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異世界召喚された時に希望職業を聞かれ、つい医者と答えてしまった  作者: 木常
序章 給料とか考えたらやっぱ医者だよね?
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001 最悪な日だわ

 生まれて初めて告白された。


 4時間目の終わり、目の前で真っ赤になってキョドっている男の子はやさしくて地味な山口君。


 地域じゃ結構な進学校なウチの学校でも、まあまあ成績は上位、大人しいってイメージだったけど、少ないとはいえ体育から戻ってきている生徒が他にもいる教室で告白なんて、意外と大胆だったのね~、ふ~ん、教室の後ろで笑いをこらえている坂田達は何なのかしらね~。手に持ったスマホが真っ直ぐこっちを向いているけど、動画撮ってるのバレバレだよね。


 うん、イジメ決定。


 全然気づかなかったけど、山口アンタいじめられてたんだ。ていうか、生まれて初めての告白がコレ?! 何で私なのよ?! 男子の中では私はブスの代表選手になってるって事?

 自分じゃ学年の女子でも真ん中くらいか、少しかわいいほうだと思ってたのに! 少し太めなのは認めるけどBMIだって標準の範囲内だから健康的なぽっちゃりなんだからね!


 ていうかコレ、どういうリアクションしたらいいのさ。全然分からない。いろんな感情が渦巻いて、頭の中が五目焼きそば状態だよ、分からなくても大丈夫、私自身も何言ってるか分からない。


 もういい、何も考えないで、山口も坂田達も全員無視して自分の席に音を立てて座った。 言いたいことがあり過ぎる時は何も言わないほうが良かったりするものよ。たぶん、 今私は相当怖い顔をしていると思うけど自分じゃわからないからいいや。


 山口は何か言いたそうにしてたけど、私がじっと黒板を睨みつけている剣幕に押され、結局黙って自分の席に戻って行った。後ろの男子達は見えないから分からない。なんか小声でごちゃごちゃやってるけど聞きたくもない。つーか死ね。男子全員殺したくなってきた。


 そんな調子で、午後の授業なんて一つも頭に入らなかった。あっという間にホームルーム。


 担任の岡島から、まだ高2だってのに進路希望調査票が配られた。


 一年生の時の調査では何にも考えずに医学部志望って書いたんだけどさ、今の成績じゃキツいんだよね。それに女子だってだけで落とされたりするみたいだし。アレ?もうそれは大丈夫になったんだっけ?

かといって看護士ってのも、なんか医者の手下みたいだし、なんかブラックっぽいイメージで。実際のところは医者の事も看護士の事もよく知らないんだけどね。


 何で医者かって言うと、小さいころにテレビで見た国境なき医師団だっけ?戦争している地域や貧しい国で医療活動している人達がすごく格好よく見えて、あ、私のやりたい事はこれだって思ったの。なんか日本の、規則規則ってうるさい所とか、空気を読まなきゃいけない所とか、それと通学の満員電車も苦手で。 あと痴漢も。


 あ、やっぱり私って痴漢される程度にはかわいいんじゃない! あれ?かわいいとか関係なく、大人しそうな子が狙われるんだっけ? 私は見た目に反して針で反撃したりして大人しくなんかないんだけどさ。 あ、でもやっぱり考えるのやめた。 痴漢するような人の心理なんて考えたくもない。知りたくもない。理解したくもない。


 調査用紙を眺めながら そんな事を考えていたら、突然目の前が真っ白に染まったんだ。 


 眩しさに目を細めながら、こんな強い光がどこから射しているのって周りを見回したら、教室中が、先生も黒板も同級生たちも全部真っ白に輝いていたんだ。何これ?夢?死ぬの?臨死体験? 


 下を見ると、私の制服も光っている。え、制服だけじゃないじゃん、手のひらも光ってる。一番眩しいのは、目の前数センチのところにある前髪。

 もう、ジャマだなあ、こんな事ならやっぱり眉毛の上で切っておけばよかったとか、おへそとか足も光ってるのかなあと、アホな事を考え始めた頃に、光が一段と強くなって、もう目を開けていられなくなった。


 そして気が付くと、進路相談室みたいな部屋にいた。 正確には壁や天井も椅子や机や周りの調度品も、学校の進路指導室はおろか私の知っているどんな部屋とも違っているんだけれど、部屋の広さとか、真ん中に机があって、正面の人と向き合っている感じがなんか似てるんだ。


 っていうか、ここどこ?


 目の前にいるこの人は誰?

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