、忍者に気づかれないのをいいことにまーだピース乱舞をしていた。