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第19話「ボッシュの力」


修練所はギルドの隣にある施設で、それなりの広さがある空き地であった。

あまり人はおらずカケル達3人の他は数人が剣を振っているだけだ。


「修練場とは言っても日中は冒険者にとっては仕事の時間帯だからな。こんな真っ昼間に訓練をしているやつはほぼ居ない」

ボッシュは訓練用の木刀を三本脇に抱えている。



「さて、準備はいいか?どちらからやる?」

ボッシュはボキボキと首を鳴らす。

剣を携える姿は、酒場の店長よりよほど似合っているように思えた。


「僕が、やります」

ルークが木刀を拾い上げる。

「ルークは剣士だったか、良いだろう。」


ルールはシンプルにどちらかが降参するまで、もしくは致命傷となる攻撃を寸止めまで、ということになった。

カケルはボッシュの事を知らなかったが、

雰囲気でそれなりの強さだと言うことはわかる。

ルークは勝てるだろうか。



「どれどれ」

カケルは二人に探知魔法をかけてみる。


ルーク

LV25

HP 480

MP 95

脚力強化Lv9

身体強化Lv8

剣技Lv16


ボッシュ

LV37

HP1400

MP345

XXX

XXX

XXX



「あれ?」

カケルはボッシュのステータスを見て、違和感を感じた。



「来い!」

ボッシュが叫ぶ。

同時に、全身から殺気にも似た闘志を感じた。

何らかのスキルにより身体を強化したのは間違いない、

だがそれが何かは分からなかった。



「ハッ!」

ルークも全身に強化を満たす。

大地を蹴るとボッシュへと切りかかった。

かつてのルークからは想像も出来ないような姿だ。


「むんっ」

ボッシュはルークの剣を木刀で受けると、強引に剣を振った。

ルークは剣を返された反動で身体を吹き飛ばされる。


「イヤァ!」

ルークはすぐに体勢を整えると、

同じく直進から今度は突きを繰り出した。

ボッシュはそれを軽々見切ると、

ルークの脇腹に拳を叩き込む。


「ぐっ」

ルークは強烈なダメージに一度距離を取ると、

再び剣を構える。


「どうした、それで終わりか?」

ボッシュの挑発に歯を噛み締めるルーク。


「ハアァ!!」

再び切りかかるルーク。

今度はフェイントを混ぜて、太刀筋を変化させる。

身体強化を目一杯まで上げ、

ボッシュの死角を突こうと左右に移動をしながら

攻撃を放ち続ける。


ボッシュはその剣すら余裕で受けると、

ルークに剣を剣を振る。


「完全に流されてるな・・・」

カケルはそう呟いた。


やがて剣劇が止む。

ボッシュの木刀が、ルークの喉元に触れている。

肩で大きく息をしているルークに対し、

ボッシュは息も乱れていない。


「ま、参りました・・・」

ルークはそう言って木刀を手放した。





「大丈夫か、ルーク」

カケルは座り込むルークに話しかける。

「あ、あぁ。ダメだった、モンスターとはまるで違う。」


ルークも賢者の塔の階層を突破しながらレベルアップした。

かつての様に恐怖で硬直することも無いし、

剣技のスキルレベルもカケル以上だ。

それでもボッシュにはまるで通用していないようであった。


カケルは手に木刀を持つが、

ルークの剣が通じないのであれば自分の剣技ではかすりもしないだろう

という事が分かっていた。


「ボッシュさん、剣は使わなくても良いか?」

少し離れた所でカケルとの一戦を待っているボッシュに話しかける。

「魔法を使うか?もちろん構わんぞ」


カケルは木刀を地面に置くと、魔力を練る。

その時、なにか違和感を感じたがそれが何かは分からなかった。


「<身体強化><加速>」


青白い魔力がカケルを包む。

ボッシュが表情を変え、構える。


「行きます」


<魔弾>

カケルは右手から凝縮した魔力を放った。

魔弾は一直線にボッシュに向かい、

着弾と同時に爆発する。


ボッシュは爆炎を回避し、

ワンステップでカケルとの距離を詰める。

スピードに乗ったまま剣が振るわれる。


カケルはその剣を避けると距離を取り、

再び魔弾を放つ。


「無駄だ!」

ボッシュが叫び剣を振るうと、

ただの木刀が緑の光に包まれ魔弾を掻き消した。

だが、その隙を付いてカケルは既にボッシュとの距離を詰めていた。

ボッシュの肩口に手を添える。


<衝撃波>

ーーーードゴン


鈍い音と共に、ボッシュが後退りする。

「グハッ・・・」


カケルはボッシュの剣の間合いを脱出し、

様子を伺うがその眼力は一切衰えていない。

「固いな・・・」

ボッシュにダメージを与えるにはまだ火力が足りないようだ。

だがこれ以上は、とカケルは躊躇した。



「どうした、遠慮しているのか」

ボッシュが言う

「こんな力で次代の賢者だと?笑わせるな。人の心配をする暇があるのか」

戦闘で気持ちが昂っているのか、荒々しい口調だ。

いや、これがボッシュの地か、とカケルは思った。


「このままでは我々は力を貸すことなど出来ん。ワルツ様には悪いがお前は次代の賢者には相応しくないな」


「・・・なに?」

カケルの眉がピクリと動く。

「気に障ったか。自分でも分かっているようだな、ならば遠慮などせず見せてみろ。今のお前の力を」



「後悔、するなよ」

カケルは再び魔力を集中し、

先程よりも強く濃密に魔力を練った。

今度は先程感じた違和感も感じない、

塔の中の記憶と遜色ない魔力が自分に集まってくる。


「いくぞ」


<魔弾>

カケルは再び魔法を詠唱する。

同じ魔法。

だが先程までと違うのはその数であった。


カケルは魔力を込めると、

自分の周囲に無数の魔弾を浮かべた。


「ほう・・・」


魔弾が一斉にボッシュに襲いかかる。

絨毯爆撃のように次々と爆発が起きる。

ボッシュはその爆発の間をすり抜け、カケルへと迫る。


「<魔方刃>」


カケルが中空に手をかざし魔法を唱えると、

魔力が硬化しそこに質量を発生させる。

魔法で出来た透明な刃。

目には見えないその刃を、カケルはボッシュに向け放った。

ボッシュは剣を一振りし、その刃を受け止める。


カケルはボッシュの懐に飛び込むと、

その巨体に蹴りを放った。


「グフッ」

爪先がボッシュの鳩尾にめり込む。

はじめて感じた有効打の手応え。

間髪いれずに詠唱を続ける。

ボッシュの丸太のように太い腕を両手で握り、

魔力を解放した。


衝撃<インパクト>


ーーーーードゴン


先程の衝撃波よりも鈍く大きな音が響き

ボッシュの身体が吹き飛ぶ。


「ぐうっ!」

ボッシュは発生した目眩を頭を振って、前を向く。


だが顔を上げたボッシュの目に飛び込んで来たのは

今までで最も巨大な魔弾をカケルが放つ姿だった。

ボッシュは大爆発に包まれる。

修練場に地響きが響いた。



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