表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ミンチにされてからの異人生再スタート ~剣と魔法は、割と得意です~  作者: 蛙塚遊覚
第1章・始まりの街で始まる。
12/41

第9話「森ゴブリン討伐」

 クローディアは、四等級冒険者になり、初めてのジョブを獲得した。

(これからは、冒険者クローディアなだけではなく、戦士クローディアだよな)

気のせいか、ジョブの獲得前よりも強くなったように思える。

(さて、これで森ゴブリンを正式に討伐出来るぞ)

寄合所で受注したクエは、勿論、「森ゴブリン討伐」である。

これからは、「目指せ、五等級冒険者」である。

クローディアは、また森へと向かった。


森ゴブリンを効率よく倒す方法は、あるのだろうか?

それは、奴等の住処に近付く事だ。

街からそれなりに離れた場所に、奴等の巣窟がある事が確認されている。

そこに辿り着くには、2,3時間は歩いて掛るであろう。

そんな場所が、幾つか見付かっている。

確実に奴等を倒すならば、その巣窟まで入り込めば良い。

だが、それを少数の冒険者でやるには、リスクが多過ぎる。

しかも、それをクローディア1人でやろうとすれば、無謀でしかない。

向かえば、単体では問題の無い相手ではあるが、多勢に無勢である。

力尽き、破れるのは必然であろう。

負けた後の事など、考えたくもない。(ぶるぶる)


だから、巣窟には近付くが、近付き過ぎない辺りが理想である。

しかも、森ゴブリンが通る場所を抑えるのが良い。

果たして、そんな場所が見付かるであろうか?

今まで、森ゴブリンに遭遇した場所へと、出向いた。

そこで、周囲を観察する。

所々で、奴等の足跡や、踏み潰して折れた木の枝などが見付かる。

この辺りは、ゴブリン共の通り道のようだ。

痕跡を探り、奴等の行先を求める。

行き付いたのは、小川の淵だ。

そこは、小川が湾曲していて、流れも浅くなっていた。

渡り場でもあり、あいつらの水場も兼ねているようだ。

川辺の泥の中に、幾つもゴブリンの足跡も見付かった。

(ここで、しばらく見張ってみるか?)

ゴブリンの足跡は、素足で大人と子供の中間程度の大きさである。

小川の傍に茂みを見付けたので、そこにクローディアは身を隠した。


隠れながら、耳を澄ます。

耳だけではない。

肌や五感、第六感も全て使い、周囲の気配を探る。

まるで、森に一体化したように、自分の気配も消す。

それらの事が、幾度かの狩りで自然と身に付いていた。

(元の世界でも、私には、こんな知覚は無かったのではないか?)

体だけでなく、休息にこの世界への適応をして行くような感覚がある。

まだまだレベルも能力も低いながら、冒険者として覚醒し始めていると言えよう。

この恵まれたステータスの数値を能力が低いなんて言ったら、罰当たりではあるが。


身を潜めて、30分もまだ過ぎてはいない。

だが、周囲に気配が現れた。

小川の対岸から、こちら側に何かが移動して来る。

それも、複数。

(数は、2、いや3匹か?)

無意識に閉じていた目を開けた。

クローディアは、気配のする方向を見た。

「がさっ、がさがさ」

枝葉が騒めいた。

緑色の体や頭が見えた。

(来た。奴等だ)


3匹の森ゴブリンが、森の中を歩き、小川のこちら側に渡って来ようとしている。

小川を渡る時の身を晒した時が狙い目だ。

こんな時に、弓矢は音もなく、相手を遠距離から攻撃が可能だ。

ショートボウを構え狙いを付けるクローディア。

先頭ではなく、真ん中の奴に狙う。

(もう少しだけ待て)


森ゴブリンが3匹、小川を渡る為に完全に姿を晒している。

奴等が、こちらに気付いている様子も無い。

(んっ? 持っている武器が違うな)

1匹は、いつもの棍棒を持っているが、残りの2匹は手槍を持って肩に掛けるようにしている。

(あれは、スピアかな?)

見た目は、長い棒の先に金属製の余り大きくは無い刃が付いている。

(武器の長さがあるのは面倒だな)

まずは、中央の棍棒を持った奴に矢を連射した。

3本の矢を放つと、一番後ろの奴に狙いを付け、また三連射だ。

2匹の森ゴブリンを倒した。

続いて、残った奴は。

スピアを構えて、きょろきょろと周囲を伺っている。

(まだ、気付いていないらしいな)

だが、槍を持った奴と戦ってみたくなり、弓を短剣に持ち替えた。

そして、奴に忍び寄る。


短剣を構え、森ゴブリンを狙うクローディア。

茂みの中を進み、8mまでは近付いたが、そこで相手に気付かれた。

奴からスピアの鋭い突きを喰らうが、それを短剣で弾いて槍の軌道を変える。

(それも、想定済みさ)

すると、奴は槍を引き戻すと、再び突きを繰り出して来る。

槍は、厄介である。

こちらの剣のリーチよりも長く、その攻撃も素早い。

突き、引き、突き、引きと、連続で刃が襲って来る。

それをクローディアは、体を捻って避け、また短剣で弾く。

(武器が変わっただけで、印象が随分と変わるな)

槍という慣れない武器からの攻撃から、逃れるだけで今は精一杯だ。

だが、そんな訓練も女神の元で体験済だ。

少しづつ、槍の癖を掴み、攻撃へと転じて行く。


(槍の間合いは、大体掴んだぞ)

後は、連続攻撃の合間に、こいつの懐に飛び込むのだ。

そうすれば、奴は槍の動きが封じられるはず。

何度か迫って来る槍の穂先を避け短剣で弾くと、タイミングの狂った奴の攻撃に大きな隙が出来た。

(今だな)

そこへ、さっと飛び込むクローディア。

奴は、懐に入り込んで来た彼女を、槍の柄で横から叩こうとして来たが、距離が近く威力は低い。

その柄を彼女は左手で掴むと、ぐいと引き寄せながら短剣を横に薙いだ。

ゴブリンが槍を引っ張られ、少しバランスを崩したように前に数歩出て来た。

槍を抑えられ、動きを封じられた奴の喉をざっくりと深く切り裂く。

奴も、咄嗟に掴まれた槍を手放せば、その攻撃を避けられたかもしれない。

しかし、その判断の出来なかった最後の森ゴブリンは倒れて行った。


(ふう。まずは3匹。もう少し、探してみるか)

クローディアは、少し粘るつもりだ。

魔石を取り出し、棍棒1本とスピアを2本、回収した。

軽く、そのスピアを振り回してみた。

(なかなかに使い易いな。)

今日は、これからこのスピアを使ってみよう。

小川は汚さないように、森ゴブリンの遺骸は川から引き揚げ、茂みの中に隠した。

次の獲物を探しに、森を彷徨う。

その後も、森の中で、ゴブリンを探し求め、今日は8匹を仕留めた。

スピアの扱いも、何度かゴブリンと戦いながらコツを掴んで行く。

魔石の回収以外に、奴等が持っていた棍棒5本にスピアも3本得た。

ゴブリン1匹で、80シルバーの報酬だから、640シルバーの収入になるであろう。


帰り際に、ホーンラビットを数匹見掛けたので狩る。

これも、臨時収入だ。

森の入口付近まで戻って来ると、また年少の冒険者らを見掛けた。

まだ、武器の行き渡っていない少年らに、スピア3本と棍棒3本を進呈した。

「わぁ、ありがとう。これでみんな武器が手に入ったよ」

「買うとなると、高いからね。本当に助かるよ、お姉ちゃん」

これで、彼等の全員が、武器を所持するようになった。

棍棒やスピアならば、木の棒よりも遥かに強力な武器である。

余った棍棒は、武器屋で1つ5シルバーで買い取って貰える。

クローディアの四等級冒険者としての初の活動は、こうして無事に終わった。


 五等級の冒険者に昇格するには、5級のクエストの10回クリアと5級のクエストの対象モンスター5匹の討伐が条件である。

既に、クローディアは、5級クエの森ゴブリンを10匹以上も討伐し終えている。

後は、5級クエストを消化して行けば昇格が出来る。

5級のクエの対象は、森ゴブリンだけはない。


実は、他にも幾種類かの獣の狩猟クエがある。

だが、それはワイドホーン鹿よりも体の大きい野牛の仲間などが対象である。

普通は、そんな大型の獣は仕留めた後に、4人程で担いで街に持ち帰る必要がある。

狩るだけならば、クローディアにも出来るのだが、持ち運びの問題がある。

多分、背嚢に獲った獲物を入れられはしよう。

だが、そんな物をたった1人で運んで来れば、変な注目をされてしまうのは間違いない。

(魔法のバックパックも、他人に知られたくはないよ)

必然的に、昇格の為には森ゴブリンを狙うしか無くなっていた。

(まあ、奴等は、巣に近付けば幾らでも湧いて出て来る。丁度いい相手だよな)


それと、五等級に上がった時の事を彼女は考え始めていた。

その相談は、寄合所のアンナに聞いてみた。

「なあ、ここの近くで、ここよりも難易度の高いクエが沢山受けられる所は無いのか?」

「あっ、やっぱり、クローディアさんは、この街から出て行くのですか?」

「えっ、まあ、今すぐじゃないけど、今度、昇格したらなって思って」

「そうですよね。あなたなら、この街で終わる冒険者じゃないですよね。そうですね、ここの駅舎から乗合馬車が出てるのはご存知ですか?」

「ああ、それは何度か、駅舎の前を通った事があるからな」

「駅舎から乗合馬車で4日の距離に、クライアットの町があるんです。そこは、この街より人口が少なく規模も小さいのですが、より強いモンスターもいっぱいいます。それに、モンスターも強いので、武器とかの品揃えもいいんですよ」

「そうか、クライアットの町か。教えてくれてありがとう。助かるよ」

「ええ、冒険者のサポートも、私達の仕事ですから。何かあれば、アドバイスも出来ますよ。ただ、クローディアさんが街を出て行くのは寂しいですよぉ」

「私も、寂しいさ。アンナにはいろいろ世話になってるしな。でも、もっと世界を見て回りたい気持ちが抑えられないんだ」

「クローディアさん、かっこいいです」


そして数日後、クローディアは5級のクエストを10回無事にクリアし終えた。

これで、五等級の冒険者に昇格である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ