表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

実家が怖い

この1話は私がこの怪談集を書こうと思ったきっかけの話になります。

 私の実家は何年か前に立て直しをしました。立て直し前の家は50年以上前に私の父親が生まれた時に建てられたそうで、とても古い家です。部屋の数は4部屋、1階、2階がそれぞれ2部屋で一番大きな部屋が8畳で狭い部屋は3畳しかありませんでした。20年ほど経ってから、父親が結婚し、子供が生まれたため1階の部屋を増やして私の知っている全部で5部屋の家になったそうです。その家は古いからということもあり、全体的に暗くて、廊下や階段の電球は裸電球でした。さらに、増築していない部屋はどうやら欠陥住宅だったようで、歩くと床が沈む、天井の支えになるはずの梁は天井と隙間が空いている、窓の大きさが通常の家には使わないと言われる中途半端な大きさのものが使われている、等という家でした。

 現在は立て直しがされ、3階建てとなり一部屋ごとにとても広く明るくなり、部屋数も増えて過ごしやすい家になっていると思います。


 私は小さいころは怖い話が大の苦手でした。それは小さい子供なら誰でもそうだと思うかもしれません。しかし、私はその苦手の度合いが人一倍強かったように思います。

 まず、トイレは扉を前回にしておかないと入れませんでした。元々トイレに電球がなかったこと、汲み取り式でトイレの下が広く暗かったことも理由としてはあるかもしれません。そのため、夜は必ず両親を起こして一緒にトイレに来てもらっていました。

 また、夜寝るときには私が寝るまで電気を消さないでもらっていました。電気を消して暗くすることはもちろん怖く、小さい光になる豆電球の状態であっても怖かったのです。

 そして、夜に一人で廊下を歩くときには裸電球をつけ、走って移動していました。電気をつけても薄暗く、怖かったのです。

 そんな私なので怖い話は見ないようにしていました。テレビで怖い話があるときは親の後ろに隠れて耳を塞いでいましたし、できるだけビデオに撮ってもらって自分がいないときに見てもらうようにしていました。


 そんな子供時代を過ごした私ですが、大きくなるにつれて暗いところも平気になりました。怖い話が完全に平気になったと自覚したのは大学生のときです。私は大学生から一人暮らしを始めたのですが、夜遅くまで講義やサークル活動があり、帰りは暗い道を歩いてました。また、怖い話がテレビで放送されているときは普通に見ていましたし、見れないときには録画して深夜に見ていたりもしました。

 もちろん寝るときの電気は消して真っ暗な部屋で寝れるようになっていました。子供時代の反動なのか怖い話を明確に好きになっていました。





 さて、そんな私は現在、社会人で一人暮らしをしています。実家まではかなり距離があるところに住んでいるため、帰省する頻度は1年に1度か2度ほどです。

 私が先日、長期連休で実家に帰ったときに聞いた、私の実家で家族が体験していた私が知らなかった話です。


 私が実家に帰っていたとき、晩飯を食べ終えてゆっくりしていた時の話です。そのとき部屋にいたのは私と姉の2人だけでした。きっかけは覚えていませんが、怖い話が話題に上がりました。そのときに私は姉と昔のことについて話しました。


「今は怖い話をかなり読んでるけど昔は本当に怖いのダメだったな~」


「そうだね、私も怖い話見てたけど怖いものは怖かった」


「というか家の中が暗すぎたのが原因だと思うんだよね。夜中に一人でトイレとか無理だったし、小学生のときは高学年になるまではみんながいてもトイレの扉閉められなかったし」


「けどさ、親戚の家に泊まりに行ったときはそこまで怖くなかったよね」


「確かにそう言われてみるとそこまで怖がってなかったかも」


「まぁ親戚の家に行ったときは親たちが遅くまで宴会してたからそこまで静かじゃなかったけどね」


「確かにそれはあるね。けど実家は暗いし静かだしでやっぱり怖いよね」


 なんて話をしていました。すると姉が驚きの内容を話し始めました。


「というかさ、前の家って何かいたじゃん?」


「何かって?」


「多分子供」


「子供?」


「そう3人くらい、知らなかった?」


「え、知らないよ、なんで子供3人ってわかるの?」


「だって、みんなで1階の居間でテレビ見てた時に2階の居間の真上の部屋で複数の子供が走り回る音してたじゃん」


「え?マジで?」


「うん、知らなかったの?」


「まったく気づかなかった」


「マジ?たまに階段に子供が座ってたり、廊下を歩いてるときに階段の前通るじゃん?その時に階段を見上げると2階の廊下で子供が顔を覗かせたりしてたよ」


「え~、それマジで言ってんの?」


「そうだよ、お母さんも階段に子供いたって言ってたし」


「あれ、俺を怖がらせる冗談だと思ってたんだけど」


「いや、本当だよ。それにたまに隣の家の子供たちがうるさいって言ってたじゃん?」


「あぁ、そういえば言ってたね。俺は気にならなかったんだけど」


「あれ、足音とかなんか騒いでる声だったんだけど、明らかに隣の家からじゃなくて2階から聞こえてたんだよね」


「だから俺気づかなかったんだ」


「そうだね、まぁ家新しくしたら出なくなったと思うけどね」


「そうなんだ?」


「そう、足音とか聞こえないし」


「へぇ~家建てる前にお祈りとかしたのが効いてるのかね?」


「さぁね、それに家のいたるところに塩盛ってあるじゃん?」


「あ、あれ塩盛ってたんだ。ずっと気になってたんだよね。だって小皿が置いてあるだけで何も入ってないからさ」


「お母さんが占い師かなんかに立て直すときに家のこと見てもらったんだって、そしたら決まった家の中の決まった方角に盛り塩しておけって言われてやったんだって」


「え?それ大丈夫なの?」


「無くなったら追加しなくていいのかなって思ってるけど、まぁ何も起きてないしいいんじゃない?」


 そう言って姉は笑ってました。


 結局この聞いた話は姉に聞いただけで、子供の話や塩の話は母親に確認していません。ただ、子供のころ自分が怖がりだったのには理由があったんだなと思いました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ