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始まりの春
春と言えば、入学式だの出会いと別れの季節ってよく言われるけど本当にそうだろうかと彼は思う。
今まで恋愛のかけらもなかった彼の名は阿澄信
今年の春、高校生になるというのに何も見いだせないまま入学することになったあの日。
桜を見ながらこれからの通学路になりそうな道を探す信、そんな時、彼の目に一人の女性の姿が写った。
先輩だろうかと信は思った。
桜を見ながら佇む女性に彼は思わず声をかけた。
「桜、綺麗ですよね。まるであなたを一層輝かせているみたいだ」
信はこういうことに慣れていないのかハニカミながら言う。




