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第37話「聖者の右手」

岩場の空中を飛び回り戦う、

リエルはと暴風竜。





ーーーー闇魔法<漆黒の鎌>



リエルが魔法を唱えると、

リエルの右手に魔力が集中し形を作った。

次第に質量を持つリエルの魔力。

大きな漆黒の鎌がその手に握られた。


「ハァァァァァァァァァッ!!!!」


リエルはそのまま、暴風竜に向けその巨大な鎌を振り下ろす。


「グウウオアアアア!!」


暴風竜は暴風を集束させ何重にも風を重ね、障壁を作る。

だが、リエルの大鎌はそのすべてを切り裂き、暴風竜の固い皮膚に突き刺さった。

ボッシュの剣すら弾いた暴風竜の鋼鉄の身体から、鮮血が流れる。



「グギャアアアアアア!!!」



暴風竜は叫び、振り払うかのように風を発生させる。

その突風にリエルの小さな身体は吹き飛ばされた。


「ぐっ!」


「グギャアア!!!」


暴風竜は嘶きながら魔力をさらに高める。

集中した魔力は体内に溜められ、高濃度に集束される。

そしてその魔力は暴風竜の口を経由して、魔法となって放たれる。






ーーーー竜魔法<風の咆哮>






ドラゴンのブレスはすべてを焼き尽くす炎だと言う。

そのブレスすら凌駕する、炎と呼ぶには強力すぎる

まるでレーザービームのような魔力の塊がリエルを襲う。



「・・・ハッ!これは堪らんのう」



リエルは迫りくる竜のブレスを前に、

片手を目の前にかざすし魔力を集中する。




ーーーー闇魔法<影障壁>




こちらも影がリエルの目の前に幾重にも展開され、

障壁を形成する。


風の咆哮と影障壁が触れた瞬間、

暴風と共に爆発が起きる。

暗闇が爆炎に照らされ赤く染まった。



「グルルルル・・・」


暴風竜はリエルの姿を探す。

爆炎に飲まれてリエルの魔力と気配が消えた。


あれくらいで倒れるような相手ではない。

暴風竜は夜の魔王の実力を高く評価していた。



だが、と暴風竜は違和感を覚える。

かの悪名高き夜の魔王にしては弱すぎやしないだろうか。


かつて戦った記憶では、リエルはより凶悪で強力な魔力を纏っていたはずだ。

夜の魔王と言えば、当代随一とまで呼ばれた空間魔法の使い手。


にも関わらず空間魔法を一度も使う気配がない。

不可解な状況に暴風竜はさらに警戒を高めるのであった。

狂暴性に反してあわせ持つこの警戒心こそが、

好戦的なイル=バルヴァロの強みでもあった。



「・・・む。やつめ、気付きおったな。相変わらず疑り深いやつじゃ」


岩影に隠れながらリエルが呟く。

その呼吸は乱れており、肩で呼吸をしている。

魔力も消え入りそうなほど弱々しく、さきほどまで暴風竜と戦っていた

魔王の風格は感じられなかった。


「リエル様、これ以上はいけません、お体が」


傍らに控えるセブンが心配そうに顔を覗き込む。


「分かっておる、戦いたくてももう魔力が使えん。まったく。カケルが心配で出てきてみたが、まさか正面から

暴風竜と戦うことになるとは思わなかったわ。数年かけて溜めた魔力がパァじゃ。」


リエルはセブンに背負われたカケルの寝顔を睨む。

大賢者の叡知を使用して気絶したあと、未だに目を醒まさない。


「大丈夫でしょうか」


「ん?それは大好きなカケルのことか?それとも暴風竜のことかの?」


リエルの意地悪に、セブンはぷいと顔を背ける。


「暴風竜の事に決まっています。リエル様と言う戦力を使えない今、勝機はあるのでしょうか」


「知らん、あとはあの人間どもに任せる。だが人間を侮るでないぞ、セブン。やつらは死地に面してもよくあがきおるぞ」


そう言ってリエルは岩場の方に目を向けた。



・・・

・・



リエルと暴風竜が激しく戦いを繰り広げる中、

岩影をコソコソと走り回り続ける影があった。



「おい、ここでいいのか」

ボッシュが小声でミリアルドに尋ねる。


「もう少し右、そうだそこでいい」


ボッシュは右手に握った杖を岩場に突き刺す。

先端のライオンと大鷲の細工が、ギラリと光った。


「よし、これでいい。これから結界魔法を使用する、手はず通り頼むぞ」


その言葉に、ミリアルドが引き連れていた騎士団員達がうなずく。

そして手を合わせ魔力を集中すると、

地面に突き刺さった杖に魔力を流し込む。


「本当に上手くいくんだろうな」

ボッシュが心配そうに見ている。


「でなければ、全員死ぬだけだ」

ミリアルドが淡々と答えた。



杖は術者の魔力をグングンと吸収していた。

同じことが同時に3地点で行われている。

暴風竜を中心に、大きな三角形を描くように配置されたその杖は、

流し込まれた魔力を数百倍に膨張させ、お互いに共鳴していく。

杖自体にそのような仕組みが刻まれているのだ。



「よし、今だ!」

ミリアルドが叫ぶ。



「グギャアアアアアア!!!!」


暴風竜がその魔力に気が付き、反応した時にはもう遅かった。





ーーーー人工結界魔法「聖者の右手」



元々は都市防衛のために生み出されたその魔法は、

聖者の杖と言う特殊な魔道具を媒介として使用することで展開される。


何代にも渡り連綿と継承・改良をされてきたその魔法は、

僅かな魔力でもその力を何百倍にして増幅することが出来る、

人類が発明した最強の魔法の一つだと言われている。



三つの杖から広がる魔力は、周囲を黄色く染めた。



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