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◇序章の序章「砕かれた肉体」

突然、聞き覚えの無い声に話し掛けられる葛城雅人。

その声が語る、信じがたい出来事。

死んだと言われた彼は、転生し新しい世界へと旅立つ事となる。

だが、その転生した体とは?

剣と魔法のダークファンタジーがここに始まる。

 「いや~、見事に粉々になってしまいましたね」

(えっ? いや何が?)

「ですから、あなたの肉体がですよ」

(何言ってんだ? 肉体? 粉々?)

「そうですよ、覚えていませんか? まあ、あれだけの衝撃を受けてそうなりましたから、記憶が飛んじゃったのかもしれませんね」

(衝撃? 記憶が飛ぶ? さっきから、何を言っているんだ。それに、お前は誰なんだ?)

「私ですか? そうですね。あなた方からすると、神と言えば良いのでしょうか?」

(神? 益々、解らない事を。こっちは、疑問が増えただけだぞ)

「そうですよね。余りの変化の大きさに、思考が付いていけないのも当然ですね。結論からまず言います。あなたは、死にました」

(そうか、俺は死んだのか・・・。えっ? また何だって? 俺がどうしたって?)

「ですから、もう一度言いますが、あなた、死にましたから。ちゃんと、受け入れてくださいよ」

(いきなり、意味も解らず、死んだから、それを受け入れろなんて、出来る訳はないだろう。死んだのに、意識もあるし。そもそも、俺は何で死んだんだ? 持病でも寿命でもないはずだぞ)


「そうですね。では、あなたは、ご自身の事、どの程度、覚えていらっしゃいます?」

(そっ、そうだな。名前は、葛城雅人、42歳、男、独身、職業は会社員。そんな所かな? 持病も無いし、まだそう簡単に死ぬような年齢でもないだろう)

「でもですね。でも、あなたは死んだのですよ。死因は、上から重い物が落ちて来て、それに全身を潰されてしまった圧死です。まあ、事故死ってところですね。一瞬の事でしたから、痛みも感じなかったのでは? ああ、それで、記憶にも残っていないのでしょうね。でも、痛みもショックも残らずに死ねたなんて、運がいいですよ」

(何かが上から落ちて来て、それに当たって死んだのが、運がいいとは思えないけどね)

「それもそうですね。運があれば、そんな事にはなりませんから。面白い事を言いますね」

(いや、別に受け狙いしたつもりは一切無いけど。で、俺の死因の重い物が落ちて来たって、何かの資材とかか? 工事現場の前を通ったつもりも無いけど)

「ええ、工事の資材とか看板ではありません。勿論、飛び降りて来た人でもありません。もっと重い物ですよ」

(そっ、そうか。聞いても意味は無いかもしれないが、それは何だったんだ?)

「あなた方からすると、隕石ですね」

(そうか、隕石が俺に落ちて来たのか。って、そんな奇跡的な事なんてあるのか?)


「はい、それはそれは。でも、それはあなた方が思うような、宇宙から飛来した岩の塊とかではありませんのよ」

(普通の隕石じゃない? なら、それは何なんだ。隕石じゃないなら、最初から、その正体を教えてくれよ)

「その正体は、これからお話しする補償に関わって来る事なんで、まずは状況説明をしようかと思いまして。ここまでの説明で疑問はありますか?」

(いや、死んだらしいって事以外、全てが疑問なんだが。それに、死んだなら、こうも話し合う事なんてできるのか?)

「えっ? 話? あなた、最初から話してなんかいませんよ。だって、口も舌も喉も潰れてしまってますから。私は、あなたの残留思念を読んで、それに話し掛けているだけですよ」

(話してない? そう言えば、何か頭の中で考えている事を読まれているような感覚も。)

「その頭も脳みそも、ぺちゃんこになってますけどね。ふふふふっふ」

(いや、笑えんだろう。本当に、潰れて死んでいるなら。で、何に潰されたんだよ)


「それは、神が落ちて来たのです」

(神? もしかして、お前が俺を潰したのか?)

「いえ、それは流石に。私ではない別の神が寿命を失い、あなたの上に、たまたま落ちて来たのです。それは、イレギュラーな事でした」

(神にも寿命があるのか?)

「ええ、人間などの生物よりも遥かに長寿ですが、私達も死にます。それも予想が付かない時にです」

(神にも、予想が付かない事があるのか。それで、死ぬタイミングが解らずに、落ちて来たと?)

「まあ、そんなところです。それで、滅多に無いような事でしたから、特別にあなたを蘇生させる為に、私が来たという訳です」

(そういう事か。なら、長々と無駄話などしないで、早いとこ生き返らせてよ)


「それがですね。もう、葛城雅人さんという人間をそのまま生き返らせる事も、また地球に戻す事はできないんですよ」

(何だよ。それって、生き返りじゃないんじゃないのか?)

「そうですね。でも、あなたは、今までの生活、世界に満足していましたか?」

(いや、そう言われるとな。確かに、ただ、生き返って、そのままの人生を続けるのもな)

「何故、そのまま生き返らせられないかと言えば、あなたはもう地球では死んだ人物なのです。そんな人が生き返るなんて、地球ではできませんから」

(まあ、そうだな。なら、別の世界で生き返る事ができると?)

「そうです。地球とは別の世界です。あなたは、確かゲームとか、お好きでしたね」

(そうだな。この数年は、仕事とか忙しかったから、やっていないが、どちらと言えば好きな方かな?)

「そういう世界、興味、ありませんか?」

(そんな世界に、行けるのか? なら、その方が面白いかもしれないな。よし、地球にそのまま戻れないなら、それもいいな)

「では、まず、肉体を再生させます。今の潰れたままでは、新しい世界に行っても何もできませんから」


そう、神、いや女神らしき相手が言うと、周囲が明るくなって来た。

そう言えば、気付かなかったが、俺は今まで何も無い明るくも暗くも無い所にいたようだ。

それは、俺の全身が潰れてしまっていたから、何も感知出来なかったのかもしれない。

ミンチのままで、新しい世界での生活が始まっても困るしな。

周囲は、眩しくない程度の光の中にあった。

正面に、白い衣をまとった美しい女性がいた。

色白で、金髪、碧眼の女性が。

その女性の体からは、何故だか淡い光が発している。

この人が、先程から話し掛けていた女神なのだろうか?


「さあ、新しい肉体ができましたよ」

「新しいって、前の自分に戻る訳ではないのか?」

(おや? 何だか、俺の声が少し甲高いような。この場所のせいなのかな?)

腕を見てみると、少々華奢に見えて、体毛もほとんど無い。

いや、元からそんなに毛深い訳ではないんだが。

それに、肌の色が、やや褐色に近いな。

で、視界に何か肌と同じ褐色の膨らみが2つ、体の前に入る。

(何だ? これ? 見覚えはあるように思えるけど、俺の体の一部なのか?)

今まで感じた事が無い感覚なのだが、その膨らみに重さも感じる。

(感覚があるからには、やっぱり、体の一部なのか? 腕の色にほぼ近いし)


「少々、混乱しているようですね。では、鏡を出して差し上げるので、今のご自分を確認してみてください」

俺の目の前の空間に、大きな姿見みたいな鏡が現れた。

その中に、写っていた人物は、

「お、女? 何で、女が鏡に写ってるんだよ。別人の姿なんて、見せても意味は無いだろう?」

思わず、変な声を出してしまった。

何故なら、その鏡には、長い金髪に、碧眼、褐色の肌をした若い女性の全裸姿があった。

こういう女性は俺の好みでもあるが、もしかして、新しい世界でのパートナーか何かの姿なのか、これは?

「いえ、それは新しいあなた自身の体です。あなたは、ゲームをする時には、ほぼ女性のキャラクターを使っていましたよね。その願望を叶えました」

(えっ? という事はさっきから目に入るこの膨らみはバストか。それも、なかなかの大きさだぞ)

「待てよ。それは、野郎のキャラを操作してもつまらないからであって、俺は女の方が好きなの。別に、女装や性転換の願望がある訳じゃない。恋愛の対象は、飽くまでも女だよ」

「あら、女性が女性を愛しても、別に構わないじゃないですか。あなた自身も女性になりたかったのですから、丁度いいでしょう」

女神は、当たり前のように俺とは違う意見を言う。(今は、そういう時代なのか?)

「そっ、それは、困る。この体、作り直してくれ」

「作り直す? という事は、もう一度、死にたいのですか? 今度は、一瞬でとはいかないかもしれませんよ」


俺は、ちょっと考えた。

そして、もう一度、鏡を見た。

そこには、俺好みの女性がいる。

美しい、真っ裸の女子が。

俺が手を動かすと、鏡の中の女性も同時に動かした。

(・・・。この女子を、一度、殺す。それは、できないな)

「やっぱり、このままでいいよ。やり直すなら、性別まで変えるのもありだな。で、新しい世界って、どんな場所なんだ?」

「そうですか、考え直していただけましたか。新しい世界というか、歴史的には地球よりも古い世界です。あなた方の言う所の魔法とかがあるファンタジーな場所ですよ。そういうのも、お好きですよね?」

「おお、いいね。全くの異世界じゃないか」

「その世界と地球を自由に行き来する事は不可能です。ですが、意識ではつながる事があるようで、地球の様々な創作作品の中にも、その世界の事は再利用されてます。ですから、ゲームなどをやった事のあるあなたには、全くの見知らぬ世界ではないと思います」

(そうかそうか、それはいい)

いきなり、知らない世界に飛ばされても、戸惑うだけだからな。

「その世界には、私達もかつては存在しました。ですが、今は余り干渉もできなくなりました。なので、あなたを新しい世界に送る前に、説明と訓練をします。チュートリアルと言った方が解り易いでしょうか?」

そこまで、丁寧にしてくれるのか。

「それじゃあ、よろしく頼みますよ」

俺は、チュートリアルに進む事になった。

新作の開始です。

今作は、余りストックがありません。

他作品も執筆中なので、不定期の連載になるかと思います。

よろしくお願いします。

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