ある休日の出来事
皆さま、お久しぶりです。
仕事が忙して更新ができませんでしたが、現在の状況も落ち着いたので投稿している話の更新をしていこうと思っています。
また、よろしくお願いします。
これは私が小学校の低学年だった時の話です。このころの私は家の中で一人でいることが好きではなく、誰かが家にいるときには必ずその誰かと同じ部屋にいました。それはその誰かかテレビを見ている、本を読んでいる、仕事や勉強をしている、等何をしているかは関係ありませんでした。自分は一緒の部屋で興味もないテレビを見ていたり、漫画を読んでいたり、おもちゃで遊んでいたりと様々でしたが、必ず誰かがいる部屋にいました。
そんな私がある冬の休日に一人で部屋にいておもちゃで遊んでいました。その時は他の家族も家にいたのですが、何故か違う部屋にいました。何故私が一人だけ違う部屋にいたのかは覚えていません。しかし、いつも必ず家族と一緒にいるはずなので今考えると「何故一人で違う部屋にいたのだろうか」と不思議に思います。そのとき私がいた部屋は台所の横にある部屋でした。
また、冬だったためこたつを出していたのですが、母親が
「電気代がもったいないからこたつや扇風機を使うときは一つだけにしなさい」
といつも言っていました。この言葉も家族がいるときはいつも一緒にいた理由の一つです。
しかし、何故かその日は私だけ一人で違う部屋にいておもちゃで遊んでいました。そして、一人で遊び始めたときは外が明るかったのですが、遊んでいてふと気づくと夕方になっていました。時計をみると「17時」を過ぎていました。
そこで私は「そろそろ母親が夕飯の準備をするかな」と思っていました。そう考えながらまた遊んでいましたが、母親が準備をするために自分がいる部屋に来る様子がありませんでした。30分ほど過ぎて、おかしいなと思っていると玄関から音がしました。
「ただいま~」
母親が帰ってきました。
「え?」
私は混乱しました。何故なら私がいた部屋は玄関のすぐ横です。誰かが外に行くときには音で必ず気づきます。慌てて私は玄関に行きました。
どうやら買い物に行っていた様子で買い物袋を大量に持って母親と姉が玄関にいました。
違う部屋にいたと思っていた家族が全員買い物に行っていたのでした。
「え?どこ行ってたの?」
「買い物だよ」
姉が答えます。
「なんで連れてってくれなかったの?」
私がこう聞いたところまでは記憶にあります。しかし、姉がなんと答えたのかは記憶にありません。私にはこの日の記憶はここまでしかありません。
大人になって、この出来事を不意に思いだして姉に聞いたことがあります。
「なんで俺はあの時連れていかれなかったの?」
「え~?なんでだっけ?」
「買い物行くときに俺がいた部屋の横通るんだから声かけていくよね?」
「確かにそうだね、あれ?なんでだろ?」
「あとさ、俺があの日、俺だけ違う部屋にいた理由って知ってる?」
「わかんない、なんで違う部屋にいたんだろ?お母さんがいたから一緒の部屋にいろって言うと思うけど」
「だよね。絶対に一緒の部屋にいろって言うよね?」
「うん、絶対言う。なんでだろ?」
姉が少し考えてから続けます。
「とりあえず連れて行かなかったのは寝てたんじゃない?」
「俺は寝てた記憶がないんだよね。あと寝てたならなんで連れてってくれなかったのって聞いてすぐに寝てたからってならない?」
「そうなんだよね。あんたが寝てたってわけじゃないと思うんだよね~。けどさ考えても違う部屋にいた理由も、買い物に連れて行かなかった理由も出てこないんだよね」
「俺が話した日のことは覚えてるんだよね?」
「それは覚えてる。帰ってきたらあんたがどこ行ってたのってすぐに聞いてきたし」
「なんで理由は覚えてないの?」
「自分だって覚えてないじゃん」
「そうだけど・・・」
結局、この後、いくら話してもどちらの理由もわからないままでした。
あの日、私は本当にずっとあの部屋にいたのでしょうか。